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医学部受験家庭教師の数学勉強論

管理人がたどり着いた数学と理科の復習法 | 東大・医学部受験のための戦略と技術
試行錯誤を繰り返し、さらに高3となって多くの教科に手を付けなければならないという現実に適応するため、以下のような復習のやり方が定着していった。

下の表に、管理人が①60問の問題集を、②初見では1問あたり15分で、③10回読んで復習する場合の例を示す。

現時点では「読む」だけの時間プランであることがミソである。

「かかる時間」欄の数字は回を追うごとに半減しているが、この率は任意で決めたものである。管理人は実際にこれくらいの効率であったと記憶している。

10回目にもなると、5問で10秒などという数値になっているが、これは問題を一瞥して解法の手順を思い出す程度である。すでに鮮明に覚えているから、ただ思い出すだけだ。

一日の合計時間は最も多い時で150分すなわち2時間半である。もちろんこれは例であるから、もっとペースを遅くしてもよい。自分の生活に適応させることが最も大事である。
<中学>

新A CLASS中学数学問題集
高校への数学 増刊 日々のハイレベル演習
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化学Ⅰ・Ⅱの新研究
化学Ⅰ・Ⅱの新演習
東京大学への理科
入試攻略問題集 東京大学 理科


このマニュアルを書いた人の数学や物理の成績。

・英語 84/150(偏差値62.4)
・数学 166/200(偏差値78.8)
・国語 54/100(偏差値72.6)
・物理 79/100(偏差値77.0)
・化学 51/100(偏差値63.3)
・総点(医・医型)651/1000(偏差値76.9)
医学部医学科A判定 席次64/7934

★京大オープン成績(2013/8/18実施)
●英語 97/150(偏差値70.7)
●数学 190/200(偏差値85.3)
●物理 42/100(偏差値54.5)
●化学 66/100(偏差値73.1)
●国語 49/100(偏差値59.0)
●合計(医学科配点) 667/1000(偏差値79.6)
医学科A判定 志望者内順位25位


★英語:120/200(偏差値61.8)
★数学:162/200(偏差値73.3)
★国語:85/200(偏差値57.6)
★物理:70/100(偏差値74.5)
★化学:87/100(偏差値80.8)

まず最初に、「受験数学」とはそもそもどのような意味合いを持つ分野であるのか、また大学側が数学の問題を通して受験生に対しいかなる資質を求めているのか、さらには受験生側がどのような能力を日常学習を通して伸ばしていけばよいのかといった受験勉強に取り掛かるにあたっての大前提ともいえる事項を一つ一つ確認していき、【確固たるモチベーションを築く】ことから始めましょう。

一般的に医学部受験生(に限らず全ての理系受験生)にとって、数学は受験の合否を直接左右する生命線となる科目であるといわれています。事実、数学の得点だけが著しく低いために他の科目は合格レベルにあっても総合点で不合格となるケースは非常に多いです。それくらい数学は受験生間で著しい得点差が付く科目です。また数学の学習理論は物理・化学など他の科目にも応用できることからも間違いなく最重要科目であるといえるでしょう。したがって、数学という科目(受験数学)の特性と学習法について、あらかじめしっかりと理解しておくことは厳しい受験勉強を方向性を誤らず進めていくためにもっとも必要な事項の一つであるといえます。

それでは「受験数学」の定義から説明していきましょう。一口に受験数学といっても、一般的な数学(趣味として・あるいは大学で専門として扱う数学)の学習と比較して何が求められているのか、ここではその点について少し掘り下げてみましょう。
現行の大学の二次試験(筆記試験)の数学では、どのような条件で試験が行われるのでしょうか。その点について考えるだけでもかなりのことが見えてきます。まとめると以下の3つの要素が挙げられるでしょう。

①全ての受験生が同じ問題文・解答用紙・試験時間という一律の条件下で学力を競う
須らく【入学試験】というものに求められる要件とは、徹底した客観性と公平性であることはいうまでもありません。したがって同じ問題・解答用紙・試験時間という一律の条件下で受験生の学力差を測るということはその要件に適った試験形式といえます。しかし入学試験である以上、機会は平等でも結果まで平等というわけにはいきません。与えられた問題文に対しどのような分析を加え解答方針を定めるかにはそれまでの経験に基づく個人差があります。純粋な学力・問題の取捨選択能力・試験時間の使い方などの能力差に応じて、しっかりと得点差がつくことになります。受験生間の数学の能力差を正確に反映させるためにはこの試験形式が最適であるというわけです。

②厳しい制限時間がある
したがって「ただ解ければ」良いわけではありません。他の大問との兼ね合いも考慮しつつ、「素早く」解答することが求められます。できるだけ解答用紙を過不足のない有効な記述で埋める必要があるため、1つの大問に対しても効率的に処理していくという観点が必要になってきます。
したがって、試験場その場での「ひらめき」「発想力」より「問題処理能力」(問題を“捨てることも含めて)が受験生に求められていると結論付けられます。

③出題範囲が決まっていて、したがってある程度「典型的」なパターンの出題をせざるを得ない
試験範囲が高校数学の内容に限られている以上、問題を解くのに必要とされる知識においてそれを逸脱することはありません。そこで、これまで出題されてきた問題を過去何年分ものスパンで見てみると、似通った問題が繰り返し出題されており、一種パターン化されていることがわかります。どのような手法を用いたらよいのか皆目見当もつかないような全く目新しい問題はそうそう出題されるものではなく、大抵は使い古された問題パターンの限りのあるストックの中から出題されます。したがって日常の学習においては過去に様々な大学で出題された、頻出の典型問題・応用問題を数多く学習し、いつでも使いこなせるように十分な練習を積んでおくことが重要課題となります。

以上の点から、「受験数学」というものの要点をまとめると、次のように集約できます。

★【受験数学の要点】受験数学とは、受験勉強においてどれだけのどれだけの「解法テクニック・定石」を身につけてきたのか、そして実際の入試の限られた時間内でいかにそれらを組み合わせ、素早く使いこなせるかを一律の条件下で競うものである

したがって、この定義をもとに数学の学習の基本方針や心構えといったものも自ずと決まってきます

★このページより、医学部受験における最重要科目であり、入試の合否を直接左右する科目とも言える数学について皆さんの志望校合格に十分な学力に到達するための理想的な学習手順(プロセス)や参考書・問題集プランなどを詳細に解説していきます。

この「数学の勉強法」のページの最大の特長は、総論としての数学の学習法についてゼロレベルから全国トップレベルに至るまで段階的に詳細に解説している点にあります。各学習段階に応じて次のステップへのノルマや学習手順を説明し尽くしておりますので、皆さんの現時点での学力レベルに応じて必要な項目のみ参照・実践するというように使い分けをすることも可能です。すなわち必ずしも全ての学習項目を実行する必要があるわけではなく、状況によって取捨選択をしたり、志望大学に対応したレベルの項目までを実行するにとどめるといった使い方も可能であるということです。
もちろん興味や余力がある場合は最後の項目まで実行するとよいでしょう。「各学習段階」を全て消化し終えた時には、間違いなく全国でも屈指の受験数学力が身に付いており、志望校合格に絶対の自信が付いている事と思います。
また市販の参考書・問題集についての講評も掲載し、最も効率的に目標を達成するのに最適な教材プランを提案しておりますのでご参照・ご活用ください

まさに総論として当ブログにおいての数学学習理論の根幹を為す部分ともいえますので、“センター対策”や“二次対策”のページを参照される前に是非とも以下のページからじっくりと読み込んでいってください。

★暗記数学か考える数学か

【暗記数学】という勉強法は近年大学受験業界で頻用され、また受験生に実践されている方法論です。概念自体はこれまでの多くの優秀な受験生が「経験則」として持っていたものなので特別目新しいものでもありませんが、それを学習理論として一般化した某受験研究家の方の功績は大きいと思います。
この【暗記数学】という学習理論は、これまでの数学の勉強法の主流であった、「じっくり考えて問題を自力で解くことでしか数学力は養成されない」という“常識”に対するアンチテーゼとして提唱されたものであり、「そもそも知らないことは幾ら考えてもひらめく訳がない」という主張が軸となっています。

【暗記数学】という用語はとても語呂が良いので、当ブログでも説明を簡単にするために使わせて頂こうと思います。
当ブログにおいては【暗記数学】とは、入試数学に頻出の解法テクニック・定石を習得していき、それらを用いて様々な問題を解けるようにしていくという学習理論を指すこととします。そこで当サイトにおける暗記数学の実行手順を以下に示しておきます。

