オイラーの贈物

オイラーの贈物

第7章
7−1 弧度法と円周率
弧度法
円周率π
7−2 三角比
三角比の相互関係
余弦定理・正弦定理
7−3 加法定理(図式解法)→三角関数のあのいやらしい公式ダラダラのはじまりです。

7−4 三角比の値を求める

7−5 三角関数の定理
三角関数の性質
三角関数のグラフ→よく質問を受けることが多いです。周期関数というものに戸惑うようです。

7−6 ド・モアブルの定理→虚数と、三角関数が、公式で結びつきーの。
ド・モアブルの定理の導出
n倍角の式

7−7 三角関数微分三角関数の正弦・余弦に、微分演算を加えるやり方を学習して、きたるべき、テイラー展開の適用に備える。

7−8 三角関数級数展開→ここまでくると、オイラーの公式の成立を証明するまでに、もう半歩です。
三角関数の性質の再確認
極限計算への応用

7−9 逆三角関数
三角関数の定義
三角関数微分
正接関数の級数展開
πの値を求める→ 数値演算のスキルを習得するという本書の底流にあると思われる項目について書かれています。

序文より

よい文章は、文末に向かって、上から下へ一気に読め、上下に読み直したり、後戻りが必要な文章は悪文である。といわれる。本書では、この点を徹底的に追求し、式の重複をいとわず、全体を後戻りせずに読みきれるように、文章の流れをとくに重視した。このことにより、生じる、記述の冗長さも初学者にとっては、かえって、理解の助けになると考え、理工書の「流儀」である式番号はあえて省略した。

2回通読してみて、このことのメリットを思わずにはいられない。
このレベルの数学であれば、これからの教科書は、この「オイラーの贈り物」の流儀に従ってほしいと思う。
膨大な式や、式変形の過程に、数字番号が付されていて、これを、テキストは別に冊子にする必要があると、常日頃思っていたけど、
やはり、大学の教育現場にいる人も、同じことを考えていたことを知って、とてもうれしいような気がした。
目下、ファインマン物理学とかで、Latex使って、式を全部、一冊のテキストにまとめてくれたらいいのにと思う。
請負に出したら、いくらくらいの金額でやってくれるのだろう。

wikipedia:モンテカルロ法

モンテカルロ法 (Monte Carlo method, MC) とはシミュレーションや数値計算を乱数を用いて行なう手法の総称。元々は、中性子が物質中を動き回る様子を探るためにジョン・フォン・ノイマンにより考案された手法。カジノの都市国家モナコ公国の4つの地区(カルティ)の一つであるモンテ・カルロから名づけられた。


追記
日本経済新聞
wikipedia:開拓使官有物払下げ事件
wikipedia:五代友厚

開拓使は、北方開拓のために1869年(明治2年)7月から1882年(明治15年)2月まで置かれた官庁である。
黒田はロシアに対抗する国力を充実させるため北海道の開拓に力を入れるべきだという建議を行った。これに従い、1871年(明治4年)8月19日に10年間1000万両をもって総額とするという大規模予算計画、いわゆる開拓使十年計画が決定された。
黒田は米国人ホーレス・ケプロンらのお雇い外国人を招いて、政策の助言と技術の伝習を行った。開拓使は潤沢な予算を用いて様々な開拓事業を推進したが、なおも全てを完遂するには不足であり、測量・道路などの基礎的事業を早々に切り上げ、産業育成に重点をおいた。
十年計画の満期が近くなった1881年(明治14年)に開拓使の廃止方針が固まった。黒田は開拓使事業を継承させるために、部下の官吏を退職させて企業を起こし、官有の施設・設備を安値で払い下げることにした。
黒田は、事業には私利で動かない官吏出身者をあてるべきだと主張し、また事業が赤字であったことを理由に、非常な安値を付けた。払下げの対象は船舶、倉庫、農園、炭鉱、ビール・砂糖工場などで、およそ1400万円の費用を投じたものを38万円無利息30年賦)で払下げるというものであった。開拓使大書記官であった安田定則らの作った北海社が工場経営などの事業に当たるが、資本がないため関西貿易商会黒田と同郷で薩摩出身の五代友厚らの経営)が払下げを引受けることになった。

