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赤本の使い方 (大学受験合格請負シリーズ)

赤本の使い方 (大学受験合格請負シリーズ)

赤本の使い方|和田秀樹オフィシャルブログ「テレビで言えないホントの話」
読了。不思議といえば不思議。
大都市圏の大型書店に足を運び、学習参考書のコーナーに
立ち寄れば、教学社の「赤本」(大学別過去の入試問題を収録した本の集まり。)は必ずある。
無数の大学受験生が参照してきたであろうと思う。
でも、この「赤本」から引き出せる情報を最大限に合格Get
のために活用するノウハウを書籍にしようという発想の
本は見たことがなかったような気がする。
大学受験というカテゴリーでどういう本が流通しているのかを
つぶさにみていないとこういう「盲点」はなかなか発見
できないと思う。
関係しそうなエントリーへのリンクも張っておきます。
受験勉強法学―物理―二次・私大試験の勉強方法
2011-06-18 - book-lover's diary
2010-11-12 - book-lover's diary
2011-03-13 - book-lover's diary
2012-01-05 - book-lover's diary
2011-04-15 - book-lover's diary
http://d.hatena.ne.jp/book-lover/20120520:化学攻略関連エントリー
2012-09-01 - book-lover's diary
http://d.hatena.ne.jp/book-lover/20140215:医学部受験家庭教師の数学勉強論
chierinrin51.blog.jp

目次

序章 赤本を制した者が受験を制す
一章 受験勉強のイメージをつかもう!
二章 志望校入試に照準をあわせよう!
三章 ゴールを見据えて実力を養おう!
四章 目標に向けて一気に加速しよう!
五章 合格ラインを確実に突破しよう!
六章 敵を知り己を知れば、”勝負の一戦”危うからず!
「配点分析 計画作成 傾向分析 方針決定
自己採点 課題設定 最終課題 本番戦術」を書き下すカード

私は実は下記の3点がエッセンスだと思っている

1.受験という締め切りの日までに、志望校の合格最低点を合計点でクリアできる学力を身につけること――要するに偏差値を上げたり、苦手科目を克服することでなく、合計点で、自分の行きたい学校の合格者の最低点がクリアできればいい。得意科目で思い切り点をとって苦手科目の負担を減らしてもいい。また偏差値が70の学校を受ける際も、偏差値を70まで上げなくても、その学校の合格者の最低点がクリアできればいい――これは、『赤本の使い方』の基本コンセプトでもある

2.単位時間当たりの勉強量を増やすこと――数学ができないうちは、その解法を身につけるのにいちいち解いていたら時間がいくらあっても足りない。だから答えをみて覚えろというように、とにかくどんなやり方をすれば単位時間当たりの勉強量が増えるかと考えることだ。数学は暗記だというのは、その方法論のワンオヴゼムにすぎない。勉強はやった時間より、やった量で勝負が決まるものだ

3.受験の締め切りの日までに、なるべく多くの量を頭に残すこと――勉強はやった時間よりやった量だと書いたが、量をたくさんやっても、復讐不足のために頭に残っていないと意味がないのも受験の基本だ。だから、週に1度確実に復習日を設けるという風に、頭に残す工夫を考えないといけない

確かにシンプルな話だし、当たり前のことだ

http://ameblo.jp/yoshinagakenichi/entry-10288916340.html

いつも感謝しています。吉永賢一です。


この記事は、『偏差値スライドアップ勉強法』のつづきです。
では、「志望校の赤本」は、どう使うのがいいのでしょうか?
志望校の赤本で演習したら、


初見でこの問題を解くには、何を覚え、何をわかっていればいいだろうか?