●暗記数学の実践手順:【10分程問題を考えてみて何も方針が浮かばなければ解答解説を見る】⇒【何がわかればその問題が解けたのかを明確にする(解答プロセスを“理解”する)】⇒【解答を“理解”したら今度は解答を見ずに答案を再現していく】⇒【類題にあたってその手法をしっかり定着させる】

多くの受験研究家の先生方も同様のことを述べていますが、ここでいう暗記数学とは「歴史の年号を暗記する」といった、いわゆる単純暗記という意味での暗記ではなく、“麻雀”や“囲碁”を覚えるという意味での暗記に近いです。
つまり、解法テクニック・定石といったものの一つ一つは問題を解くという作業において確固たる「論理的意義」・・・なぜこの場面でこのテクニック(定石)を用いる必要があるのか・・・を持っており、それをしっかりと理解(納得)すること、さらには実際の問題において適用するという“経験”を積んでそれを完全に自分の思考回路に組み込ませるこという手順を踏むことで初めて「本当の意味で使える」テクニック(定石)が身に付くということです。解法テクニック・定石はあくまで「技術」であり、理解するだけでは使い物にはなりません。すなわち、「わかる」状態から「できる」状態に持っていくことが重要というわけです(この“わかる”と“できる”には結構な隔たりがあります)。

◆暗記数学についてのまとめ
●解法テクニック・定石はあくまで「技術」であるため、暗記するだけ・理解するだけでは使い物にならない
●暗記数学は「理解(納得)⇒実践⇒定着」の一連の手順を通して成立するものである

次に暗記数学の対極にあるものとして取りあげられることの多い、思考すること自体を重視する学習理論、ここでの呼び名として【考える数学】について説明していきます。
【考える数学】とは語呂の良さ(?)から私が適当に決めた造語ですが、同じ言い回しをしている教育関係者もいるかもしれません。当ブログでは【考える数学】とは「じっくりと問題にあたって自力で正答にいたる」練習を積むことでいかなる場面にも通用する実戦的な数学力を養成していこうとする学習理論を指すこととします。
しかしこの【考える数学】(が指すもの)は極めて突き放した印象のある学習理論だと思います。初学者はそもそも問題考察の前提となる解法テクニック・定石といったものを持ち合わせておりませんので、その状態で幾ら知恵を振り絞っても時間の浪費にしかなりません。 【考える数学】が功を奏するのはある程度学習が進んだ後、具体的には「典型問題」のパターンを全て網羅した後となります。

◆考える数学についてのまとめ
●考える数学は受験勉強初期では全く意味を為さない。手持ちの道具がそもそも無いからである。しかし、解法テクニックを一通り習得し、一定以上の水準に到達した後(受験後半期)の学習においてはメインの学習法となる

したがって、数学の学習法として暗記数学が正しいか、思考訓練を重視した学習が正しいかという事項に対する結論は以下のように集約できます。これは大原則として次の項目以降にも踏襲していきますのでここでしっかりと頭に入れておいてください。

★【数学の学習法のまとめ】典型問題を習得する学習段階においては「理解(納得)⇒実践⇒定着」の手順を通した【暗記数学】を学習法の軸におき、応用問題・実戦問題をこなしていく学習段階以降では【考える数学】をメインに学習を進めていくのが最も効率的である

数学の勉強法:第一章・大学受験数学を解くプロセスを理解する(1)
★大学入試の問題を解くということは、具体的にはどういった行為なのでしょうか。数学者が未解決問題を解いたり新たな定理を作り出したりする場合の思考過程と何が異なっているのでしょうか。ここでは、大学受験数学を解くためにはどういった思考プロセスを踏めばよいのか、多少抽象的な話になるかもしれませんが出来るだけ分かり易く説明していきます。このページを熟読することで、一般に言われている「数学的センス」が本質的にどのようなものであるかが理解でき、大学入試数学を解くのに発想力といったものは全く不要であることに納得していただけるでしょう。その結果、受験数学の学習に対して適切なアプローチを取ることが出来るようになるはずです。

●まず【受験数学の問題を解く】ということについて、その定義を明確にすることから始めましょう。

★大原則:大学入試数学の問題を解くということは手持ちの解法テクニック・定石のうち、どれとどれを組み合わせたら結論に至ることができるかを、問題設定の徹底した分析・解析を通して探っていくことである

これは公式の当てはめで解く「基本問題」を解く際は意識することはほとんど無いですし、それでも解答に行き詰ることはありません。しかし、本格的な入試問題(応用問題・実戦問題)を解くにあたって「知識としての解法テクニック」は持っているのに、実際には問題が解けないといった現象は、この【数学の問題を解く】ことの本質的な部分が理解できていない事に原因がある場合がほとんどです。すなわち、とにかく問題に手持ちの定石を「当てはめる」ことしか頭になく、問題設定の分析をしっかり行い結論に至るための要点をしっかり把握するという段階を忘れているのです。そのような場合は、上記の大原則を頭に入れておき問題に対し常に意識的に分析を行う習慣をつけておくだけで簡単に解決することも多々あります。以降はこの大原則を前提として話を進めてまいりますのでしっかりと覚えておいてください。

それでは、問題設定について分析・解析を行うとは具体的にはどのようなことなのでしょうか。以下に実際の模試や入試の場面で実行する機会が多い問題設定の分析法について説明いたします。

★問題設定の分析とは:前提条件(問題設定)から結論(答え)までを隔てる論理のギャップを細分化(小問化)することで段階的に論を進め、結論へと詰め寄っていくことである

※これについては少し具体的に解説しましょう。例えば【A⇒F】という問題、すなわち「Aという前提条件(問題設定)のもとで、Fという結論(Fであること)を示す」問題が与えられたとします。このような問題では前提条件Aと結論Fは直接結びつけるには【論理の隔たり】があるため(だからこそ問題として問われているわけですが)、アプローチ法として事象を【A⇒B】【B⇒C】【C⇒D】【D⇒E】【E⇒F】というように細分化(小問化)し、段階的に論を進めて(紐解いて)いくことになります。

ただし、ここで注意点があります。この細分化(小問化)された各段階【A⇒B】【B⇒C】【C⇒D】【D⇒E】【E⇒F】は「論理的意義」が必ずしも等価ではないということです。
例えば、この各段階のうち【B⇒C】の段階で選択したアプローチ法が、以降の【C⇒F】までの段階全体に影響を及ぼすということがあるとします。この場合【B⇒C】の段階で誤ったアプローチ法を取るということは以降論を進めるにあたって手詰まりが生じるということであり、この段階で正しいアプローチ法を取るということが問題解決への生命線となります。

逆に、例えば【C⇒D】【D⇒E】という段階が論理的に「自明」であり、殊更示しておく必要が無いということなどもあります。その場合はせいぜい簡単に記述するにとどめておくだけでよいのです。

模試や入試の実際の採点においても、この「論理的意義」の強弱にしたがって、配点の大小が決定されます。一般に論理的意義が高い部分(問題解決の生命線となる部分)が解答の前半部にある場合は平均点が低くなります。

したがって、結論へ至るための最重要箇所を見極めてそこを着実にクリアできるように、普段の学習・問題演習を通して経験値を積むことが最重要課題の一つということになります。

●次に受験数学と「発想力」との関係について説明していきます。いわゆる、【数学的発想力】とはどういったものを指すのでしょうか。また【数学的センス】のある人とはどのようなことに長けた人であるのでしょうか。ここでは受験数学という領域に限定して、私見を述べさせていただきます。

※数学的発想力とは、知識としての「解法テクニック・定石」を、適材適所で素早く自在に使いこなす能力のことであり、地道な問題演習の積み重ねがその大前提である

※「数学的センスがある」とは、問題演習を通して経験値を積むことで「解法テクニック・定石」を自在に素早く運用できるようになった状態を指す

要は全く同じことを言っているに過ぎませんが、結論付けられることは、受験数学においては一般的な純粋な意味での「発想力」や「数学的センス」というものを発揮する必要性は一切無いということです。受験数学の“難問”を解くことが出来たとしても、それは数学的センスの賜物ではなく、「過去に解いたことがある類似した問題」に照らし合わせて、それを手掛かりに解いたにすぎません。問題設定をしっかり分析するといった思考力は最低限発揮させる必要はありますが。
要するに、受験数学の領域では数学的発想力・数学的センスの正体は所詮この程度なのです。すべては日常学習の積み重ねおよびそこから得た経験値の賜物というわけです。

