センター試験の過去の出題から、出題の傾向分析をする。
題して2012年初頭企画第二弾,
『センター試験数学,当たったら「やったね」はずれても「ごめんなさい」,直前大胆大予想』←だから長いって・・
というわけで今日は数ⅡB編です.
自分で分析してみた感じはどうでしたか
赤本などで予想されている感じよりも
もっと深く分析できたのではないかなあと思います.
でもって
(1)三角関数で言うと,
2006年本試・・2次関数に帰着させた最大最小問題でこれは定番(やや易)
2006年追試・・2倍角と合成の変形,sin(θ-90゜)の扱いでこれも見た目ほど難しくない(やや易)
2007年本試・・誘導付きの不等式の解法で,置換の意図が分かれば簡単(易)
2007年追試・・座標と三角関数の利用だが,誘導がついているので使うのは加法定理だけ(やや易)
2008年本試・・座標と三角関数の利用で,2007追試より少しレベルアップ.式変形が慣れていないと難しいと
感じた人も多いかも・・(標準)
2008年追試・・2倍角と余弦定理で2次式に帰着し,さらに三次関数の最大最小へ(標準)
2009年本試・・2倍角と三角方程式と値の評価(標準)
2009年追試・・2次関数に帰着させた三角関数の最大最小と対数の融合(標準)
2010年本試・・2倍角と三角方程式,sin(θ-90゜)の扱い(標準)
2010年追試・・三角関数と二倍角・合成の公式を用いる最大最小問題の定番(標準)
2011年本試・・三角関数と二倍角・合成の公式を用いる最大最小問題の定番(標準)←2010追試と同傾向
2011年追試・・二倍角とtanの方程式(標準)
でわかるように,最大最小と方程式の解法が集中的に狙われていますね.
なので今年も置き換えによる最大最小問題が本命かな・・
あるいは不等式の解法がまだ出ていませんからこれも狙い目ですねっ
(2)指数・対数関数についても同様の考察をすると,
2006年本試・・対数不等式の解法(やや易)
2006年追試・・対数不等式の解法(標準)
2007年本試・・対数不等式と領域の定番.二次私大の勉強になれていれば容易(標準)
2007年追試・・指数方程式の基本(易)
2008年本試・・指数・対数関数から置換して相加相乗平均を使う最大最小で,誘導に乗れば(やや易)
2008年追試・・指数方程式から二次方程式に帰着,解の配置問題にシフト(標準)
2009年本試・・対数の式変形から領域と最大最小に帰着させる定番(やや易)
2009年追試・・相加相乗平均と指数関数を置換して3次関数の最大最小に(標準)
2010年本試・・対数方程式と解と係数の関係利用(やや易)
2010年追試・・対数関数の大小比較で,解いた経験があれば(易)
2011年本試・・対数関数と不等式(標準)
2011年追試・・対数関数の最大最小(標準)
これから,指数対数関数も方程式・不等式と最大最小問題が頻出とわかりますね.
なので今年は大小比較,領域と最大最小,桁数に要注意.
また,置き換えて2次関数か相加相乗か3次関数に帰着させる最大最小か,不等式も捨てがたいかな・・
[2]は毎年微積分の定位置です.
さてみなさんは案外気づいていないのですが,
ここは一番皆さんが時間がかかって[3][4]にしわ寄せが集まるところですよ.
とにかく計算量が多いので,
公式を上手に使ったり,誘導の結果がどう使われるのかなどの流れを意識しながら,
時間を以下に短縮できるかがカギです.
以下に過去の内容を具体的に考察してみるとセンターの狙いが見えてきますよ.
2006年本試・・2接線の共通接線は方針を誤ると計算が増えます.また面積計算も工夫します(やや易)
2006年追試・・f(x)-g(x)が表すものを考えられないとめんどくさい問題で,後半は最大最小(標準)
2007年本試・・最大最小と面積計算.さらにtanθの加法定理と接線のなす角は定番です(標準)
2007年追試・・接線と極値,積分計算ですがかなりの計算.それに流れが見えにくい悪問です(やや難)
2008年本試・・題材は接線と面積なんですが,前半の誘導が見えない人には場合分けが大変な良問(標準)
2008年追試・・接線・法線・極値・面積とボリュームたっぷりの典型問題だが時間がかかる(標準)
2009年本試・・簡単な軌跡・接線・面積計算ですが,下手な計算はどんどん時間を消費します(標準)
2009年追試・・積分計算と極値・接線・tanθの加法定理と接線のなす角ですが,前半の方針決定を誤るとなか
なか時間内に処理するのが難しい(やや難)
2010年本試・・接線・極値・接線の本数・面積の標準問題.このぐらいを15〜20分でこなしたいです(標準)
2010年追試・・2接線の囲む面積と極値で,y軸を挟んでグラフが異なるのが珍しい(標準)
2011年本試・・接線と面積,最大最小問題で,計算の工夫をしないと時間がどんどん過ぎていきます(標準)
2011年追試・・接線と共有点,方程式の解の個数,面積で2次試験で出してもおかしくない内容(やや難)
どうですか・・接線を題材にしながらいろいろな状況を作ろうとしているのがよくわかるでしょっ
こうやってみると過去問を一通り練習すると出題パターンがだいたいおさえられることもわかりますね.
そこで予想なんですが,定番なら接線・極値・面積と最大最小が最有力かな・・
ですが注意したいのが,方程式・不等式への微分の応用と積分方程式ですね.
