難関大突破 究める物理?・?

難関大突破 究める物理?・?

書籍の価格 2000円とあります。

本書のテーマ

「学校の定期テストはまあまあ出来るけど、難関大の模試や過去問になると、どうも
歯が立たないんですよ。何か、壁があるみたいです・・。」
〜中略〜
それにはズバリ
 難関大特有の「急所テーマ」を含む問題の研究
が不可欠となります。

これまでの難問演習書はえてして解説が不親切(「このくらいの大学受けるならわかっていて当然だ」のような感じ)で
簡潔すぎでした。そのためなかなか進まず、中途半端に終わることが多いのが事実でした。

おそらく、このブログでも問題をいくつか取り上げた「難系」といわれている問題集も念頭にあるのかと。
ふと思いました。
例題が118あるのですが、いくつか、解説を読んでも、問題で取り上げられている事象の計算的説明に
納得のいかない部分がいくつかありました。
もっともたるものは、付属として掲載されている「演習問題」の約200問の解説が、なんとほとんど数値の掲載だけで
済んでしまっていること。(本当はそうでもないけど、それでも、実際に問題を解いてみて、理解するには十分ではない情報。)
難系レベルの問題が200問も取り扱われている問題集は、おそらく、ほとんどない。
私も、この1年半にわたり、いろいろな問題集をチェックしましたが、200という数字には遠く及ばず。
執筆者はそこまでせんでも、途中で難問対策にも開眼するだろうという読みもあったのかと思われます。

=====
以上、長くなりましたが、本書が立ち向かう「問題意識」の解説を終えます。
いかんせん、この問題集をやり込むのに1ヶ月使ったので。いろいろと書きたいことはあるので整理しないと
いけません。
通常、難関大学レベルの問題をあつかう参考書は100前後の問題を掲載します。
ところが、この参考書、100問ほど扱う「類書」とほぼ同じか、もしくはそれ以上の紙数を使って
執筆されているのに、取り上げている問題の数は
力学の分野 9問 (さらに、万有引力の項目と、重心速度を取り上げた小問題が4つ。)
熱力学の分野 3問
波動学の分野 5問
電磁気学の分野 10問 (さらに、レンツ・ファラデーの法則を扱った小問題が1つ)

というように、目次を構成する主な顔ぶれになる問題の数は27問。
一つの問題を1つの講義として取り上げるというスタイル。
予測がつくと思いますが、ここまで掲載する問題の数を絞り込むことによって、
1つ1つの問題を丁寧に解説しています。
解説の途中で、本書で取り上げている問題の設定が、実際の入学試験の問題でどのようなバリエーションの範囲で
かわってくる可能性があるのかということについても言及がされています。
創作の問題の中には、一つの事象(滑らかな平面に置かれている可動の三角台の上からボールを転がした時の
ボールと可動台の運動)に対して、
1)慣性力を書き込む解法
2)慣性力を用いない解法
3)主に保存則を用いる解法
と3つの解法手順を詳細に取り上げることによって、1つの問題を解くことで、類題をいくつも解いたことと
同じ学習効果が得られるように作り込まれているところもあります。

同じく力学の分野で、
可動三角台の上に、垂直にボールを衝突させたときの、ボールと三角台の運動を取り扱う単元もありますが、
小問題(1)(2)(3)(4)(5)に対して
1通り
3通り
2通り
3通り
1通り
と、設問ごとの別解が詳細に解説されています。

他の分野に関しては、
波動学の分野で特にその傾向が強かったように思いますが、
この参考書の執筆者本人が他の学習参考書で取り扱った問題の解法だけでは、今一歩足りない
ようなレベルを配置しています。

電磁気学の分野は、私の印象ですが、
「明快解法講座」「最強の88題」(旧称「応用実践講座」)シリーズでやり込むようになっている問題とのあまり距離が
ないように思いました。

大学受験Doシリーズ 漆原の物理 明快解法講座 三訂版

大学受験Doシリーズ 漆原の物理 明快解法講座 三訂版

扱っている問題の数 97問
新課程 Do漆原の物理 最強の88題 三訂版 (大学受験Doシリーズ)

新課程 Do漆原の物理 最強の88題 三訂版 (大学受験Doシリーズ)

例題25問 演習問題 88問
本書全体を通しての売り出し項目になりそうなところは、力学、熱力学、波動学、電磁気学の全分野に
わたって、登場する単振動の運動の問題の解き方かもしれません。「究める〜」では原子物理の分野は
ありません。
この参考書の執筆者は、代々木ゼミナールの講師という立場ですので、実務的にも、高校物理の入門レベルの
生徒さんを対象にした講義や、国公立医学部を狙っていく受験物理上級者を対象にした講座の運営もされています。