それでは最後に、【受験数学の問題を解く】プロセスについて、上記の大原則に加えてその変則例をいくつか紹介していきます。

★【変則例1】正攻法(多くの受験生が初めに考え付くであろう典型的な手法)で解くことが不可能であると思われる場合、全く別の切り口から考えてみるとすんなり解決する場合が多い

※いわゆる“難問”といわれる問題に対しては、真正面から定番の定石を用いても手詰まりとなるが、【アプローチ法の転換】すなわち全く別の角度から問題を見るという作業により、あっさりと突破口が見えることが多々あります。その全く異なるアプローチ法自体も、その場の発想力で見出すものではなく、過去に問題演習のより築き上げた、【有名難問とその解法】のストックから引っ張り出してそのまま適用するものなのです。したがって、「どうすれば大学入試の難問が解けるようになるか」という問いに対する答えは、「とにかく問題演習を通して経験値を積むこと」ということになります。

★【変則例2】証明問題などで、結論から逆の過程をたどることによって、示すべき事項と手順を明確にしていくケースもしばしばある

※これについては少し具体的に解説しましょう。上に述べたように、問題を分析する典型的なパターンといえば【A⇒F】という問題、すなわち「Aという前提条件(問題設定)のもとで、Fという結論(Fであること)を示す」問題に対し、事象を【A⇒B】【B⇒C】【C⇒D】【D⇒E】【E⇒F】というように細分化(小問化)し、段階的に論を進めて(紐解いて)いくというものでした。
しかし「やや難レベル」の問題ともなれば、その初めの【A⇒B】という取っ掛かりの段階さえ進めづらく(見えづらく)なっていることさえあり得ます。すなわち条件Aから初めに何を示せばよいのかといった具合です。そのような場合、結論Fから【F⇒E】【E⇒D】【D⇒C】【C⇒B】というように論を逆に辿ることによって、示すべき事項Bを明確にすることが出来る場合が少なからずあります。そうなると後は本来の順番で解答を仕上げるだけとなります。論より証拠、まさにこの変則例2を実行する例題を以下に示しておきます。解答例は省略しますので各々ご自身で解答のうえ、ここで解説したエッセンスを実感してみて下さい。
【変則例2を実行する例題】e=2.718…を自然対数の底とする。
f(a)=e^a−loga+a−2について、f(1/2)<1であることを示せ。

★【変則例3】高校数学の範囲外の定理・公式を用いて答えの数値を予測してから、方針について考えたり軌道修正する(例:ロピタルの定理極限値を予想)

※原則として高校数学の範囲外とされる定理は模試や入試本番の答案には用いることはできません。これについては「○○大学では実際に使用しても減点はない」など諸説ありますが、受験生の問題解決への思考過程を評価するという入試の場で、単純な知識(それも本質的な理解が伴っていない知識)により機械的に解いた答案が、しっかりと高校数学の範囲内で論理的な考察をへて結論を導き出した答案と同等な評価を得られるとはとても考えられません。しっかりと定理の証明を暗記して、それを答案に書いた後で堂々と用いれば問題ないのではと思われるかもしれませんが、それでは出題者側の意図するものと解答の方向性があまりに食い違うことになり、やはり得策とはいえません。
しかし、答えの数値の予測に用いる分は何ら問題はありません。答えの数値が予測できると、解答に用いる定石を絞り込むことが出来る場合が多々あります。また、ロピタルの定理を例に挙げると、グラフを書くにあたって収束・発散を調べる際にこっそり用いることで、見当違いのグラフを書いてしまうことを防ぐことなどにも極めて有効です。すなわち、高数範囲外の定理はそのまま解答に用いることは出来ないけれども、解答の方針を誤らないようにするための補助的な役割を果たしてくれるのです。

【大学受験数学を解くプロセス】の解説はいかがでしたでしょうか。率直に申しますと、これらの解答プロセスは実際に問題演習を重ねていくことで、経験則として各々身につけて頂くことが理想なのですが当HPの学習理論(次項より詳述)を明確に把握して頂くためにも、初めに解説させて頂きました。
それでは次回よりいよいよ具体的な数学の勉強法の解説に入ります。

ここからは数学の学習を正しく進めていくための指針を学習段階(レベル)別に分類して詳細に解説していきます(学習段階は第1段階〜第5段階の全5段階から成ります)。
ただし、これらは中学数学はすべて習得しているという前提のもとでの学習手順です。したがって、中学数学が覚束ない(中学数学が未履修であることは無いでしょうが、数学から離れて長年経過している・あるいはまったく自信がない等)という方は、「数学の学習についてのQ&A」の項目(後日アップします)にて対策について触れますのでそちらをご参照・解決の上以下の学習法に取り掛かってください。ただ、中学数学の習得といっても、高校入試の難問が解ける必要があるということではありません。高校数学への橋渡しとなる各定理・基本公式がきちんと記憶に残っていれば十分です。したがって高校入試用の本格的な問題集をこなすという必要は全くありません。
それではまずは第1段階の学習法から始めます。


★第1段階:高校数学の公式や定理を一通り学習し、それらを利用して解く「基本問題」が確実に解けるようにする

※この学習段階により到達可能な学力レベル(すなわち既に以下のラインを超えている場合は省略可)
河合全統記述模試または駿台全国判定模試:偏差値65  駿台全国模試:偏差値55


●公式や定理に慣れ親しみ、基本的な計算処理に習熟することがこの学習段階の目的です。ここでは公式・定理の概念や証明法を完全に理解できていなくても構いません。公式・定理をそのまま適用して解く基本問題(教科書で言う章末問題レベルのもの)を網羅的にこなして、「問題を解く」という行為の一連の流れを脳にインプットしていきます。
もちろん、この時点の演習では「言われた通り(例題通り)の手順で公式の当てはめを行っている」に過ぎず、「どういった場面でこの公式を用いるのか」といった本質的な理解を伴っているわけではありません。すなわち暗記数学の基本手順である「理解(納得)⇒実践⇒定着」のうち「理解(納得)」の部分が抜けています。しかしそれでもよいのです。たとえ感覚的なものにしろ、このような基本問題を解くプロセスを繰り返し実行していくうちに、無意識下であれ最も基本的な形の「解法テクニック」について“パターン認識”ができるようになります。これが以降の学習段階に進むにあたり、必要不可欠な土台となってくれるのです。
こういった、公式・定理を利用した基本問題を解きこなす作業を数学ⅠA〜ⅢC全分野にわたってじっくり行っていきましょう。

この学習段階で用いるメイン教材としては網羅性が最重要であり、加えて独学で学ぶ受験生の場合にとっては解説の詳しさ・分かり易さも必須となります。
現在のところ、多くの受験生が学習のメインに【青チャート】を使っています。第1段階で学習する内容は青チャートで言うと【基本例題】に相当します。もし、青チャートを用いた学習に違和感も困難も感じないということであれば、そのままメイン教材として使用していきましょう。この青チャートは基礎の基礎レベルから標準より少し難しい入試問題レベルまで幅広く網羅的に扱っており、対象レベルがとても広い問題集です。当サイトでいう第1段階〜第2段階までの学習はすべてこの教材で事足ります。各章末のB問題や総合演習問題まで全て学習した場合は第3段階の学習内容も幾分かカバーできてしまいます。たいていの国立大学医学部(旧帝大や単科医科大を除く)であれば青チャートのみで入試対策を終えるのも戦略としては有効です。青チャートを用いた学習が医学部(あるいは東大京大)受験の王道であるという使い古されたセオリーはそれ自体は決して間違ってはいません。しかしこれまでの指導経験から意見させていただくと、数学が極端に苦手な方や全くのゼロから学習をスタートする方にとっては、青チャートをいきなりメイン教材として使用していくのは、その膨大な分量も然ることながら、講義形式の説明を一切排除した構成の面などから、少しオーバーワークであるように思います。分冊になってはいても一冊一冊が重いため持ち運びにも不便です。少し学習を進めてみて、「やはり青チャートは重い」と感じたら思い切って下記の教材に鞍替えしましょう。
ここで青チャートの代用として使用でき、第1段階の学習事項の習得に極めて優れた役割を果たしてくれる参考書兼問題集をご紹介します。
【基礎からのシグマベスト・高校これでわかる数学Ⅰ+A・Ⅱ+B・Ⅲ+C(文英堂)】です。図を意識的に多用していることが特徴的で、編集・全体の構成・個々の解答解説にも明確な工夫が凝らされており、初修および自学自習であっても数学の基本事項を着実に習得できるようになっております。市販の導入用教材の中でおそらく最も分かりやすいのではないでしょうか。まさにゼロからの初修者向けの問題集と言えます。応用問題を削ってある分青チャートよりもコンパクトで、持ち運びにも便利です。青チャートを初めから使っていくのが躊躇される方は、“黄チャート”で代用するよりもこの教材を使用されることをお勧めします。

