STEVE JOBS作者: WALTER ISAACSON出版社/メーカー: Simon & Schuster発売日: 2011/10/24メディア: ハードカバー購入: 13人 クリック: 375回この商品を含むブログ (51件) を見る

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ I

「中華そば」はじめました。
という看板がある。町中の中華料理屋の夏の風物詩
などではないかと思う。
これをもじって
「Loveはじめました。」
というパロディをたしかMrChildrenが曲に取り入れていたと
いう記憶が。別にだからどうということはないが、
それにあやかって、出だしを決めるとすると、
Kindleはじめました。」

電子書籍に関するエントリーはすでに何本か書いているけど、
実はまだ自分で電子書籍を買って読んでみるという体験は
していなかったことを反省。
やっぱり、経験は大事です。
きっかけは色々ある。
まず、今回話題になっているSteveJobs氏の伝記が
相当のヒットになってしまいそうだということ。
それはそれでいいのですが、入手困難だったらどうしようと
ちと心配していました。
これは杞憂だということがわかりました。ちょっと大きな
書店に足を運べば平積みで簡単に手に入ります。
次に、アメリカ本国の「原書」の値段と、日本の「翻訳版」の
値段にえらい格差があったということ。
たしか、翻訳で買おうと思ったら上下合わせて4000円くらい
するのではないかな。
それに対して、Kindle版の電子書籍であれば、
20ドルを切る価格でデータが瞬時に手に入る。
でも、アメリカのアマゾンにアカウントを作って、クレジットカード情報を入力しないといけないとか。いろいろと
煩雑な手続きがあって、敷居が高かったのだけど。
この価格差が少しだけ、カンにさわって、このハードルも
超えました。
そして、第3の理由としては、9月の終わりにYouTube
見たKindleFireのPressReleaseが衝撃的だったということかな。
Kindleが単なる電子書籍Readerではなくなって、AndroidTabroidの一翼を担うように、「結果的」に
なったということ。
今回、電子書籍による読書体験のデビューを飾ることに
なるこの伝記のまさに本人をのぞいて、もう経営者自らが
鮮烈に自社商品をアピールするのをみることはできないのかなと思っていたら、お、そんなことないかもしれないと。
そんなことが気がかりだったということもあります。
というわけで、電子データによる通読完了。
577ページ。
大体、1週間から10日間くらいかかったのかと思います。
そして、最初から最後まで通読してみて、改めて確認出来たのは英語による読解をスピーディに進める最大のカギは
思いっきり、素朴な話ですが、
「英単語をどれくらいInputしているのか?」
これにつきるということです。
外国語による読書の最大のネックは、自分にとって未知の
単語に出くわした時にどうするかということです。
Kindleはこれに対しても、すばらしい解決策を用意
しています。Kindleのソフトウェアを動かしている端末で
マウスなり、「マルチタッチ」なりで、お目当ての単語を
クリックすると、無料で付属している英々辞書が動いて、ものの数秒で、単語の意味を調べることが出来るのです。
これのおかげで、書籍の辞書をめくる面倒さから解放されて、
ビュンビュン読書が進むようになりました。
それでも、未知の単語があまりにも多くて、ストップすることが多ければ、スピードは劇的に落ちます。そしてそれはストレスになり、ついには、最後まで本を読み切るというプロジェクトが頓挫するところですが、やはり語彙力を日頃から意識的に鍛えていると、辞書をひかないといけない煩雑さからも
かなり逃れることが出来るのだなということがわかりました。
日本で英語学習の密度を上げる方法 - Willyの脳内日記

一般的に日本人は単語を覚えずに英文の構造だけを理解しようとし過ぎだ。例えば、300単語くらいの文章であれば、分からない単語はせいぜい10個以下でないとストレスなく読めない。そもそも自然な語学習得パターンは、まず基本的な単語をある程度身に付け、それを元に文法を理解することだ。
特にある程度の長期計画でやっている人は、どこかの時点で
例文付きの単語集を使ってかなりガリガリと単語をやる必要がある。

日頃、英語を学習している生徒さんと接していて、
彼らが本当に英単語を覚えるのに苦労している、というか
ないがしろにしているのを目撃したので、そうか、
ボキャブラリーというのは大事なんだなと。
わかっているつもりだったけど。
改めて、学生時代から相当なまくらになっている英語力を
よみがえらせるために、電車の通勤時間を使って、
英単語を覚えてみました。