そして、「明快解法」「最強の88題」「究める物理」の「演習三部作」の前に
「面白いほどわかるシリーズ」(中経出版)で
それぞれ、
「力学・熱力学」(例題58問)
「波動・原子物理」(例題28問)
電磁気学」(例題53問)
分野別に扱った「理論解説(?)三部作」を完成させています。
この3冊のレベルは、入門クラスからです。

大学入試 漆原晃の 物理I・II[波動・原子編]が面白いほどわかる本

大学入試 漆原晃の 物理I・II[波動・原子編]が面白いほどわかる本

大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[電磁気編]が面白いほどわかる本

大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[電磁気編]が面白いほどわかる本

6冊の著作で取り上げた問題の数は合計376問。

高校で扱う物理の課程がかわったので、最近リニューアルしたようですが、大筋はかわっていません。

確か、私がまだ家庭教師を初めたばかりのころ、この「面白いほどわかるシリーズ」の刊行は始まって
いたように思います。(遠い目)
説明の仕方も、初心者向けでわかりやすく、扱っている問題の手が届きそうで、
「高校生の時、赤点15点で挫折した物理を、このシリーズでやりたいな。」と考えておりました。
2013年の8月下旬ころから解き始めたのかと思われます。
確認できる日付が2013年9月5日
このブログのエントリーの日付はタイトルの通り。
ほぼ10ヶ月ですべてのシリーズの解法暗記を実行したことになります。
ただ、センター試験対策のために、面白いほどわかるシリーズのすべてのやり直しを行ったり、
センター試験の模擬試験を解きまくるということを挟んでいるので、実質は
もっと短期間で1週しているはずです。
376問で、1日2問だとしてほぼ半年。

この6冊のシリーズをどのような方法論にそって学習するのかということについては本ブログの
物理の学習に関連したエントリーでかなりいろいろな所から、転載した内容や私のコメントを
織り交ぜたものがあります。「やり方」「手順」に関してはそちらのエントリーに任せることにします。

これも、他のエントリーで扱ったのですが、私が高校物理の学習で初めて着手した問題集と入門書は
かの有名な山本先生のテキストでした。
「物理入門」では理論的説明をいくら読んでもまったく解法が思いつかない「例題」を前にして途方にくれました。
そして、「入門」で学習した内容が何だったのかと思うくらい、負けず劣らずわけがわからない「難問」が掲載されている
「新入演」を1日1問のペースで解きました。
そして、山本先生のテキストが一通り終わったので、「難系」に以降。
これもさっぱり。
1日2問のペースで解いても、やはり入門書に掲載されている問題文短めの例題とは違う、
テキストでいうと、見開き2、3ページの長大な問題文といくつかの図を組み合わせた「実践」を眺めると
やはり目がくらくらする日々。
いくらテキストを読んでも、いくら例題の解法手順を暗記してもどうも実力がついたような気分にまったくならない。
だから怖くて試験をウケルきにもなれないということ。

そんな時に、とっつきがよさそうな、「面白いほどわかるシリーズ」に飛びついたという経緯があります。
「難系」の執筆者の物理学習の哲学は

やさしい問題から次第に高度な問題を解いてゆくというのも、たしかに有効な方法ではあるが、この場合にはかなりの時間がかかる。限られた時間で、相当な実力を身につけるためには、はじめから総合的な高度な問題にあたり、それらを一つ一つこなしてゆくことにより、同時に基礎的な学力も養われるといった方法もある。本書は後者の方法をとっている。この場合、1000題も2000題も問題数をこなす必要はない。総合的な問題は、一つの問題のなかに、非常に豊かな内容が含まれているので、精々、300題も解けば十分である。

つまり、最終目標を高い所に置いているのであれば、いきなりハイレベルな問題にチャレンジせよと。
この方法論にそって、章末に「演習問題」が配置されており、例題とあわせて300問。
私がネットで調べた限り、この300問をすべてやりきって受験に望んだ高校生は
関西でダントツの進学校に籍をおいていて、しかもずっと学年1位みたいな「超高校級」だけでした。
しかし、ある程度、説得力があったように思うので、和田本でもよく推薦されているということもあり。
ハイレベルな難問からやってみました。
単元的な学習の入門は山本先生で着手して。

実際にかなり膨大な時間を費やして、この方法論を実際に「試した」ということになります。
結果ですが、人にもよると思いますが、少なくとも、私にあう学習方法ではなかったんだなと。
書店で、赤本の入学試験の問題を見ても、アタックしていく勇気も出てこない。