さて、いずれの教材を用いるにせよ、この学習段階の具体的な手順はいたってシンプルです。

【基本例題に対し、いきなり解説やまとめから読んで計算要領・解答手順を“理解”する】⇒【その直下にある練習問題を何も見ずに解いてその手法の定着をはかる】

以上です。1ページ内に1つのテーマが完結しておりますのでとても学習が進めやすいと思います。これを全分野にわたって2周回行っていきます。もちろん2周目は基本例題も自力で解いていきます。この学習段階だけでも上記の学力ラインに到達できますので、侮らず確実に習得してください。

こでは前事項の「段階別学習法」で解説したことに関連して、各学習段階においてどの参考書・問題集をメイン教材として用いるのが最適であるか、また具体的にどのような使い方をするのが理想的であるか、さらに習得にはどれくらいの期間を要するかといった学習プランの提案も含めて具体的な説明をしていきます。
基本的なコンセプトとして、「定番問題集」すなわち多くの受験生に使用されている問題集のうち、実際に学習効果が極めて高いと確認されたものに絞って紹介しております。それに加え、あまり有名ではないけれども優れた参考書・問題集についても積極的に勧めております。
それでは以下のおすすめプランをご検討の上、あなたに合ったベスト教材を揃えましょう。

★第1段階のおすすめプラン(以下の①②のいずれかを選択)
①青チャート(基本例題)  ←到達点はこちらが上
②高校これでわかる数学Ⅰ+A・Ⅱ+B・Ⅲ+C ←初修者用
+理解の補助として「はじめからていねいに」(全7分冊・数ⅡB分野まで)

※①「青チャート」を使って学習を進めていくのが過去も現在も医学部受験の王道です。例題の解説を【読んで理解出来る】といった「暗記数学実践のための最低要件」さえ満たしているということであれば、青チャートを第1段階のメイン教材として使用されることをおすすめいたします。青チャートを教材として選択した場合、第1段階の学習だけでなく第2段階まで継続して使用できます。第1段階では【基本例題】とその直下の練習問題のみが対象となります。これらを全分野通して解いていきます。もし新規で購入される場合は、「改訂版」ではなく【新課程版】を買いましょう。この【新課程版】には従来の基本・重要例題に加え、より大学入試に即した“演習例題”が扱われており、第2段階の学習においてさらに充実した役割を果たすようになりました。
また青チャートが難しく感じる場合や、全くゼロから学習を始められる方向けに当ブログがお勧めする導入書兼問題集として、②【基礎からのシグマベスト・高校これでわかる数学Ⅰ+A・Ⅱ+B・Ⅲ+C】をご紹介します。この教材は基礎レベルの問題にのみ焦点を絞ることでコンパクトな導入書として明確なコンセプトを打ち出しております。見出しやまとめといった編集に工夫が凝らされており、解説も極めて読みやすく分かり易いです。まさに基礎レベル事項の習得という第1段階の学習の目的に最も適った教材と言えます。

①②いずれを選択するにせよ、全分野を通して2周回演習していきます。
苦手な分野や分かりにくい分野については理解補助用として「はじめからていねいに(分野別)」を必要に応じ併用するとよいでしょう。

第1段階の学習に要する期間の目安について見積もってみましょう。
【青チャート(改訂版)】を用いる場合ですが、1ページをこなすのに、すなわち例題の解説の理解と直下の練習問題を自力で解くこと1セットをこなすのに平均30分かかると想定され(15分で終わるセットもありますが、40分程かかる重いセットもあり、平均で30分位と概算しました)、数ⅠA〜ⅢC全部で620セット(ⅠA:179セット・ⅡB:246セット・ⅢC:195セット)ありますので、1周するのに620×30(分)=310(時間)必要ということになります。1日4時間の学習で1周するのに2ヵ月半を要します(【新課程版】でも問題数とその内容はあまり変わらないため、同じくらいの期間と見積もってよいでしょう)。すなわち個人差はありますが、第1段階の学習には平均して4〜5ヶ月の期間が必要ということになります。以降の学習段階へのしっかりした土台を形成するためにも、ここで先を急ぎ焦ってはいけません。全分野にわたり着実に基礎力が身につけられるようこの学習段階で堅実に努力を積み重ねましょう。

第2段階:公式・定理を前提とした解法テクニックを一通り学び、それらが複数組み合わさった【定石】を用いて解く、いわゆる【典型問題】を網羅的に習得していく

この学習段階により到達可能な学力レベル(既に以下のラインを超えている場合は省略可)
河合全統記述模試または駿台全国判定模試:偏差値72.5  駿台全国模試:偏差値65

●当ブログでは原則として、【解法テクニック】とは特定の式変形・変数の設定・文字の消去といった、問題の解決に有効となる1つ1つの手法を指すこととし、【定石】とは複数以上の解法テクニックを組み合わせた、“パターン化された一連の解答の流れ”を指すこととします。

この学習段階では基本公式・定理を前提とした、受験数学を解くのに有効な特定の式変形・文字の設定や消去といった「解法テクニック」をまずは一通り習得します。
加えて【典型問題】といわれる、【定石】を適用して解答する問題を網羅的に学習します。
「解法テクニック」と「定石」は表裏一体な面もあるので、これらの習得は別々にではなく、分野ごとに同時進行で行っていきます。
この学習段階では【暗記数学】を本格的に実践していくことになります。「理解(納得)⇒実践⇒定着」の一連の手順を繰り返し実践していきます。

第2段階で用いる教材としては、網羅性と解説の分かり易さの2点が必要となります。
青チャートを用いて学習されている場合は重要例題と重要問題(ブラスB問題など章末問題)までをすべてこなせば、この学習段階は終了となりますので第1段階に引き続き使用していきましょう。青チャートの重要例題・重要問題の総数は、第1段階で扱う基本例題・基本問題の問題数の3分の1以下であるため、第2段階の学習は比較的短期で終了するかと思います。第1段階において青チャートを使用していない場合や、第1段階が既に身に付いているといった理由で第2段階から数学の学習を開始する場合は、同等の網羅性とチャートシリーズには無いコンパクトさを兼ね備えた【1対1対応の演習(東京出版)】を第2段階の学習のメイン教材として使っていきましょう。第2段階の学習教材として、当サイトではこちらの教材の方をお勧めしております。ただし青チャートを使用されている場合はわざわざ入手しなくてもよいと思います。

いずれの教材を用いるにせよ、この学習段階の具体的な学習手順は第1段階の手順に「理解(納得)」が加わったもので以下のようになります。

【例題に対し少し問題を考えてから、解らなければ解答解説を読み込んで解答の流れを“理解”する】⇒【その直下の練習問題を何も見ずに解いてその解法テクニック・定石の定着をはかる】

これを全分野網羅的に、2周以上(理解できない事項が無くなるまで)行っていきます。実のところこの学習段階の習得により大抵の国立・私立医学部において十分合格ラインに達します。それほどこの学習段階は受験数学の学習の根幹を為すものであると言えます。決して焦らずじっくり・着実に取り組んでいくことが肝要です。

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①青チャート(重要例題)
②1対1対応の演習  ←第2段階から学習を開始する場合など

※第1段階の学習で青チャートを使用した場合は、引き続き第2段階でもメイン教材として使用していきます。第2段階では重要例題とその直下の練習問題を解いていきます。

また、第1段階で青チャートを使用しなかった場合や第2段階から学習を始めるといった場合は、当ブログでは第2段階で用いるメイン教材として、【1対1対応の演習】を使用されることを推奨いたします。この問題集は極めてコンパクトに典型問題の解法テクニック・定石を網羅的にまとめてあり、持ち運びに便利で日常学習に相性が良いです。また、整数問題といった入試には頻出であるが青チャートでは重点的に扱われていない分野についてもしっかり取り挙げられているため、全冊仕上げたときの到達点は相当なものといえます。
問題数は数Ⅰ〜数Cまでの全6冊合わせて例題400題・練習問題400題の計800題であり、定石を完全習得するための教材として十分すぎるほどの網羅性・分量です。
1周目については、1ページに収まっている例題とその直下の練習問題のセットをこなすのに40分要するとして、【全400セット×40(分)=16000(分)=266時間】もの時間を要します。1日3時間の学習で3ヶ月・4時間の学習で2ヶ月強で終了します。2周目は半分くらいの時間でこなせるはずなので、この教材を用いての学習プランの場合、第2段階の学習に費やすべき期間の目安として、4〜5ヶ月は確保しておきましょう。

