代ゼミ 数学講師の数学勉強論 「私大医学部対策」

私大医学部の数学対策についてまとまった記述があったので

拾っておきます。

 

山本が個別指導で設定するときは

 100枚の基礎プリントをすべてできるようにすること

を生徒の皆さんに求めています.

と言っても問題のレベルがピンときませんね.

市販されているものでいうと,

Z会から出ている「チェック&リピート」3冊を

もうちょっと難しいものまで収録して練習している感じ・・・でしょうか.

この「チェック&リピート」という本は

扱っている問題自体はそれほど難しいものは入っていないんですが,

解答がとてもよく考えられていて,

1文字固定や定数分離といった

数学的な考え方が身につくように構成されています.

なので山本の塾で100枚の基礎プリントにいく前に

「チェック&リピート」と「Essential数ⅠA34」「Essential数ⅡB40」

で基礎固めをしている生徒は多くいます.

やり方としては,

 ➀チェック&リピートを章ごと(例えば2次関数)にまず1回やり,

  できる問題とできない問題をしっかり把握する

 ②Essentialで該当する章(例えば2次関数を扱った章)を探し,

  そこを丁寧に読みながら考え方の原則を頭に入れる

 ③チェック&リピートをもう一度解いて,

  Essentialで得た原則を応用することで,

  数学的な発想を定着させる

という方法を塾の皆さんには徹底しています.

これができるようになると

100枚の基礎プリントの狙いがわかるようになってきて,

春休みから1学期にかけて,

この100枚のプリントを何回も何回も繰り返してもらいます.

100枚ができるようになってきたら

私大医学部は半分みえてきたっていう感じかな.

 

私大医学部の合格に必要な勉強⑴でお話したやり方で

ほとんどの方は基礎が固まっていくのですが,

チェック&リピートの問題の7割ぐらいが自力では解けないという人も

いらっしゃるはずですよね.

この場合,教科書レベルの基礎もあやしいはずなので,

そういう時はまず3週間で教科書の内容を理解する必要があります.

一番いいのは自分の理解力や実力に合わせて,

個別指導で基礎だけを3週間で徹底してもらい,

毎回かなりの量の宿題を出してもらって

理解したことを繰り返し反復練習することです.

基礎を固めるには教科書の例題をすべて解けるようにすることだと言われますが,

それは半分正しくて,半分は不十分です.

確かに教科書に書かれていることが正しく理解できていれば,

その単元に対する基礎知識は身につくかもしれませんが,

数学が苦手な人は教科書の内容であっても,

それを正しく理解することが難しいですよね.

たとえば,2次方程式の解の公式は覚えられても,

そこに書かれている公式の証明を理解することまではできないかもしれません.

また,三角関数の加法定理や2倍角の公式,和積の公式などは

覚えるのも大変だし,その公式の証明も,公式の使い方も,

自力ではなかなかできないものです.

つまり,教科書の内容は単に公式の記憶だけならなんとかなりますが,

公式の証明やその使い方まで正しく理解するのは相当難しいのです.

個別指導であればそのあたりが上手にマスターできるため,

基礎固めが3週間でも可能になるのです.

とはいっても,3週間,個別指導で特訓してもらうことができるのは

相当恵まれた状況であって,

誰もがそうできるわけではありませんよね.

そのときは,学校の先生に見ていただいたり,

予備校や塾が配信している単元別の定期試験対策講座を利用して,

基礎を固めるというのでもいいと思います.

とにかく,基礎の基礎を固めるのは自力ではとても難しくて,

誰かに教えてもらうのが一番効率的だということです.

この場合,最も注意することは,

配信講座というのはどうしても生授業に比べると皆さんの集中力が下がるので,

わからなくなったところを決してスルーしないことです.

また,映像授業ではわかった気になることが多いので,

必ず類題を解く習慣も身につけたいですね.

ただしこのやり方では個別指導で3週間の集中特訓をやるよりも

理解力や効率が悪いので,

基礎を固める時間としては6~8週間を取ったほうがよいと思います.

山本の塾では,個別指導ではなくて,

塾に週4回ぐらいきて,教科書の基礎事項をマスターする人もいるのですが,

その場合は数Ⅰから始めて数Ⅲまでを2か月間かけて勉強します.

映像授業での勉強とは違うので,皆さんの理解力に合わせて,

 数と式➡2次関数➡図形と式➡微分積分(数Ⅱ)➡三角関数➡・・・

のように,数Ⅰの教科書の次は数A・・・という順序でなく,

高校数学の基礎を最短でマスターできるよう

学習する順序を再構成して勉強してもらうようにしています.

山本が医学部に必要な基礎力のつけ方は

だいたいお判りいただけたでしょうか.

この基礎力が完成する時期ですが,

ほんとうは高2終了時がベストだと思っています.

でもなかなかそんなにうまくはいかないですよね.

なので,高3の1学期が終了する時点が

イムリミットだと思ってください.

高卒生の皆さんであれば,

浪人が決まってすぐに勉強を始めて,

5月のゴールデンウィーク明けぐらいまでに

集中して基礎力を確立したいですね.