漆原先生の本は、この「難系」の哲学とは逆の方向でテキストが編成されています。
基本的な、やさしい事項の説明をじっくりと理解して、
理論的な事項を理解すれば、ある程度は解けるはずの「例題」を配置して、これらを吸収する。
次に、基本例題よりハード、でも入学試験にはまだ及ばないというレベルを「明快解法講座」で取り組む。
そして、そこそこハード、ある程度、入学試験向けに「最強の88題」。
そして、一番高い壁になる、東大、京大、東工大レベルに「究める物理」。

よくよく考えてみたら、ほとんどの「学習論」のセオリーは簡単なものから難しいものへということに
なりますから。オーソドックスな配置によるテキストです。

それと、問題の解法そのものの取り扱い方。
分野ごとの「解法の手順」を明確に記述するということが徹底されている。
どうも、ここの配慮が徹底されていないと、
「実践的」な入学試験という場において、「手が止まってしまう」「白紙」
という状態になるのではないかと。
漆原シリーズに着手する前の自分はそうだったのかなと思います。でも
「解法ステップ」の自覚を徹底すると、大概の問題をみても、「白紙」「手が動かない」の
状態はさけられる。
実は、ステップを適用しようとしても、欲しい数値が計算出来ない場合はあるのですが、それでも
ステップを書いて、当てはめをしてという作業はどんな問題でもできるので白紙にもならないし、
欲しい数値の2歩前、3歩前には届くという経験をしました。

問題に登場する「物体」に各種の「力」を記述する。

x軸、y軸を設定して、力のベクトルを分解する。

x軸においては、運動方程式
y軸においては、釣り合いの式

連立方程式を解く。

などなど。

熱力学であれば、
問題になっている状況における
圧力、体積、モル数、気体定数、温度の仮定。

力の釣り合いの式を立てる。
ポアソンの式の当てはめ。
状態方程式を立てる。

pvグラフを書き上げる

熱力学第一法則に従い、熱量、内部エネルギー、仕事を区分して計算する。

まず、漆原先生のこの一つ、一つの解法手順の有効性がどれくらいなのかということに
なりますが、これも実際に演習問題をやっていての感想ですが、ある程度のレベルでは
この手順にのれば、「自動的」に近い形で、求められる数値を計算するためのルートを
自力で見つけることができるのではないかと思います。
もちろん、「万能」かといわれたらハテナということになります。
解法手順になるべく厳密に従っても、手が止まることはあります。
その場合は、解説を読むことに移るのですが、解説を読んでも、本当にある解き方が
「手順」から論理必然的に浮かんでくる手順なのか、疑問に思うこともありました。
しかし、そういう「限界」はあっても、「ある程度」の有効性を打ち立てるだけでも大変なことだと
思います。その「限界」を超えないレベルの入学試験を課してくる大学への入学希望者もいると
思うので、それだけでも「面白いほどわかるシリーズ」には価値があると思いました。

ところで、受験物理で厄介なのは、こういう分野ごとの垣根というものが往々にして崩される場合があるということ。
もちろん、この「分野の越境」それ自体がパターンになっているということもありますが。
例えば、熱力学の問題の解法ステップを踏んでいくはずのピストンの問題で、
そのピストンそれ自体が、単振動の運動を行うというような場合。
磁場がかかっている針金に、電流を通すことで発生するローレンツ力と、針金が斜めになっていることで
針金にかかる重力がつり合うことで、針金に配置された導体の棒が等速の運動を行うというような場合。
(こういった分野への厄介な対応が「究める物理」での重要なテーマになります。)

漆原先生がおそらく、このシリーズを書き上げる上で最大限のエネルギーを注力されたのは
こういう融合型の問題が出たときでも、テキストに配置した「解法ステップ」を組み合わせることで
学習者が、ハイレベルな入学試験に対応できるように、カリキュラムを組むことだったと思います。

「左手の法則」と「レンツファラデーの法則」を扱う「解法ステップ」を適用しながら、
「力の釣り合い」が絡む問題の「解法ステップ」をそこに折り込んでいく。そこにとどまらず、
導体の棒が動き回る針金に抵抗がある導線を仕掛けて、電流が流れるときに、外部に熱が放出されるような
場合に、「エネルギー保存の法則」の解法ステップを折り込めるようになるかどうか。

熱力学の問題の「解法ステップ」を踏みながら、「単振動」の運動の計算問題を処理するのに必要な
「解法ステップ」を途中で折り込めるようになるかどうか。

総じて、力学で学習する計算方法が、熱力学や、電磁気学の分野で問われるというパタンへの対応を
どうするかということかと思います。(原子物理はもっとその性格が強い。)

私が、実際に、山本先生のテキストや、「難系」のテキストを試してみて感じたのは
おそらく、漆原先生のこの試みはある程度の成功をおさめているのではないかということです。