青チャートを引き続き用いる場合、1セットをこなすのに平均40分かかるとして、重要例題セット(重要例題+直下の練習問題)は全部で198セット(ⅠA:58セット・ⅡB:72セット・ⅢC:68セット)ありますので、1周するのに198×40=(132時間)必要ということになります。1日4時間の学習で1ヵ月ほどで1周できます(【1対1対応の演習】の半分の期間ですね)。要するに第2段階の学習は2ヵ月ほどに短縮されます。まあその分第1段階の学習に時間がかかる(基本例題は重要例題の3倍以上の分量)わけですから、結局プラマイゼロといったところでしょうか。

いずれにせよ、第2段階までの学習内容で、多くの国立大学医学部・および慶應医以外の全ての私立大学医学部において合格点を取ることが出来ます。したがって焦らずに着実にこの学習段階をこなしていってください。

第3段階:解答にあたって、問題設定の分析等を通して、用いるべき解法テクニック・定石を自ら「吟味して」選択することが必要な【応用・発展問題】を習得していく。また全公式の証明に挑戦したり、程度の高い定石の習得にもあたっていく。

※この学習段階により到達可能な学力レベル(以下のラインを超えている受験生のみ省略可)
駿台全国模試:偏差値75  東大模試・京大模試:偏差値70

●ここで、当ブログにおける【応用・発展問題】の定義づけをしておきます。おそらく一般的な意義とは多少異なる部分があるかと思います。
【応用・発展問題】とは「問題設定が目新しい」といった理由により、答えに至るのに必要なプロセス(どの定石を用いればよいか)が不可視化(一読しただけでは気付きにくいように)されており、適切な手順で設定の分析を行うことで、用いるべき定石を自ら見つけ出さなければならないような問題を指すこととします。
多くの難関国立大ではこの【応用・発展問題】を軸に問題が構成されていますが、予備校などの難易度評価ではこれらの問題は「標準レベル」として分類されることが多いのであらかじめ注意しておいてください。

第3段階の学習の最大の課題は、「適切な場面で」「適切な定石を」使えるようになることです。
知識自体は第2段階までのもので十分事足ります。しかし【応用・発展問題】は【典型問題】とは異なり、問題文を読んで即座にパターン認識できるような単純な問題構成とはなっていません。ここで非常によく見られる失敗パターンは、根拠のない思い込みで解答に有効でない定石を選択してそれにこだわり、手詰まりとなってしまうことです。きちんと問題設定を把握し、分析することを通して、「結論に至るまでどの情報が不足しているか」・「どの定石を使えば話が一歩進むか」を自ら見つけ出せるように訓練することが必要不可欠となります。

この第3段階の学習では、第2段階までで用いた網羅系参考書・問題集は卒業し、定評のある「実戦用問題集」1冊を学習のメインに据えて進めていきます。
当ブログでは、第3段階の学習に最適な問題集として、【やさしい理系数学】を推奨しております。
この問題集は題名とは異なり、単純な典型問題はあまり収録されておらず、しっかりと考えて定石の選択・適用を行わなければ解けないような応用問題が数多くあります。また、程度の高い定石も一部で扱われておりそれらを習得することで守備範囲の拡大も図れます。

具体的な使用法としては、実際の入試も想定して1題につき30分以内に自力で解答を仕上げることを基本方針とし、30分かけても解決の糸口が見つからなければ、解答解説を熟読して、【何に気付けばその問題が解けたか】【どういった思考プロセスが不足していたか】をしっかりと吟味してください。この学習段階では問題が解けない原因は「定石の不足」にはなく、思考プロセスが不十分であることが多いので、解説を軽く読んで納得して終了という学習は意味を為しません。一方で、自力できちんと正答に至ることが出来たのなら、思考プロセスは正しく身についているということであり、解答解説の吟味は殊更必要ありません。そのメリハリについても留意してください。
【やさしい理系数学】と双璧を為す第3段階のメイン教材候補としては【じっくり考えてたくさん解く本格問題集(ⅠAⅡB編・ⅢC編)】が挙げられます。この教材は収録問題数の多さ・網羅性が大きな利点であり、十分すぎるほどの演習量を積むことが出来ます。敢えて欠点を述べるとすれば、対象レベルが極めて広く(これ自体は利点ですが)、第2段階の学習内容もかなり含まれているため第3段階の学習としては重複が生じてしまうこと、また「難問演習書」として謳ってはいますが、全体的な難度はそう高くは無いため最上位レベルの受験生の場合少しガッカリするであろうということです。ただ、この学習段階のメイン教材としては素晴らしき役割を果たしてくれますので検討してみて下さい。

メイン教材としては上記のいずれかを使用することになりますが、ここで各公式を「自力で導出する」という学習を併用しておくとさらに効果的です。たった1つの公式の証明をとってみても、数多くの入試問題を解くのに必須の解法テクニックが詰まっています。証明することを通して、どういった場面でそれぞれの公式を用いればよいか、本当の意味で公式を理解・習得することが出来ます。定石の総確認の意味でも実践力アップの面でも公式の証明は極めて重要です。青チャートをはじめとする多くの網羅系問題集・参考書に公式の導出法が掲載されておりますので頑張って習得していきましょう。

第3段階のおすすめプラン(以下から1つを選択)
①やさしい理系数学  ←難関大志望者向け
②じっくり考えてたくさん解く本格問題集(ⅠAⅡB編とⅢC編)
③理系数学入試の核心・標準編(Z会出版)  ←①②より易しめ
④理系数学の良問プラチカ(ⅠA・ⅡB編とⅢC編)

※この学習段階は応用問題を中心に演習を行っていきます。
【やさしい理系数学】はこれまで多くの国立医学部受験生がメイン教材として用い、またその結果合格を勝ち取ってきた、名実ともに信頼性のある問題集です。本の題名と違い全体的な内容は標準〜やや難と決して簡単ではありません。問題数は全部で180題(例題50題・練習問題130題)ですが、例題はいずれも大問2〜3題分のボリュームで、十分な演習量が積めることと思います。第2段階までの学習内容をしっかりと習得しているならば、迷わずこの問題集をメインに学習を進めて失敗はありません。

【じっくり考えてたくさん解く本格問題集(長岡亮介著)】は題名通り問題数が多く抜群の網羅性を実現した問題集です。難易度についてもやや易〜やや難レベルと揃っており、これほど対象レベルが幅広い問題集も中々無いと思います(第2段階の学習内容も多く含んでおります)。一つ納得できない点があるとすれば本の題名や宣伝文句の件でしょうか(センスの問題ではありません)。この書名や前書きで述べられている事からはいかにも【難問演習書】であるような印象を受けますが、実際には問題の多くは標準的な難度であり、そのため実戦的問題や難問に数多く当たりたいと望んでいる最上位レベルの受験生の場合、その内容に拍子抜けするかもしれません。すなわちこの問題集は題名に反して敷居が高過ぎないお手頃な問題集なのです。【やさしい理解数学】の逆バージョンといえます。このように言うと批判しているように感じるかもしれませんが、第3段階のメイン教材としては私は極めて高く評価しております。到達点に関しては【やさしい理系数学】と遜色ありませんので、書店で確認の上使いやすい方をご選択下さい。

「理系数学入試の核心・標準編」は「やさ理」よりは若干難易度は易しめですが、入試標準問題はしっかりと網羅しており、解答のポイントを見やすくまとめてあるなど、使いやすい構成となっております。

「理系数学の良問プラチカ」はⅠA・ⅡB編とⅢC編の二分冊となっています。第3段階のメイン教材の候補の一角ではありますが、ⅠA・ⅡB編は一問一問が比較的軽くこの段階の到達目標に対しては若干不足気味かもしれません。それとは対照的に数ⅢC編はこの学習段階としては若干難しめではありますが、取り組む価値は大いにあります。

第3段階の学習に要する期間について「やさしい理系数学」を使用する場合で説明いたします。
やさしい理系数学は例題50題と練習問題130題から成り、重要な定石(やや程度が高いものも含む)をまとめた例題は各問極めてボリュームがあり、1題こなすのに平均1時間くらいはかかるでしょう。一方で練習問題は解説の吟味を加味しても1題あたり45分程で習得できると思います。したがって、1周目の学習は【例題50題×60分+練習問題130題×45分=8850分=147時間】1日3時間の学習ペースで2周回すのに3ヶ月程を要するということになります。