事業の売主は、日本政府
事業の買主は、関西貿易商会という私企業。
売主と買主の間には、薩摩出身という「コネ」
その昔、私は、とある証券会社の面接を受けて見事に落とされました。
私は、あの当時、一体M&Aとは何であるのかとか、そういうことがまったくわからなかった。
今にして思うと、言葉のマジックにだまされていたように思う。
M&Aなどという小ざかしい言葉を使わないで、こういった具体的な事例にそって、説明してもらえれば、仕事の本質がわかったと思うのだか、それはもう後の祭り。
ただ、この事例が分析できるのは、
事業の価値を評価する上で、おそらく、この時代においても、

払下げの対象は船舶、倉庫、農園、炭鉱、ビール・砂糖工場

こういったことに、強い、理工系の知識はとても役に立ったのだろうということ。
というより、この官有事業は、明らかに、技術者の主導で立ち上がっている。
政府官僚に対して、コネをもっているかどうかということ。
事業内容について、深い理解を示しているかどうかということ。
そして、民間企業のほうで、資金調達の段取りができているかどうかということ。
この当時のこういった実務的な側面について興味がある。
そんな文献があるのであれば、読んでみたい。

おそらく必要だったと思われるプロフェッショナル

事業そのものの売買に関連した契約のプロ
機械工学 建築 バイオロジー システム工学のようなものに詳しい人たち。
投資家
法律プロ というか、政治家
そして、こういった連中を纏め上げるフィクサー

この事業を買いたいという競争相手としては、三菱が名を上げていたという話も出ている。
岩崎は、四国の出身。
ボスの黒田が薩摩の出身だったから、五代が勝ったのか。

政府内でも批判の声が起こり、特に払下げの規則を作った前大蔵卿の大隈が反対した。7月に払下げ計画が新聞にすっぱ抜かれると、大隈が秘密を漏らしたのだろうと疑われた。これ以前に三菱の岩崎弥太郎開拓使の船舶の払下げを願い出て却下された経緯があった。このため世間では、三菱と大隈が結びついて、薩摩に対抗していると見られた。更に大隈が登用した大蔵官僚の間にも払い下げ中止を求める意見が出された事から、払い下げ中止を目的として大隈が仕掛けたいう説が広まった。
黒田は強引に天皇の裁許を得て払下げを決定した。批判の声は益々高まり、御用新聞東京日日新聞までが政府批判を行ったほか、各地で弾劾の演説会が催された。

いつだって、近代日本における最強の生産者は、日本政府だった。
投資した資金を最大限に増大させようとする流れの中、どうやって日本政府が税金をつかって実行している事業にありつくかということが、ビジネスのもっとも急所になってきた。
民間企業というものは、すくなくとも、日本に限って言えば、そのおこぼれにあずかるハイエナが勝利を遂げてきた。
およそ、ビジネスに関係する人間は、この史実を、徹底的に、理解すべきと思う。


教育=贈与論 (内田樹の研究室)

教育はだから「教える側がまず贈り物をする」ところからしか始まらない。
教育を市場の言葉で語ることが虚しいのは、凡庸なビジネスマンたちはまず「ニーズ」が存在し、それに対して「サプライ」があるという継時的なかたちでしか需給関係を構想できないからである。
真に優れたビジネスマンは、経済活動においてさえ、その本質は「贈与」にあることを知っている。
「最初の一撃」はつねに「なんだかよくわからないものの贈与」としてしか始まらない。
あるいは、「なんだかよくわからないものを贈与された」という自覚(または勘違い)からしか始まらない。
そこから交換が始まる。

教育の目的はただひとつである。
それは人を成熟に導くことである。