特に積分方程式はいつ出されてもおかしくない状況ですから,
準備だけは怠らないようにっ
[3]は数列ですね.
数列は年度により難易度の差が大きいのがこの単元で,
一番厄介なことは誘導をつけるために文字を多用して,
その結果誘導が見えにくくなってしまうことです.
実際,
2006年本試・・等差数列・等比数列・階差数列・Σ計算(やや易)
2006年追試・・間隔をあけた階差数列・等差数列・Σ計算ですが,文字が多くて全体が見えない悪問(やや難)
2007年本試・・漸化式・数列の和・等差数列・等比数列・階差数列.ここも文字が多くて見えない人が多いかも
しれませんね.(標準)
2007年追試・・等差数列・等比数列・階差数列・Σ計算.センター特有の穴埋めを逆手に使って,気になるところ
をいかに気にせず穴埋めに専念するかがポイントです(やや難)
2008年本試・・等差数列・等比数列・Σ計算.あまり背景など気にせず,誘導に素直に乗れる人は難しくないの
ですが,誘導の意図を探ろうと考えすぎると時間がどんどん過ぎていきます.(標準)
2008年追試・・漸化式・等比数列・絶対値・奇偶による数列の符号変化と和の計算の場合分け(難)
2009年本試・・(等差)×(等比)の定番とΣ計算(やや易)
2009年追試・・見た目は難しい数列と整数の融合.具体的に調べることで解決(標準)
2010年本試・・典型的な群数列と和(やや易)
2010年追試・・場合の数と数列の融合,漸化式.後半の漸化式の誘導がわかりづらい(やや難)
2011年本試・・階差数列,(等差)×(等比)の定番とΣ計算(やや難)
2011年追試・・漸化式と分数形の和,奇数・偶数による場合分け(やや難)
からわかるように,
2007年までは等差数列・等比数列・階差数列・Σ計算が一連の流れで,
また文字が多いので全体の流れがわかりにくいのですが,
2008年以降は絶対値・奇偶の場合分け・整数との融合・場合の数との融合・群数列・漸化式といった,
数列の応用に出題者の意識が向いているようです.
で,ここが一番難しい予想なんですが,
等差・等比・階差・Σ計算のオーソドックスな出題をしてくるか,
格子点の問題,数列の周期性,漸化式の作成と階差に持ち込んだ解法を問うか・・・
山本は最近の傾向から後者だと思うのですが,難しいところです.
また以前と違い平気で漸化式を出してきますからかなり準備をしておいた方がいいかも・・
[4]はベクトルですね.
2006年本試・・平面ベクトルと内積,最大最小で計算量はあるが基本知識だけで解ける(やや易)
2006年追試・・4面体,直線と平面の交点,内積を問う基本問題で落とせない(やや易)
2007年本試・・空間座標,空間の2直線の交点.題材はありふれているので計算ミスをしなければ(標準)
2007年追試・・三角形と直線の交点,内積,垂線の足を求めるのもベクトルの定番.(標準)
2008年本試・・4面体を題材にした内分点,長さ,面積・体積の定番(標準)
2008年追試・・平面ベクトルと内積,一直線上の点の扱いでこれも計算は多いが難しさはない問題(標準)
2009年本試・・四角錐と切断面,面積,一直線上の点,相似の活用.図形が描きにくい点と相似を上手に考えら
れたかが勝負の分かれ目.(やや難)
2009年追試・・平面ベクトルと内積,成分計算と面積.どうしたらすばやく計算できるかを見抜くのも要求されてい
るのかもしれませんが,時間内の処理はかなり(やや難)
2010年本試・・平行6面体,内積,交点,垂直,長さなどの基本質問.(標準)
2010年追試・・三角形と内心,内分比.ベクトルの典型問題ですが計算が多いですね.(標準)
2011年本試・・四角錐と垂直条件,平面上の点の扱い(標準)
2011年追試・・四面体と垂直条件,直線と直線の交点,直線と平面の交点を聞いているだけですが,相当な計算
こうやってみていくと,毎年,平面と空間はバランスよく出題されていますね.
しかも内容的には2009年の本試以外はオーソドックスな質問内容で,
計算量で難易度を調整しているようです.
ということは計算ミスは1か所もできないということ.
1つでもミスると満点をとることは不可能に近いですね.
さてベクトルの予想ですが,空間ベクトルが本試で5年続いていることを考えると,
今年は平面が来てもおかしくないですね.
というわけで山本先生としては,今年のベクトルは平面ベクトルを題材に,
重心,外心,垂心,内心などの問いと一直線上の条件,さらに面積を聞くか,
平面上の四角形や三角形に与えた比を利用して,長さや面積を問う問題が本命です.
また,ベクトル方程式による点の領域や軌跡の可能性も高いですね.
とはいっても5年連続の空間ベクトルももちろん捨てがたいので,
平面を中心に準備しながら,過去問で空間ベクトルに慣れるのがいいかな・・・
さて,こんな風に予想してみると
やはりここ数年のⅡBの計算量はかなりのものがあります.
特に注意するのは
微積の誘導と公式による計算の省略化
数列の文字の多さによる方針の見抜きにくさと式変形の能力
ですね.
三角関数やベクトルは皆さんが思っているほど苦しくはないはず・・
時間配分を考えて,最後まで考え抜く姿勢を養うといいですね.
というわけで山本先生の予想は終わりです.
当たったら・・うーん,最高なんだけどなあ・・・
外れるのが当たり前ですから,
指摘した内容を中心にしっかりとした対策を立てておいてくださいねっ