第4段階:【実戦問題】とよばれる、徹底した問題設定の分析を実行したり、「実験→一般化」を通して解答への道筋を自ら作り出していくといった「思考力を発揮すること」が不可欠な難度の高い問題を数多くこなしていく

●この段階からの学習は全ての受験生に必要となるわけではありません。主に東大・京大・阪大・単科医大の志望者が対象となります。入試問題では「やや難〜難レベル」に分類される問題が演習の中心となります。
この段階では「新たな定石」を習得する機会はあまりありません。むしろ思考プロセスを洗練させるという作業を主に行っていくことになります。
目新しい問題設定に対して、“簡単なケースでの実験”を行うことで状況を明確にしてから次に一般化されたケースについて考えるという思考プロセスに慣れ親しんだり、問題設定から結論(答え)までを隔てるギャップに対して、「まずこれが分かれば次はあれも分かる」というように課題を細分化(小問化)することで段階を踏んで結論へ詰め寄っていくといった論理展開を習得することが課題となります。

ここでもう一点、第4段階の学習・問題演習で常に心がけて頂きたいことは、「とにかく手持ちのテクニックで極力自力で正答に至る」ということです。発想次第でもっと簡単に正答に至る手段があったり、その時のコンディションが原因でベストな解法に気付かず、効率の良くない面倒な手法を用いていたとしても、きちんと論理的に正しい手順で正解出来ているならばその問題は制覇出来たとみなしていきます。
したがってこの段階の学習で用いる問題集は「解説の詳しさ・分かり易さ」は二の次となり、質・難度が高い問題を網羅していることが絶対条件となります。
おすすめの問題集は【新数学演習】です。ただし、一般的に推奨されている理由とは恐らく異なる理由で私はこの問題集を奨めております。この問題集は解答解説部分に高等テクニックを数多く用いており、それらを習得することが主な目的であるように評されておりますが、これらの高等テクニックは汎用性に乏しく、余程数学に普段から興味を持ち、努力を惜しまない(というより努力と思わない)受験生でない限り、使いこなせません。
したがって各問題を極力「自分の手持ちのテクニックで」解いていき(そのテクニックが数学的に正しいものかどうかはこの学習段階では既に判別がつけられるようになっているはずです)、結果的に正答出来たかどうかを確認していくといった使い方を推奨します。やや難問題をターゲットにひたすら数をこなす事を目的に使用するということです。

また、「型にはまった難問」が出題されやすい単科医科大志望の方は【ハイレベル理系数学】の方がおすすめです。詳しくは「おすすめ参考書・問題集プラン」の項目で説明いたします。

東大理三志望の方は【東京大学への数学(駿台文庫)】【東京大学数学(河合出版)】を、京大医志望の方は【京都大学への数学(駿台文庫)】【京都大学数学(河合出版)】を用いて実戦的演習を行い、夏秋の模試に備えておきましょう。ぶっつけ本番で高得点は取れません。【新数学演習】で学習したことを最大限に発揮するためにも(無駄にしないためにも)模擬試験の練習はしっかり行っておきましょう

①新数学演習(東京出版)  ←東大理三・京大医向け  
②ハイレベル理系数学   ←阪大医・単科医大向け
東京大学への数学(駿台文庫)
東京大学数学(河合出版)
京都大学への数学(駿台文庫)
京都大学数学(河合出版)

※この学習段階ともなれば、汎用性の高い定石に出会う機会は少なくなります。むしろ、思考プロセスを洗練させることを目的として実戦問題をこなしていくことが重要な課題となります。したがってメイン教材に必須の要件は「解説の分かり易さ」ではなく「演習価値の高い実戦問題を数多く掲載している」ということになります。極端な話、解説など不要で答えの数値だけ載せておいてくれれば十分なくらいです。

まずメイン教材候補の筆頭として、【新数学演習】が挙げられます。この問題集は長年東大理三・京大医志望者の定番演習書としての地位を堅持してきたもので、リニューアルはあまり行われていないにもかかわらず現時点においてもやはりその演習効果は変わりありません。
もう一つのメイン教材候補としては【ハイレベル理系数学】があります。これは「やさしい理系数学の」1ランク上”の問題集という名目ではありますが、“やさ理”の学習の延長として使用する問題集ではないので注意が必要です。というのも、この問題集はいわゆる過去に採りあげられることが多かった程度の高い問題、すなわち「有名難問」を主に扱ったものであるからです。したがって、新作問題を次々と出題する東大理三や京大医学部を志望する受験生にとってはあまり恩恵が得られないかと思います。
この問題集が奨められるのは、高等定石を用いる問題が頻出する単科医科大あるいは阪大医志望者です。単科医科大を第一志望とする受験生であれば、“第4段階”の学習のメイン本として使用することで強力な学習効果が得られます。

また東大理科三類・京大医を志望する受験生はそれぞれ東大模試・京大模試で結果(B判定以上)を出すことが求められますので、模試の過去問集(③〜⑥)を用いて実戦的演習を行っておく必要があります。

第5段階:整数問題など、分野別に難問演習や体系的学習を行うことで志望校に応じた徹底した補強を行っていく。題材は市販の問題集に限定せず、インターネットで検索したり様々な手段を使う

●この段階に到達するころには既に全国トップレベルの実力に到達しているはずです。これよりさらに実力錬成をはかっていくかどうかは、他の科目の学習との兼ね合いもありますし、時間的余裕を確保した上での決断事項といえます。時間と気力の問題をクリアしているという前提のもとで、第5段階の学習内容にについて解説してまいります。

第4段階までの学習を堅実にこなしてきた受験生の中には、さらに志望大学に応じて分野別に万全な補強をしておきたい方も当然おられると思います。例えば、京大医志望であれば京大に頻出の【確率】【整数】についてどんな難問でも解ける状態まで仕上げたいと考えるのも自然な流れですし、単科医科大学志望であれば、【数Ⅲ微積】について難問演習はもちろん体系的な理解もしておきたいと思われるかもしれません。
そのような方々におすすめしたいのが東京出版の分野別ハイレベル教材です。
【解法の探求・微積分】【解法の探求・確率】【マスター・オブ・整数】【マスター・オブ・場合の数】などがあります。特に補強したい分野に絞って演習していきましょう。特に【解法の探求】に関しては大学入試用教材として最高難度を誇り、取り組みがいのある名著といえます。

また、分野によらず積極的に難問に挑戦していきます。使用する教材ですが、東大・京大の過去問を集めた【東大の理系数学・25カ年】【京大の理系数学・25カ年】が最適であると思います。この問題集は各問題に難易度がAランクからDランクの4段階評価で付けられていますが、Cランク・Dランクに絞って基本的に時間無制限という条件で解いていきます。実際の入試では捨て問とするのが賢明な難問揃いですが、原則的に解答を導くまでは答えを見ないようにしましょう。こうした徹底した思考訓練を行った末に導いた結論は鮮明に記憶に残り決して忘れませんし、以降同様のケースに遭遇した場合は短時間で解決できるようになるでしょう。

さらに時間に余裕があれば、受験数学の各分野について、出題頻度の高い問題パターンや重要な定石についてリストアップしたり要点をまとめるといった作業を行っていきます。もし何らかの機会に学習効果の高い難問に出会うことができたら新たにリストに追加していきます。これは本来は指導的立場にある者が日常的に行っていることなのですが、受験生が実践しても極めて有効な思考訓練となり、習熟すれば模試や入試本番で問題を上から見下ろすように余裕をもって解答することができるようになります。第4段階までで相当数の問題をこなしていないと実行不可能な学習であることは当然ですが、もし余力があるならば第5段階までの学習の総仕上げとして実践されてはいかがでしょうか。

※以上で受験数学の学習は完了です。といっても第5段階まですべてこなすことは並大抵のことではなく、3〜4段階の学習までで入試本番を迎えるというケースが殆どでしょう。したがってそれぞれの志望校・目標に応じて、現時点で習得が必要な学習段階を見極め、じっくりと着実に実践していくことが何より重要です。

第5段階のおすすめプラン(必要に応じて以下から選択)
①解法の探求・微積分(東京出版)
②解法の探求・確率(東京出版)
③東大の理系数学・25カ年
④京大の理系数学・25カ年
⑤各分野の難問・良問をインターネットで検索(最もおすすめ)

