英語の寄り道
- 作者: 宗宮喜代子,石井康毅,鈴木梓,大谷直輝
- 出版社/メーカー: くろしお出版
- 発売日: 2007/11/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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しっくりこない英文法の難所を一つでもこえていきましょうという内容の
本です。
人として、社会生活をおくっている以上は、
道を歩いたことはあるでしょうと。
家から出て、地面に立つでしょうと。
その立っているイメージがonだよとか。
目的地見えていますか?
最寄りの駅の看板見えますね。
そこにToって書かれていませんか?
昨日、雨がふっていたでしょ。
ほら、水たまりが目の前にあるでしょうと。
そこに、ジャブジャブと足を突っ込んで渡りませんね。
「またいで」渡りませんか?
それがoverなんですよ。
みたいなそんな感じで。
多様な前置詞の内容を一刀両断にしていきます。
いや、一刀両断は行き過ぎですね。
丁寧に、親しみやすく、掘り下げていきます。
マークピーターセン先生の英文法なんかにも
大事なことが色々と書かれているのだと思います。
英文法の難所の一つかな。
実際に、英語を教える立場になってみて、よく説明するのに困るところ。
英語を教える仕事にありつけたということは、それなりに
英語を読むのには困らない。
当然、(おそらく)英語を読んでいるときに、前置詞の扱いに困るという
こともおそらくない。
けれども、「教える」という立場になる場合、だから困惑する。
英文法や語法が苦手な生徒さんの「よくある質問」は
実際に、自分が英文の処理をしているときに止まらないところに
集中するから。
in
on
at
out
above
below
under
beneath
over
along
of
for
to
from
by
思いつく限りで、こんな感じだったかな。
まとまった時間があったら
この単語を扱った英和辞書の部分をじっくりと
読んで
自分なりの言葉をもって、説明ができるようになりたい。
そういうことに関心がむくと、本書はとてもいい本になるのではないかな。
英文法という広い範囲を扱うのではなく、
「前置詞」という項目だけとりあげて、深く掘り下げていく。
英語の指導の経験も時間がたつと、こういうジャンルに関心がでてくる。
語感や、語法の説明に
明確な根拠があるのだろうかと、思うこともあるけど、
ちょっと、「こじつけ」な部分もあるかもしれないけど、
感覚的にわかる「語感」で、辞書につらつらと書かれている
説明事項を、少ない原則、知識でわかるようにくふうがされています。
おもしろみがあったのは「句動詞」のところ。
kick off
とか。
come by
とか。
言葉がもっている「所有している」「着手している」という言葉が
実は、使い慣れた前置詞と基本動詞の組み合わせで
比喩的に表現されているのだという説明は面白かった。
英作文を実際に、やってみるときに、ヒントになるような気がする。
ここに書かれている前置詞の知識をマスターしたとして、
はたして、英作文で冒険ができるのかとなると。
私が、受験生に指導するとしたら、本書を読むことはすすめるけど、
本書に書かれている知識を、受験で活用するのはやめたほうがいいかもと。
進言するのかもしれない。やっぱりこわいでしょそれは。
書かれている内容は、
中学高校の英文法の語法の問題で問われてもおかしくないところなので、
やはり、背筋を伸ばして、読んでしまいました。
ついていけてよかったみたいな。やっぱり。
なんだか、受験生にもどって、英語の講義を聴いているような雰囲気に
包まれます。
前置詞のリストの中で、一番、説明にこまるのは
個人的な経験では
of
ではないかなと。
「所有」という概念をつかって、納得してもらおうとしていますが。
本書では、属する集合という言葉が使われていたような気がします。
この経験的感触は、おそらく、あながち間違っていなかったと思います。
ofは、「道シリーズ」の説明ではくくられていませんでした。