➡浪人生の場合,現役生よりも勉強時間が多く取れるので,

 勉強⑴で述べた内容ぐらいなら

 3か月あれば絶対にやり切れます.

 それにそのぐらいできなければ

 私大医学部の合格はないつもりでいてください.

 数学を得意にするには

 それだけの努力が必要なんですよ.

 

さて,基礎力が完成したら

次にやることは私大医学部レベルの応用力の養成です.

これは2つの応用力を考えましょう.

1つ目は,「チェック&リピート」「Essential34&40」で学んだことを

別の問題でもスラスラ使えるようにすることです.

偏差値が58ぐらいまでの問題であれば,

「チェック&リピート」「Essential34&40」で勉強した知識だけで

必ず解けるものです.

できないのは,

 ➀持っている知識のどれを使うかがあやふやになっている

 ②Essentialで伝えた解法の原則が徹底できていない

 ③計算力の不足

であることが多いので,

別の問題を解きながら

常に「チェック&リピート」「Essential34&40」を参照しながら,

考え方や知識の整理をすることが必要ですね.

山本の塾では

実戦数学α・βの授業を受けている人であれば

 1学期と夏期講習の「問題」「演習のA・B」「確認問題」

が,「チェック&リピート」「Essential34&40」のあとにやる教材になります.

私大医系数学特講を受けている人であれば,

 1学期と夏期講習で扱う「私大医学部小問対策プリント」

が「チェック&リピート」「Essential34&40」のあとにやる教材です.

また個別指導を受ける人は,

 「テーマ別解法の原則プリント」

を徹底的に繰り返すようにお話しています.

これらはだいたいどのぐらいのレベルの問題かというと,

東京出版の「1対1対応」で扱っている問題と

これより少し難しい問題を集めた教材になっています.

なので自分で「チェック&リピート」「Essential34&40」をマスター後に

何をやろうと悩んでいる人は

「1対1対応」がいいのではないでしょうか.

 

前回は

  基礎力が完成したら

  次にやることは私大医学部レベルの応用力の養成です.

  これは2つの応用力が必要で

  1つ目は,「チェック&リピート」「Essential34&40」で学んだことを

  別の問題でもスラスラ使えるようにすることです.

というお話までしましたね.

「チェック&リピート」「Essential34&40」がマスターできて,

これを応用する問題練習として山本の塾では

 テーマ別解法の原則プリント

というのを消化していくのですが,

皆さんの場合には「1対1対応」がいいでしょうとアドバイスしましたよね.

これをやる一番の理由は

「チェック&リピート」「Essential34&40」で学んだことを

違う問題でも使えるようにするということなんです.

高校の数学は使う知識は同じであっても,

問題が違うとなかなか使えないものです.

「チェック&リピート」「Essential34&40」を完璧にすれば

偏差値が58以上は確実に取れる力が身に付きますが,

実際の試験や模試では同じ問題が出ることは少ないため,

カギになる知識をいろいろな問題で試さないと,

真の基礎力養成にはなっていないのです.

言い方を変えると,

「チェック&リピート」「Essential34&40」で考え方の原則をしっかりマスターし,

典型的な問題を通して使う練習をするということですね.

そして今日のテーマですが,

応用力を養成する2つ目のポイントは,

見たことがない問題に対する対応の練習です.

実は見たことがない問題といっても2種類があります.

1つは見た目は見たことがない問題であっても,

実際は典型的な問題に帰着するタイプ.

もう1つはほんとうに見たことがない問題で,

類題も少なく,

おそらく2度と試験には出ないだろうというタイプです.

とはいっても,皆さんにとっては見たことがないのですから,

目の前の問題がどちらのタイプかはわかりませんね.

なので実際に勉強するときは,

教えてくれる先生のアドバイスが重要になります.

山本が塾で意識するのは1つ目のタイプで,

見た瞬間は難しそうとか,方針が見えない感じがするのですが,

丁寧に考えていくと,

その過程で使われる知識は

すべて「チェック&リピート」「Essential34&40」の内容になっていて,

これをいかに皆さんが試験場で解けるようにするかが

山本の最大の仕事でもあります.

駿台代ゼミ河合塾などの予備校では

これらの問題を徹底的に2学期に学習するようになっています.

ただ幸いなことに,

私大医学部の問題は国立医学部の問題と違って,

試験時間が短いため,30分じっくり考えないと解けない問題ではないので,

雑誌大学への数学の「新数学演習」なんかをやる必要はありません.

具体的には山本の塾では

私大医系数学の授業の中で,

実際の私大医学部に出題された問題を中心に,

 典型問題➡本質がわかりにくい典型問題

の順にテーマごとにレベルを上げていきます.

テーマごとというのがポイントで,

あまり頻出でないテーマは大胆に割愛することにしています.

レベル的には東京出版の「新数学スタンダード演習」に

すこし難しい問題を加えた感じでしょうか.

皆さんがご自分で勉強するのであれば,

「新数学スタンダード演習」か

数研出版の「2019入試問題集」なんかが良いと思います.

山本はこの数研の問題は結構お気に入りで,

解説が丁寧なので皆さんが自力で勉強するには

ちょうどよいかもしれません.

ただ問題数が多いので,ここは自分なりに

取捨選択が必要ですね.