※この学習段階の重要課題の一つは、必要に応じて分野別に徹底的な補強を行っていくことです。その目的には東京出版の分野別ハイレベル演習書が有効な選択肢の一つです。
その中でも自信をもってお勧めできる教材が、【解法の探求・微積分】です。実戦的な演習問題を網羅しているだけでなく、理解の浅さを思い知らされるような教育的な良問、さらに原理についての厳密な理論体系の解説も扱っており、まさに受験数学の最終段階のテキストとして十分な役割を果たしてくれます。

【解法の探求・確率】についても全く同様のコンセプトであり、確率が頻出の東大・京大志望者には是非とも挑戦して頂きたい良書です。

さらに余力があれば、今度は分野にこだわらず難問にじっくり取り組んでいくという学習を実行していきましょう。特におすすめなのが、インターネットを使って強化したい分野の難問や良問を検索するという手段です。あなたが求めるような珠玉の問題に必ず出会えます。
市販のものとしては、東大・京大の過去問(特に2000年以前)が理想的です。【東大の理系数学・25カ年】【京大の理系数学・25カ年】を取り揃え、難易度CランクまたはDランクの問題に絞って、時間無制限でじっくり挑んでいきます。

※以上の【おすすめの参考書・問題集プラン】をメインに、さらに【市販の参考書・問題集レビュー】のページ(後日アップします)で紹介しておりますその他の教材も参考にして、あなたに最適な教材を取り揃えましょう。

もう一つの悩みは自分の勉強に自信が持てないことです。
どれだけ勉強しても不安で不安で、周りの人と比べてまた自信がなくなって、
焦って全然身にならない勉強ばかりしてしまうんです。
こんな私にアドバイスいただけますか。
厳しい言葉でも構いません。そのくらいじゃないと変われないと思うんです。
自分に甘いってわかるんです。私変わりたいんです。よろしくお願いします。
⇚自分に自信を持つというのは実はとても難しいことです.
誰でも今の勉強が正しいのか,不安な状態の中で過ごしています.
自分に自信が持てるのは唯一,結果が出せたときだけなのです.
自分一人で何かを成し遂げようとするのは本来とても難しいことです.
多くの場合,失敗し,挫折し,諦めることになります.
だからこそ偉人と言われる人はほんのわずかしかいないんですよね.
スポーツ選手を見ても,コーチをつけず一人で頑張れる人はほとんどいません.
自分のやり方が正しいかみんな不安だからこそ,
コーチの指導を信じて頑張っているのですよね.
実は勉強も同じなんです.
ほとんどの人は自分一人で勉強しているように見えますが,
誰だって自分に自信があるわけではありません.
けれども,自分が教わっている先生や自分が使っている参考書を信じ切ることはできます.
この先生についていこう,この参考書を徹底的にやりきろう・・
その努力から結果が伴ったときに人は自分に自信を持つことができるのだと思います.

受験数学勉強法|仮面浪人医学部合格の記録&医学部生の受験勉強法解説

こんにちは。とっしーです。今回は数学の勉強法を書きました。医学部受験をしない方にも参考になる勉強法だと思いますので参考にしてくだされば、と思います。というか、今回の記事は難関大志望者全体に参考になるように書いたので、ぜひ読んでみてください。



[1.記事作成時の苦労]
仮面浪人が終わってから、今後の受験生の参考になればと思い、様々な科目について勉強法を書いてきましたが、数学の勉強法を書くのには非常に困りました。というのは、数学は持つべき意識というものがかなり大切になってくるためです。正直、記事を書いたところで、俺の考えている「数学を勉強する際の意識」というものを受験生に伝えることができるのか、と疑問でした。同じ参考書を使っていてもかなりの学力差が生じてしまう数学という科目の勉強法を文章で適切に伝えられるかが疑問でした。ちなみに今も伝えられているか疑問です。
ただ、家庭教師や塾講師をし、様々な問題集、参考書を参照して行く中で、多くの受験生が俺の伝えたい意識を理解してくれるような問題集や勉強法の伝え方というものを俺なりにつかめた気がするので、今回記事をあげてみることにしました。全ての方に伝われば幸いですが、伝わらなかったら申し訳ないです。
今後も家庭教師や塾講師で数学を教える場面があると思うので、伝わらなかった場合は出直してきます。




[2.数学の勉強段階]
ここでは数学の勉強はどういう手順で踏む必要があるのかを、どういう手順だと効率がいいのかを紹介します。
さて、俺の中では数学力は基本的には三段階あると思っています。

・第一段階・
教科書内容の理解(定理や公式の正しい使い方の基本を知る)をする。普通の人は学校の勉強で事足りるはずである。もしやってないとしたら、教科書や教科書レベルの本を自分でやる必要がある。

・第二段階・
標準典型題を把握し、それに使われる解法、定理を正しく使えるようになる。自分で分野毎に必要な問題パターンを書き出せるようになることがこの段階の「卒業条件」である。とはいえ、第三段階に移行したあとも、第二段階の問題の復習は欠かさずやる必要がある。受験日の前日までやり続けて欲しい勉強である。(東京一工阪、旧帝、早慶、医学部などの難関大志望以外の人はこのレベルまでで十分。実際難関大志望でもこのレベルをマスター出来れば、合格点近くまで取れると思う。)

・第三段階・
難関大志望者の場合、難関大頻出の典型題を習得する必要がある。難関大志望者にとって、合格点を超えてしっかり合格する為には、絶対欠かせない勉強である。問題の解法やそれを用いる理由、分野毎にどれだけの問題パターンがあるのかを把握して初めて、この段階をマスターしたことになる。ただし、直前までやり続けること。ちなみに都市部医学部に受かりたいのであれば、この段階は完成させないとダメです。この段階をやらずに受かるのはかなり厳しいです。第二段階で満足せずやりましょう。

数学が苦手な人の多くは色々な段階を混同しながら勉強している人が非常に多いと思います。また、それに加えて勉強時に必要な意識を持たないまま、ただ機械的に解法を覚えているとなったら、それは当然伸びないと思います。全体のアウトラインを掴まないまま、無駄に復習ばかりしても正直無駄です。数学の勉強の段階を意識して、自分の立ち位置を把握して、後述する「数学の勉強時の意識」を持ちながら勉強した方が遥かに効率がいいです。背伸びをせず、また自分の今いる段階に満足せず、勉強をして行きましょう。




[3.志望別に望まれる学力とその時期]
ここでは、志望別に望まれる数学の勉強法を紹介していきます。自分の立ち位置を把握し、間に合ってない場合は急ピッチで間に合わせて下さい。また、間に合っていたとしても早めに次の段階に移行した方がいいので、慢心せずに頑張ってください。(無理する必要はないですが。)


(a)上述の難関大志望現役生(特に医学部、東大志望)
高3になるまでに数学3Cまで全分野を第一段階のレベルで学習するのは基本になります。国公立で進度が遅い場合は自分で未修分野を終わらせてください。現役で安心して受かりたいなら絶対です。ポテンシャルの高さを自負していてもダメです。他の合格するような医学部受験生はあなたと同じようにポテンシャルは高いです。早めにこの第一段階を終わらせることが、現役合格への一つの鍵となります。
そして、第一段階が終わったあとは、すぐさま第二段階に移行してください。この第二段階は少なくとも夏休みまでには、「全分野」について「一通り第二段階の卒業できたな」、「マスター出来たな」と思うレベルまで到達する必要があります。
そして、夏休みの中頃までには「絶対に」第三段階に移行する必要があります。(早めに移行できればそれがベストです) 思ったより第三段階は時間がかかります。というのも第二段階も並行して勉強しなければならないためです。頑張りましょう。
で、第三段階の問題集を一通り勉強出来たら、過去問を解き始めてください。現役生だと、この時期は早い人で11月、遅い人で12月くらいだと思います。ちなみにこの時期になっても、第二第三段階の勉強は並行して行ってください。あとはウェイトを変えながら入試まで復習と過去問演習をやるのみです。
このペースでマスターしながら勉強すれば、全統記述模試で偏差値70は絶対に超えます。逆に超えていないとなると、段階ごとの勉強が未熟か「数学の勉強に必要な意識」を持たずに勉強している可能性があります。後者の場合はわりと深刻です。後述する「意識」をしっかり持って勉強していきましょう。