と自問して、その要素を抜き出してください。
これは、書き出してもいいですし、意識するだけでもいいです。
このようにして過去問を演習していると、「後、何をやればいいか」がわかります。
それを、夏休みの後半以降、あるいは、2学期以降にやってください。
もし、
初見でこの問題を解くには、何を覚え、何をわかっていればいいだろうか?
と自問して、自分なりの答えがわからないならば、まだ志望校の過去問演習をはじめるのは、早いです。
分野別勉強法(分野別に、基礎知識や基本問題演習を充実させてゆく)や、偏差値スライドアップ勉強法に戻りましょう。
偏差値スライドアップ勉強法と、この方法による志望校の過去問演習は、併用しても効果的です。
合わせて、 『夏に第一志望の赤本を解いてしまって大丈夫?』もお読みいただけると、よりよくわかると思います。

私大医学部をはじめとして私立大学の入試がピークになりつつあります.
多くの受験生は赤本や予想問題集などで勉強するはずですが,
思うように解けなくて焦っている人が多いものです.
赤本をやることはとてもいいことなのですが,
3つの注意点があります.
まず1つめは,
赤本の解答を理解しようとしすぎないことです.
赤本の場合,問題に最適な解答を考えようとして,
他の問題にも使えそうな一般的な解法をあえて外していることがあります.
また,執筆者の先生方が苦手な単元の問題であったときなどは,
歯切れの悪い解答がそのまま掲載されていることもたまにあります.
あくまで自分の解答のチェックに使ったり,
何度読んでもわかりにくい解答の時は気にせず次の問題にいくほうが効率がいいのです.
2つめは,難問は捨てることです.
大学によって問題の中に難問が入っていることがあります.
けれども難問が出題された時はほとんどの受験生が解けないため,
入試問題としての機能をはたしていません.
そのため次の年からはそのような類題は出ないのが普通です.
だから難問が出たらどうしよう・・ではなくて,
このタイプの問題はもう出ないのだなと思う方が正しいのです.
3つめは,傾向の把握が最も大切だということです.
例えば1/31の聖マリアンナ医大の数学の場合,
傾向が北里大学の数学によく似ています.
頻出テーマの一つ行列であれば,定数の決定と行列のn乗が何度も出されていて,
しかも固有値に帰着する問題が多いのです.
となれば当然勉強は行列のn乗のいろいろなパターンを押さえることが中心になりますよね.
単に微積が出ている・・ではなくて,
○年度は面積計算とlogの積分
○年度は体積計算と三角関数積分
○年度は弧の長さと媒介変数の積分・・
というように出題された内容を具体的にみると,
ああ,指数・対数関数の積分が頻出しているな・・とわかります.
それを把握するためには,
年度別に過去問を解くのではなくて,
テーマ別に今日はベクトル,明日は微積・・というように勉強するといいですね.
いい方を変えれば,あまり頻出していないテーマは後回しということです.
塾では明日,東京医科大の対策をするのですが,
東京医大の場合,予想問題集などを解くよりも,
過去問をできるだけ多くテーマごとに解くのがとても有効です.
受験を考えている人は赤本だけでなく←これだとみんな同じなので・・
それ以前の問題も入手できればどんどん解いてみるといいですよっ

さて4つめの重要ポイントは,
各大学の傾向分析を徹底することです.
これは以前に赤本の使い方で詳しくお話しましたから,
やり方がわからないときは該当するブログを読んでみてください.
ここで注意してほしいのは,
傾向の分析が済んだら的を絞って頻出分野だけに勉強を集中させることです.
他の分野が出たら・・と心配になるかもしれませんが,
それは今までの1学期,夏,2学期,冬の講座で一通り全範囲を学んだのですから,
これ以上に幅を広げる必要はありません.
分析に従って,よく出る分野を集中特訓しながら,
全単元の復習はSelect100や今までのテキストだけに絞るのがうまい勉強なんですよ

赤本の使い方advice|山本先生

以前も書いたのですが,
今日は山本が受験生だったときにした傾向分析の仕方をお話しします.
毎年,ほんとうに類題が出たと多くの人から手紙をもらうので,
やれそうな人はぜひ試してみてください.

まず志望校の赤本を4〜5校準備します.
第一志望のA大学,第二志望のB大学とC大学,実力相応か滑り止めのD大学とE大学,
といった感じですね.
さて,それぞれの赤本を見ていって,問題をさっと読んで,後ろの解答や,
赤本の傾向分析欄をみながら,一問ずつ,何がテーマの問題か考えて,
色分けしたポストイットをつけてテーマも書き込んでおきます.
→09慶大数列-漸化式 という感じです.
問題によっては複数の単元にまたがることもありますが,
メインのテーマで分類していきます.
→たとえば数列・整数問題・積分などの融合の時はさっと読んだ時の感じでいいので,
積分-整数問題・数列の融合 などとしておきます
一問ずつあまり時間をかけずにやっていくのですが,目安は1問2分ぐらいです.
また問題を読んだ時と解答を見たときの感じでいいので,その問題の難易度を1〜5で記入します.
→08日大三角関数-最大最小ランク2 のようにですね.
このときランクが実際と違っていても気にしません.見たときの感触でいいのです.
1冊の赤本を30分から1時間かけて書き込みしたポストイットを問題の横に貼り付けます.
これを5冊の赤本でやるのでだらだらしないで,集中して1日でやってしまいます.

