今日は、たくさん引用したい部分が多かった。
教育というものについて、日本人シリコンバレー第一人者のインタビュー

【第四回】「明るくて良い存在」であれ : プレジデント(プレジデント社)

最高の倫理観をもって、物事に対してオープンで正直であれ。
そして隠し事をしてはいけない。

スティーブ・ウォズニアック (アップル共同創業者)

Try to have the highest of ethics and to be open and truthful about things, not hiding.
Steve Wozniak

この言葉は、アップルの共同創業者、スティーブ・ウォズニアック「起業しようとしている天才的技術者に対して、どんなアドバイスをしますか」という問いに対して答えたものです。ウォズニアックは、この連載の第一回で出てきた、現CEOのスティーブ・ジョブズとともにアップル・コンピュータを立ち上げました。ジョブズとは対照的に、彼はアップルが大成功したあとに「本当にやりたいことをする」といって高校の先生になりました。<<

バリバリのビジネスマンだった人が、教育の世界に足を踏み入れるということが
あるのですね。
なんだか、勇気が出てきました。
今の仕事も捨てたものではないのかなとか。

なぜかというと、日本では優秀な人が隠れちゃっていることに、すごくもどかしさを感じるからです。学校教育のなかでもみんなと仲よくやるためには優秀であることを隠すっていう文化があるじゃないですか。高校生でも大学生でも。できる人はできると言わないし勉強している人は勉強していると言わない。能力を持ってうまれついた人はそれを社会のために活かすべきだ、だからその人たちを徹底的に伸ばすんだ、というのが欧米のエリートの育て方ですが、日本社会はそういうことに対してすごく強い不快感を表明します。格差社会につながる、というわけです。

仮面をもって付き合っている人がいるというのはわかる。
「知らない」といっているけど「知っている人」
そういう人がいるということを知った。

たとえば「キャリア組」という言葉は、その後の組織での栄達が、大学卒業時の能力で決定される、という意味ですね。フェアでオープンな切磋琢磨がない。キャリア組の中にすぐれた人がいることは否定しないけれど、総体として、こういう仕組みは、優秀な人間は表からは見えないけれど、裏で闇将軍的に力を持つという形をとりやすい。だから社会全体からエリートに対する期待や信頼が生まれないんですよ。

キャリアというシステムに対する批判一つとっても、やっぱりシャープだと
思います。霞ヶ関にいる人が、本当に自分のことを「やみ将軍」だと
思っているかはさておき。
それにしても、抜群の作文センス。
でも、入省してしまったら、みんなドングリですから、その後は、
どう転ぶかわからないだろうけど。

アメリカがダイナミックでありながら求心力のある社会をなんとか保っているのは、アメリカに「上を伸ばす」という発想の教育があるからです。グリーンスパンをはじめ多くの人が言うように、アメリカがいちばん誇るべきものは高等教育であり、オープンな場でエリートが切磋琢磨されるメカニズムです。産業界にもそういう「上を伸ばす」メカニズムがいたるところにある。それがないアメリカって、まったく想像ができないほど、このことが社会に根付いている。

一番、真剣に勉強するのは「大学」一番というのはとても合理的。
だって、すぐに役に立てようと思ったら、たてられるはず・・。
メーカ勤務の人いわく、
「大学で、ちょこっとやったくらいでは、話にならない」

日本にもとてつもなく優秀な人はたくさんいます。でも、目立たないように隠れている。それで結果的に楽をしている。僕は日本の尖がった若い人たちとよく話をするのですが、彼らが僕に求めていることってなんだと思いますか?叱られたいんですよ。自分が足りないところ、世界レベルで見てまだまだなところ、そういうところを発見してはっきり厳しく言ってほしいと思っている。シリコンバレーの同世代と比べてまだまだじゃないか、そんなもんじゃない、もっと志大きくやれるだろう、って叱咤激励してほしいわけ。シリコンバレーならそれが当たり前なんです。投資家は、親子くらい年の離れた起業家を伸ばすために、真剣に叱りますよ。大組織でも、GEで行われている幹部教育なんか、そういう側面がありますよね。

そういうものですか。
企業の中で、実践されている教育って、どういうものなのだろう。
僕は、旧日本海軍とかの教育に興味があるけど。
ある、一つの目標達成にむけた組織の一員に仕立て上げるプログラムとか。

日本のいまの若い人は、たとえばアメリカの同世代と比べると、ロジックが弱いし、能力も弱い。精神的にも頭脳ももっと強くなれと僕は言いたい。僕の知り合いの東大の大学院生で2006年にスタンフォードコンピュータサイエンス学部に行った人がいます。彼は一年で成績が上位5%に入ったんです。

つまり、「地頭」の力はそんなに、日米で違いがないということですね。
日本の生徒さんは、受験が終了するまで、足踏みしていないとアカンという
面があるのは確か。

課題は多いし、先生は本気だし、世界から集まった学生が競争しているからすごくやりがいがある、と。それに加えて、成績がトップ5%に入った彼のような学生は、シリコンバレーのたくさんの会社から注目されるから、さらにそこでがんばる。マイクロソフトからもグーグルからも声がかかる。とにかく産学がほんとうに一体になっていて、「見られて」いる学生はとんでもなく伸びる。

インドの記事を調べていたとき、こんなことが書いてあった。
GoogleとYahooなどが、優秀な学生を引き抜くために、裁判沙汰まで
起こすという話。

その環境が日本にはないから、素質はあっても十分に伸びない。本人もそこそこで満足し、それでいいと思ってしまう。要は甘やかされているわけですよ。新興市場もうんとアメリカより甘くなっちゃったから、いい加減に上場できる。アメリカじゃ絶対上場できないような会社でも、日本では簡単に上場できてしまう。若い人に楽させちゃだめです。とくに上の人たちに楽をさせてはだめ。40歳くらいまでは叩いて、叩いて、もっと立派な人間になってもらわないと。

これも同意する。
大学は、きっちりと教育をするという前提がないところで上場するハイテク・ベンチャーは、詐欺ギリギリなのではないかと思う。
起業する人も、あまり知識がなさそうで、
さらに、投資する人も、投資判断をする上で必要な前提知識が空っぽ・・・。