このシリーズを終えてみて、試しに、北海道大学の「単振動」を取り上げた問題をやってみました。
小問題が9つくらいだったかな。
前問正解とはいかないけど、まず驚きなのは「完答」はできるということ。
採点は、ほぼ6割くらいといったところかな。(甘い)
でも、ここまで自力で取り組めると、「さあ、あとは練習あるのみで、ゴールが見えてくるぞ!」と
自分に声援を送ることができるようになるのではないかと。
そんな感じの手応え。

主に、国公立医学部や、東大理系の合格者による「勉強方法のブログ」が多数運営されているのが現状です。
そこで、物理の学習方法は、当然、大きな話題になります。
慶応医学部をはじめとする私大医学部も含めて、理系の難関大学に挑もうとする場合に
やるべき参考書としては、
「物理のエッセンス」「山本物理」「難系」「名門の森」
がレギュラーです。
「エッセンス」と「名門」には着手していませんが。
他をやってみての感想は今回のブログで書いた通り。
一方、漆原先生の参考書は、思ったより、紹介されていないです。
だから、ここですこし、まとめて取り扱ってみたいと思い、このエントリーを書きました。(約6400文字)

小熊英二【第3回】「自分の内側から出てくるものには興味がないから、社会と関わる」 探究し、社会に適合させる「学者」という仕事 | 慎泰俊「プロフェッショナルの作法」 | 現代ビジネス [講談社]

慎: 別の質問ですが、本を書いているときはどういう感じの生活リズムになるのでしょうか。

小熊: きわめて単調ですよ。朝7時くらいに起きて、朝ご飯を食べて掃除したりして、妻と娘を送り出して、8時半とか9時から書き始めて、ラジオの英語講座を聞きながら昼ご飯を食べて、夕方まで書いて、晩ご飯を作って、食べたあとは場合によってはそのあとも書いて、12時前くらいに寝て7時くらいに起きる。そのくり返しです。修道院の生活みたいですね(笑)。講義がある日は講義に行くし、人に会ったりする約束がある日はそうしますが。

小熊: 結果として良いんじゃないですか。そこは比較検証したことがないから何とも言えない。けれども、たとえば出版業界は400字詰めの原稿用紙で字数を数える習慣ですが、100枚くらいの小説を徹夜の連続で生活を顧みずに書くというのも、それはまあ可能だと思います。けれども、私が過去に書いたような、資料が満載で2500枚とか6000枚とかの本は、絶対にそれはできないですよ。だから、生活リズムとしては、ちゃんと三食食べて、夜はちゃんと寝るという形にしますね。ああいう本を書く作業は、マラソンみたいなものですからね。

小熊: 本を書くときですか? ケースバイケースですが、草稿みたいなものを書くときは、大体一日に10000字とか15000字とかくらいです。400字で20枚とか30枚くらいですね。


「究める物理」の最終問題は「サイクロトロン」と「ベータトロン」
陽子や電子が高速で運動している状態をどうやって実現するのかという
ことがテーマ。
上の動画は、「サイクロトロン」の動作原理を説明したもの。
灘や開成に行く子供こそ中卒で働いたほうがいい その1 : 金融日記

step1:計画の全体像の把握

やるべきこをと細かく書きだす。例えばある問題集を100ページやるのであれば、p1、p2、p3、p4、p5、p6、p7、p8、p9・・・・・,p100と全て書きだす。もっと細かく、問題番号を全て書きだしてもいいでしょう。


step2:計画の細分化と分配

各日にちの「ノルマ」を付けていく。例えばp1,p2,p3,p4,p5」(7/15)P6,p7,p8,p9,p10」(7/16)

日付は早めに終わるように付けることで、遅れてもいいようにする。例えば8/10までに終わらせたいなら8/7までに終わる計画にする。


step3:計画達成の報酬

計画を実行に移す。もしその日のうちに、「ノルマ」が終わったら、次の2択。

1.その日の残りの時間は好きなようにして過ごす。
2.次の日の「ノルマ」まで進め「時間の貯金」を貯めてしまい、最終日前に計画が終われば、空いた日々を思う存分リフレッシュに使う。

ブラジルの草サッカーチームには、Jリーグで十分通用する逸材がゴロゴロしていると言われています。
アマチュアサッカーのレベルの高さが、トップのブラジル代表の強さにつながっているのですね。

宇宙大国アメリカは、日本の30年先を誇る宇宙科学技術を持っています。
これは、アメリカのアマチュアロケット愛好家(ロケッティア)のレベルの高さによって維持されているのではないでしょうか。
週末になると、近所のおじさんが集まり、ロケット発射会が行われています。