さてこの作業が終わって赤本を見ると,
大学によって,ポストイットの色が偏っていたり,まんべんなく散らばっていたり,
また,一橋大学のようにテーマがいくつかだけに集中していたりすることが気付きます.

ここから実際に問題を解いていくわけですが,
全体の出題傾向を見て,積分,確率,ベクトル,微分,図形と式・・,というように,
自分の受ける大学はどの単元が多いのかをチェックして,
最初の1週間で,最頻出の単元から分析をすることにします.
たとえば積分を月曜から1週間やるとして,
一つの大学にこだわらず,5つの赤本全体で積分を分析するのですが,
このとき,ランク分けして一番易しい番号1がついているものから順にやっていきます.
これには二つの意味があります.
一つは年度別でなく学校別でなく,易しいと思われるものからやっていくので,
基礎を確認しながら勉強できること.
もうひとつは易しいことから進めるので,難問は当然後回しになりますが,
比較的短い時間でどんどんと解いていくことができることです.
このとき,解いてみると自分が考えていたランクよりもはるかに難しくて,
解説を読んでもわからないような問題の時はすぐにランクを書きなおして後回しにします.
こうすることで,一つのテーマを1週間通して考えながら,
基礎を確認しつつ,各大学のレベルを知り,また,自分の弱いタイプをつかむのです.

前回お話しした赤本のやり方をすると二つの利点があります.
一つは一週間に1テーマと決めるので,計画倒れにならないことです.
途中風邪をひいて予定通り進まなくても,できるところまでやって,
次の週には違う単元に行き,
何週間かしてまた遅れているテーマに戻ればいいのです.
もう一つの利点は傾向分析をしつつ,易しいことから解いていくので,
基礎をもう一度みなおしながら,
ただ年度別に解いていくよりも多くの問題を解くことができます.

さて,実は赤本のやり方はここまでが前半部分です.
順調にテキストを復習したり思い通りの勉強ができた人は,
ぜひ12月からやってみてほしいのですが,
いよいよ志望校が絞れてきたら,12月からは入試の予想を自分で始めます.
とはいっても勘で予想を立てるのではなくて,
前半部分でポストイットをつけた単元を有効に利用するのです.
数学の問題を出題する人は数人ですが,
先生方は大学で自分の専門とするところを担当しており,
当然ですが入試問題も自分の領域から出題する人がほとんどです.
その結果出題内容がかなり限定されるのと,
出題者が毎年大きくは変わらないので,
数年の問題を見ると出題者の意図が見えてくることが多いのです.
そこで,例えばA大学の対策を立てる場合,
ポストイットで集中する単元は何かをつかみ,
微積分が多いとわかったら,
自分の持っている参考書で問題数が比較的多いもの(チャートなど)か,
学校で使っている入試問題集(ただし解答が親切なもの)か,
なければ数研出版が出している年度別入試問題集を利用して,
過去問と同様の問題,ない場合は同テーマの問題を見つけ,
そこに分析に用いたポストイットを貼って例えば2007A大学3番出題と書いておくのです.
それを繰り返すと,A大学で出題された微積分の問題のテーマに沿った類題を
参考書や問題集で全部確認することができますね.
←ただし類題がない場合もありますが,近い問題であれば構いません.
これはできるだけたくさんの年度が調べられたほうが精度が上がるのですが,
それがすんだらポストイットをつけた微積分の類題とその前後5問の問題を
来年度の出題がされるのではと予想し,その問題をしっかりと対策を立てるわけです.
このやり方は実際に塾の生徒たちにやらせたときに非常に出題される可能性が高く,
生徒の皆さんからやってよかったと言ってもらえるので,
やれそうな人はぜひやってみてください.

