貧乏人の這い上がれないような「規制」をする規制緩和会議|和田秀樹オフィシャルブログ「テレビで言えないホントの話」

あたらしいカテゴリーをつくることにしました。

政治家が果たす役割と、教育システムを運営していくことがどうやってリンクするのかという
ことについて、とても明解な言葉をもっています。

法学部出身でありながら、医学部出身の彼には、目を開かされることが多いです。

公立の中高一貫校が「民業圧迫」だと批判して、地域のトップ校には中学を設けさせないという「規制」をする答申をまとめたそうだ。

灘中学出身の彼が、各地域のトップ学校が私立になることを、激烈に反対している。
たしかに、事実上、今の灘中学の入試は、お金持ちクラブのお母さんの見栄の張り合いのような状態になっていなくもない。
算数で高得点をとるために、塾に通う生徒にしのびをけずらせて、勉強させる。
そこに、家庭教師が、入り込む。

灘の恐ろしいところは、それだけやっても、おそらく、行けない子供は、行けないのだろうという限界にまで突き当たること
だけど。
塾の先生は、きちんと授業にでて、課題をしっかりやれば、誰だってということを営業トークでいうかと思いますが。
もう、そんな生易しいところは、超えているかもしれないと。
少しは思う。いや、まだ、やり方の問題というのは、あるのかな。
まあ、この先、いろいろな生徒さんに会う中で、おいおい結論を出していくのだと思います。

確かに、公立学校は民業圧迫をしている。はるかに恵まれた補助金を受けているために、公立学校の教師のほうが私立学校の教師より給料が高いとか、公立学校のほうが私立学校より、建物が立派という国は、先進国では日本くらいだろう。

しかし、セメント屋が首相の国では、そういうことを民業圧迫とはいわない。公立学校のソフトが民間の学校より勝ったり、東大合格者が公立学校から出てもらうのが困るらしい。

こういうところが、和田先生の激烈なところです。
つまり民間企業が、しかも、霞ヶ関や永田町とコネクションをもっているという限られた民間企業が、日本政府がかき集めた税金や、社会保険料を売り上げに計上しているという
実態も踏まえた上で、あえて、教育サービスの提供は、あくまで、日本政府が、一律にユニバーサル・サービスで提供しろとおっしゃっているわけですな。

ユニバーサルサービス - Wikipedia

そして、彼らのいうように競争が、経済を発展させるように、競争は教育レベルを上げる効果もある。だから私立学校と公立学校は競争すべきだし、貧乏人と金持ちは競争すべきだ。そのほうが国力が上がるのだが、貧乏人が競争に参加するのがよほど嫌ならしい。
貧乏人の学力を上げて差をつめるという選択をするなら、塾にも奨学金をつければいいし、「公」の役割というなら、公立中高一貫校に親の所得制限でもつけて、親の年収500万未満のみ(これによって見栄っ張りが受けなくなるだろうが)受験できるようにすればいい。

公立からでも、進学のチャンスをいかに高めるかが国の教育レベルを上げ、あきらめの蔓延を食い止める大きな方法論だ。

初等教育サービスを、日本政府が、独占的にユニバーサルアクセスで、行っていくのと、
民間の企業が、競争原理で、提供していくのと、どちらが、いいのかは、おそらく、そう簡単に答えが出る問題ではないのだろうと思う。

ただ、民間企業は、市場原理で、サービスの提供をしていく限り、売り上げの計上に貢献してくれる人だけをターゲットにして、学校を運営していこうとするでしょう。
だから、日本政府が、学校にお金をいれてきて、そういうことが、あからさまにおきないように、調整してきたのだと思いますが。

学校の運営にかかるコストを、100%税金でやった場合、サービス提供者である人たちは、目の前で、保護者が生徒を、連れてきても、
彼らが、売り上げの計上に貢献するわけだから、当然サービスの内容は、向上しにくくなる。かもしれない。
そのかわり、学校は、運営コストの心配がなくなるので、その地域、その地域にいる子供たちの教育すべてに関心がいくことになる。

学校の運営にかかるコストを、100%保護者が支払いをする授業料でまかなうとすれば、学校は、このコストを負担できる保護者を探すのに、必死になる。
授業料コスト、運営コストにかかる費用を負担できない保護者の子供に生まれた場合、学校は、彼らの教育には、関心を向けない。

ただし、保護者は、高額の授業料を負担するかわりに、費用の効果に敏感になる。
同じ、授業料を提供した場合に、どれくらいの教育コストが、あがるのかということを基準にして、いろいろな学校の比較をすることになる。
そこで、一番、費用対効果にあった、教育サービスを提供している学校に、子息を入れることになる。

費用対効果に見合わないところで学校をやっているところは、淘汰される。