究極の英単語 SVL Vol.1 初級の3000語

究極の英単語 SVL Vol.1 初級の3000語

まだ、最高レベルまでいっていないけど。なんとか
2011年が終わる前に攻略出来たらいいなと思います。
Kindleを使った主な端末は
MacBookAirとiPhone
ほとんどはiPhoneだったと思います。
Buckeye the Translator
これだけの分厚い本をiPhone片手に読むことができる。
単語の意味を調べるのも数秒。
ページをめくるのも快適。
字の大きさとかも気になっていたですが、杞憂でした。
(2162文字)
さて。それでは肝心のJobs本の中身について何を
書くのかということですが。
実は、この書評を書くときに、極力、自分が普段参照している
Blogのエントリーは見ないようにしていました。
自分が書き終えてから、ほかの人がどういう切り口でこの
本についてコメントするのか、見てみたかったからです。
本のあらすじはどうなのかといいますと。
いうまでもなく、Jobsという稀代のビジネスマンの
生い立ちから、Apple2,Macintosh,iPhoneipod,iPad
といったスーパーメジャーヒット作品を送り出し、
まだまだって感じの時に、病死されるという伝記。
いや、Pixerという会社でToyStoryという映画を出したのを
きっかけにアニメーションの世界でも大きな足跡を残したとか。
まあ、これが一人でやったことなのかと信じられないくらいに
大ヒットを飛ばしたアメリカ人のお話。
以下が伝記の筆者の略歴です。(Wikipedia

Walter Isaacson was born in New Orleans, Louisiana. After graduating from New Orleans' Isidore Newman School and a summer at Deep Springs College as a participant in the Telluride Association Summer Program (TASP), Isaacson attended Harvard College and earned a B. A. in history and literature. While at Harvard, Isaacson was a member of the Harvard Lampoon. He then attended the University of Oxford, where he was a Rhodes Scholar at Pembroke College and read Philosophy, Politics, and Economics.

なんといいますか。あまりバリバリにITの世界に身を置いているような人ではないのですね。
この本を読んでいて、このジャーナリストはどうやってSteveJobsの人間関係に入り込んだのだろうと思います。
筆者が、SteveJobsに敬意を表しながら、取材をしているのも
そこかしこに感じ取ることが出来ます。
ipadiPhoneより先に開発が着手されていたという話とか。
もろもろのAppleの「銘品」の秘話といったものは、
すでにApple好きの人たちによって流布されているものも
多いので、そんなに新鮮味はなかったのですが、
この本では、筆者がおそらく長い年月をかけて作り上げた
と思われる、Jobs氏からの、そして彼の家族からの全面的な信頼が、伝わってきます。
彼の子供がそれぞれどういう人なのか、奥さんがどういう
人なのかということも今までは本人が秘匿してきたという
のもあると思うのですが。あまり明らかになっていなかったのではないでしょうか。というか。まだ彼らはこれからの人生があるわけですから、ここまで「さらし者」になってしまって
いいのだろうかという気持ちがないわけでもないですが。
本書の最後には、Jobsのプライベート系の写真まで。
ここまでくると、週刊誌との境目もギリギリって感じ。
まあ、そこは、この伝記の筆者の良識が働いて、ブレーキが
かかっていますけど。
Jobs氏が亡くなる直前に、LarryPageやBillGateといった
誰もが聞いたことのあるような大物が、何気なく、
訪問してきて、この「老将軍」のお見舞いをして、
今後の事業戦略のことで話しを聞いていたというのは、
個人的にはかなり驚き。表向きに「全面戦争」をしていても、
家族と家族の間でのやりとりということをしていたのかというのが、新鮮でございました。いやどこもそういうものなのかも
しれません。
200人以上の関係者にインタビューを行ったということです。
ありったけのエネルギーが注がれて生まれた作品だったのだと思います。
この本を最後まで読み終えると、筆者が、誰にインタビューを
したのかということが、リストになっています。
それをみていると、なんだか、鑑賞した映画の「クレジットロール」を見ているようなそんな錯覚に襲われます。(3484文字)
そう、本当に映画を見させられていたようなそんな気分に
なるのです。これは筆者が意図的に仕掛けたものなのでしょうか。それとも、彼も綿密に取材をしている中で、いやだからこど、「劇的」な何かを偶然見つけ出したのか。
そんなことはわかりませんが。読んでいて、何度か、頭の
中に、稲妻や、地震や、津波が通り過ぎるのを感じます。
Jobs氏のメインの人生は、会社の創業者としての側面ですから、商品開発を取り扱った部分ではどこが印象に残るのかというところですが、私はやはりBuilding The Macのところなのかなと。
まだ、Appleという会社が始まったばかりの時。
Jobs氏とパソコンを開発したエンジニアの「距離」が
一番、近かったとき。
私は、1984年にAppleという会社がパソコンを世に出した
ことなど、つゆも知らず、YouTubeで彼のプレゼンを初めて
みたのですが、この商品にこめられたストーリーが一番
劇的だったのではないでしょうか。(3896文字)
"Rectangle with a rounded courner is everywhere!"
"Simplicity is ultimate sophistication."
iPadのコマーシャルをどういった内容のものにするのかを
巡って、Jobs氏と広告代理店の担当者が緊張感のあるやりとりをする。ありとあらゆるNoを言い放ったあとで最後に
Jobs氏が担当者にぶつけるのがこれ。
"I know it when I see it."
Reality Distortion Field”の本質が何か、その一端を見ることが出来ます。ディズニーアニメを巡るJobs復活のストーリーも
捨てがたいのですが。これはまた別の機会に。

スティーブ・ジョブズ - jkondoのはてなブログ
Reed君が立派なCancerResearcherになりますように。
お父さんが、生前に描いたBiologyとTechnologyの融合
という傑出した事業プランに、君も何らかの形で
関わるのかもしれないね。