受験勉強の初心者に指導者が行うべき最初のステップは
「君は一体、どこの学校に行きたいの?」
と聞くところからはじまるだろう。
入学したい大学が決定されれば、じゃあ行きたい大学の
入試問題をよく分析して、準備をしっかりして
本番を迎えましょうね。
ようするに、こういうことをずっと繰り返している。
実際に、「指導」するという立場を経験すると。

そもそも、どこに入学したいのか受験生にはっきりとした意志
ない場合が多い。
→どの赤本を選んだらいいのかという、一番最初のステップで
つまづく。

赤本を使って「傾向分析」などをするための前提として
「赤本を読解する能力」があることが求められる。
私が見てきた限り、どうもこの前提からして怪しい場合が多い。(数学と英語)
→どうやって、分析をするのかという具体的指示内容それ自体が単なる飾りにみえる。

目標や課題を設定するのはおそらく簡単。
一番の問題はその実行能力。
たとえば、本書の英語のコーナーを見てみると、
「英単語をどれくらいの数覚えたらいいのか?」
という問題意識によって、ページがさかれていた。
どの単語集を選んだらいいのかということも書いてある。
しかし、私が直面した最大の壁は
「どの単語集を覚えたらいいのか?」
「どうやったら英単語を確実に覚えるのか?」
という方法やテクニックの問題ではなく、
「なぜ、全うに英単語を覚えるという作業に向き合わないのか?」
と、指導する生徒にどうやって問い詰めていくのかということだった。
一日に覚える量を設定しても、投げ出す。
「覚えた」というから、テストしてみたら、四割近くの単語を正確に覚えていないことが判明する。

数学について
「赤本の使い方」というタイトルがついているので、
あれやこれやと、各大学別の出題傾向の読み取り方などが
書いてある。
でも、数学の成績アップのための方法論は
「数学は暗記だ!」「東京大学受験技法」の内容とまったく
同じ。
つまり、難関大学といわれているところの入学試験を突破しようとする場合。
「何をやれば、合格するのか?」という方法論の
ほうはすでに出尽くしている。
「数学の実力アップのための勉強のプランを本当に実行するのか?」
というところが正念場になる。
この間、北大の医学部に合格した学生の手記を読んでいたけど、やっぱり数学の受験勉強が、一番時間を取られたと
書いてあった。

結局、細かい話というのは案外どうでもよくて、
もっと根本的には
「事物に対して、どれくらい真面目に取り組む気力が
あるのか?」
ということなのだろうなと思いました。
平松さんの支援集会で話したこと (内田樹の研究室)

授業中もこれ以上意識を散漫にしては理解できないギリギリまで意識の集中を控える。レポートや試験では60点ぎりぎりを狙ってくる。この「60点ぎりぎりを狙ってくる」ための努力の真剣さに、僕はほとんど感動するのです。「素晴らしい」と思ってしまう。まさに彼らにとっては、それこそが一番真剣な競争なんです、60点で済む試験のために、70点分、80点分の勉強をするのは、恥ずかしいと思っている。それは100円の価値しかない商品に200円、300円を払う消費者と同じように愚かなことだと思っている。

ある東大出の若者と話をしていて、あまりにものを知らないので驚いたことがありました。さすがに「何で君はそんなにものを知らないんだ」と訊ねました。すると、彼は「だって僕全然勉強しませんでしたから」と明るく笑って答えました。僕はそれを聞いて胸を衝かれました。彼は自慢しているんです。子供の頃から一夜漬けで試験をクリアーし、レポートは人のを丸写しし、試験はカンニング。要領だけで、全然勉強しないで超一流の学歴を手に入れました。そんな僕って「賢い消費者」でしょう。そう彼は誇ってるんです。無知で無学なまま東大卒業の資格を得た自分が誇らしいんです。消費者マインドを刷り込まれた子供たちのこれが末路だと思いました。でも、今の日本社会は学校教育の場で子供たちにそのようにふるまうことを要求している。