(b)上述の難関大志望浪人生
予備校の授業に力を入れないつもりの学生が対象です。あとは学力が高めで、予備校の授業が非効率に感じるようになったレベルの学生が対象です。それ以外の人は、予備校のテキストをやった方が無難です。ただしどちらの学生も後述の「意識」を持って勉強することは必須です。とくに浪人生は「意識」を持たなくなりがちなので注意です。逆に意識を持って取り組めば驚異的に学力が伸びます。
あと、滑り込み合格したマグレ野郎がドヤ顔で「○○○って問題三周すればOK」とか言ってくることがあるかもしれません。無視しましょう。まぐれ合格者の勉強は当てにできません。聞くなら、せめて絶対的な学力で合格した現役の友人にしましょう。
さて、浪人生の場合、割と学力がある場合は四月から第二段階に移行して構いません。浪人生の場合、早くて6月、遅くて8月くらいまでに「全分野」について「一通り第二段階の卒業できたな」、「マスター出来たな」と思うレベルに達する必要があります。
そして、その後は速やかに第二段階の勉強を並行しながら第三段階に移行する必要があります。ちなみにここで大切なのは、第二段階を並行してやることです。慢心せず第二段階の勉強もできる限りでいいので並行して行なってください。
で、第三段階の問題集を一通り勉強出来たら、過去問を解き始めてください。かなり優秀な浪人生なら夏頃に始めているかもしれませんね。(東大志望の勉強できた友人が夏頃から25ヶ年をやっていたのを覚えています。)まあそこまでいかなくとも、11月にはちょくちょくやるべきだと思います。12月には絶対解き始めましょう。ただし、その際も第二第三段階の勉強は欠かせません。あとはウェイトを変えながら入試まで復習と過去問演習をやるのみです。
ちなみに「意識」はしっかり持って勉強してください。

あと未修の分野がある現役同様の浪人生は(a)の現役生と同じ感じで勉強してください。

(c)中堅大学志望の学生(理科大、上智、MARCHなど)



[4.数学の勉強の仕方ー日々の勉強ー]
数学が得意な人からしたら当たり前すぎて、「わざわざ何を書いているんだお前は。」と思われるかもしれませんが、意外に分かってない人が多いのも事実です。なので、一応しっかり読んでいただけるとありがたいです。さて、数学の勉強というのは、独学の際は以下のようにするのが普通です。

・Step1・
問題集の問題を解く&考えてみる。
正直、学力が安定するまでは数学の問題は自力で解くのが厳しいので、ここで時間をかけすぎる必要はないです。解けるなら解けるに越したことはないですが、時間がない人なら計算を省いたり、解答のアウトラインだけ作るにとどめてもいいと思います。(ただし、問題を最後まで解ききることはある程度は絶対に必要です。)まあ問題を知るっていうフェーズです。
・Step2・
解説を「意識」しながら読んで理解する。
意識や問題の解き方等については後の項で詳述しますが、とにかく「意識」しながら問題の解法を理解し身体で覚えて下さい。
「この問題の方針はなんなのか」
「この変形はどういう意図で行なっているのか」
「お、ここの変形便利じゃん!次使おう!」
「この解法は要するに○○○って事だな。そういえば、この解法はあの時のあの問題の解法に似てるな」
とか、そういう意識を持って問題の解答の理解に励んでください。
また、一通り問題を理解できたと思ったら問題の整理を行ってください。
「ああ、この問題はベクトルの問題で、内分点の公式を拡張させた問題だな。内分点の公式を使う場面は○○○みたいな時だな。そしてこの問題は△△△の問題の類題になっているな。」
みたいな感じで問題の要約をして下さい。これ意外に大事です。問題をマクロに見る作業って大事です。

・Step3・
問題ができるようになるまで復習する。
解答が理解出来たら今度は、解けるように復習しましょう。一度は全部といてみるといいでしょう。それで出来たらそれ以降の復習はアウトラインにとどめる程度でいいと思いますが、まあとにかく復習しましょう。数学力を伸ばす鍵は復習です。復習なくして数学力は伸びません。復習には、解法の整理、「意識」の定着化、実践力の向上など様々な効用がありましょう。復習もしないで、数学が伸ばしたいとか言ってたら言語道断です。復習はメチャクチャ大切です。
ちなみに復習というのは忘れる直前までにするのが大事です。忘れてから復習したのでは手遅れです。それは一回目の復習と同じになってしまいます。忘れないうちに復習しましょう。忘れそうになったら、気が向いたら復習。そんな軽いノリでいいんです。反復すればするだけ伸びます。(まあ当たり前になったら復習し続ける必要性はなくなりますが)ただし、復習する際にもStep2で挙げたような「意識」を持つことは忘れずに。意識を持たないまま復習してもたかがしれてます。


まあ、こんな感じで日々の学習をしてみてください。今まで、機械的に覚えた解答ももっと意味合いを持つようになると思いますよ。というか趣旨を理解している問題を増やせれば自ずと伸びます。どんな人にも納得させられるような説明ができるレベルに到達できればその問題はクリアです。そんなクリア問題を増やして行けば数学の成績はきっと伸びます。
ただし、たまには自力で初見の問題を解くトレーニングもしてくださいね。復習だけでは、前述の「解答力」は満足なレベルまで伸びません。以下の5項や6項に書いてあることを意識しながら、たまにはトレーニングもしましょう。普段の問題集を使うのでも構いませんから。




[5.数学の勉強時に持つべき意識ー日々の学習での意識ー]
前項でも書きまくりましたが、数学の勉強をする際に一番重要になってくる要素の一つです。というか「意識」を持たずに勉強しても伸びるわけがないと思います。闇雲に復習する学生と意識をもって復習する学生では雲泥の差があります。
では、その「意識」ていうのは何なんでしょうか?俺自身、未だに要約することはできませんが、だいたいは把握できているとは思うので、以下に箇条書きします。他にも色々あると思いますが、それは個々人で意識するようにしましょう。

・問題文を読んだ時・
「要するにこの問題は何を言いたいんだ?」
「要するにこの問題は何を求めさせたい、何を証明させたい問題なんだ?」
「この文章を式化するとどうなるんだ?」
「そうか。ここで(1)を使うのか。」
「まず、この問題の方針をたてよう。」

・問題解説を読んだ時・
「そうか、ここであの公式を○○○という理由で使うのか」
「この変形はどんな意図で行ったんだ?」
「この問題に使われた解法の使用できる条件ってどんな時だ?」
「この問題の解法は要するに○○○ってことだな。この問題は△△△という部分においてあの問題と類似しているな。」
「この計算法って賢いな。覚えておこう!」
「この問題の解法を一通りまとめておこう」

・復習する時(問題解説読解に加えて)・
「ここでの方針は○○って理由で△△を使うんだったな。丸暗記にならないように理解しながら覚えとこ。」
「なるほど!前回は気付かなかったけど、こんなところにも他の問題と共通点があるのか。」
「この解法の使用条件は○○○だったな。何度もやるうちに染み込んできた!」

こういうことを意識するとしないとでは、理解の差や応用力の差が大きく開きます。目的意識を持って勉強したり、一つ一つの過程を「意味付け」して考えることはとても重要です。学力の高くない学生は、殆どが勉強の意味付けをできていない気がします。大体の人が杓子定規に
「合格者はこの問題集三周したから伸びた。おれも三周するぞ。」
「とにかくこの問題を出来るようになるまで解きまくるぞ」
みたいな感じでなんでそれの何が大切か分からず闇雲に解いているだけの気がします。さらにそういう人ほど「やってるのに伸びない」で負のスパイラルに陥りますし、それで自分を過大評価していたらもうどうしようもないです。そうなる前に意識する習慣をつけましょう。
分かりやすい先生ってのは、「なんでこうするのか」みたいなことを説明してくれると思います。そうした意味付を自分でもやっていってください。「意識」は大切です。


[6.数学の問題の解き方ー自力で問題を解くー]
復習も大切ですが、入試本番は基本的に未知の問題に当たることになります。未知の問題を今まで培ってきた知識とセンスと思考力で対応することが必要になってきます。
そうした解答力を身に付けるには日頃から練習、というか正しく問題を解けるようになる頭の使い方を習慣化する必要があります。
数学があまり得意ではないという方は問題を解くときどのようなことを考えていますか?

・最大最小を求める問題だからと言ってむやみやたらと微分したりしてませんか?
・がむしゃらに式変形してドツボにはまっていませんか?
・なんにも思い浮かばなくなって白紙のまま硬直していませんか?
・解答中にいきなり自分が何をやっているのかわからなくなっていませんか?

こうした経験のある人はすぐさま頭の使い方を変える必要があると俺は思います。難しい問題になったら手も足も出なくなるだろうし、量こなしても解けるようになりません、というか非効率だと思います。