「知識」や「学問」は「手段」なのか「目的」なのかという
ことなのだろうと思います。
たしかに、この学生は内田先生を不愉快にさせたという点で
「知識や学問」の絶対量が少ないということのデメリットを
うけている。
しかし、内田先生の機嫌をそこねたくないということが
この学生の「欲求」にカウントされていないのであれば、
実は、どうってことない問題なのかもしれません。
この学生は、「賢い消費者」であることには手を抜かないはず。
「赤本の使い方」はこういう「賢い消費者」としての合理性を
突き詰めた作品だと思う。
そして、こういった「合理性」が賞賛されるべきなのは
実は別に「受験」にかぎった事ではないのではないかという
のが私の問題意識です。
僕はスティーブ・ジョブズが嫌いだ : 金融日記

彼は人のアイデアを合法的に盗み出す天才だった。そして何よりアイデアを金に変えるビジネスの最後の部分に異常にこだわった。一言でいえば、彼と、そしてAppleは美味しいところだけをもっていく天才たちなのだ。 僕が自分自身のことを好きになれない、尊敬できないのと同じ理由で、スティーブ・ジョブズAppleが嫌いなのである。

Appleという会社はハイテク企業として崇められているが、僕はGoogleIBMのような会社よりも、Appleという会社はフランスのファッション・ブランドのコングロマリットであるLVMH(モエ・ヘネシールイ・ヴィトン)にずっと近いと思っている。ルイ・ヴィトンやブルガリなど日本でお馴染みの高級ブランドを傘下に抱えるこの企業は、売り上げが2兆円、時価総額が5兆円以上で、これより大きい会社は日本にはトヨタ自動車NTTドコモの2社しかない。そしてAppleはヨーロッパのファッションブランドのように、同じような機能の商品をその他のメーカーの何倍もの利益を上乗せてして売りつけることができる。またLVMHと違い、米マクドナルド社と同じように大衆へプロダクトを売りさばく販売力も併せ持っている。AppleのPCとマクドナルドのハンバーガーが両方共Macなのは皮肉だ。Appleはテクノロジーの会社ではなく、LVMHの詐欺的な利益率と、マクドナルドのような大衆を中毒にさせるマーケティングを併せ持った会社なのである。

この原稿の大部分は会社の帰宅途中でiPhoneを使って書いたのだが、このiPhoneを見ると、Appleが開発した技術というのは何も無いことが歴然とする。デジタルカメラの部分のCMOSセンサー、リチウム・イオン電池、液晶パネル、CPU、メモリー、各種の高度な導電性フィルムを利用するタッチパネルなど、こういった根源的な基礎技術に関するAppleの貢献は何もない。僕自身、研究者をやっていたからわかるのだが、こういった基礎技術の確立には、世界中の公的な研究機関や、大企業の基礎研究所の名もなき技術者や科学者たちによる膨大な作業が必要になる。こういった研究開発には信じられないほど莫大な時間と金がかかっている。

Appleは極めて高収益の大企業、というよりも世界一の企業だが、こういったすぐには金にならない基礎研究はほとんど手を出していない。それはビジネスとしては正しいことかもしれない。しかし僕はだからこそ、名声とうなるような金を手にしたAppleの幹部連中ではなく、CMOSセンサーの解像度を上げるために日々創意工夫を重ねている無名のエンジニアたちや、リチウム・イオン電池の寿命を少しでも伸ばすために地道な努力を続けている中小の材料メーカー、液晶材料やトランジスタなどを発明した大学の研究者たちに光を照らし、彼らに心から敬意を表したいのだ。彼らのほとんどはAppleの幹部が手にする金の数百分の一も手にすることはなかった。

僕自身も研究者をしていたとき、そういった地道な研究をするより、いかに短期間にコストをかけずに有名なジャーナルに多数の論文を載せるかばかりを考えていた。なぜならば多数の論文を発表することが僕の研究者としての地位を高める手っ取り早い方法だったからだ。だからAppleのようにあともう少しでものなりそうな他人の研究成果を見つけてきては、そこにちょっとばかり手を加えて論文を量産した。そこにはビジネスと同じような効率しかなかった。科学の基礎研究に特に情熱を持てなかった僕は、はるかに簡単に儲かる金融の世界に転身することに何の迷いもなかった。そして金融の世界ではとにかく、金、金、金である。Appleの経営方針と同じだ。

私はここ数年を経て、生きていくための「戦闘能力」は
なんなのかという問題をもつようになりました。
「赤本の使い方」には、この「金融日記」にほとばしるような
突き詰めた「戦闘能力の論理」が秘められているような
気がしてなりません。