物理と数学の関係

以下、理学部数学科のシラバスより

宝の山に見えます。

物理学科って、ここまでやりこんでくれるの?

*

選択必修「幾何学III」(321B)

内容:ベクトル場と微分形式

1. >多様体上のベクトル場と微分形式
多様体上の微分形式とその外微分の定義/Lie 微分外積、Catran の公式/Poincare' の捕題

2. 微分形式の積分とStokesの定理
微分形式の、チェイン上の積分/Stokes の定理の証明/Riemann 多様体上の Green の定理

3. de Rham の定理
de Rham コホモロジーの定義/Cech コホモロジーと de Rham の定理の証明のアイデア/カップ積とウェジ積の対応

4. 微分形式のさまざまな応用
Frobenius の定理/微分形式と写像度/
(その他オプションとして)曲面上の接続公式と Gauss-Bonnet の定理/調和積分論入門/シンプレクティック幾何入門

選択必修「解析学V」(333)

微分方程式論の初歩

1. ラプラス方程式、熱方程式、波動方程式

代表的な二階偏微分方程式を出発点として、簡単な場合を扱う。

初期値問題、境界値問題、混合問題などについて。

2. 複素領域における常微分方程式

確定特異点、Gauss の超幾何微分方程式

注:演習「解析学特別演習II」は書類上「解析学V」・「解析学VI」のいづれに付いているにせよ、両方の共通の演習とする。

選択必修「解析学VI」(334)

フーリエ変換、超関数など

* R1 上のL1、L2、S の Fourier 変換とその基本性質

Plancherel の定理、微分、積、合成積との関係

フーリエ変換の応用
* S’、Hilbert 空間、Fourier 級数、Sobolev 空間

選択必修「解析学特別演習II」

書類上は、上記の「解析学」の「V」または「VI」のどちらかに付帯することになっているが、事実上は共通の演習として運用されている.

選択必修「現象数理I」(361)

様々な自然あるいは社会現象から、その現象を支配する数理構造を抽象する基礎的な例として、先ず古典力学について解説する。

 また、現象を記述する基本的なモデル方程式として、Laplace 方程式、波動方程式、熱伝導方程式について、対応する自然/社会現象、解の具体的構成、解の定性/定量的な振る舞いを解説する。

 ただし、たとえば非有界領域における解の一意性の問題などについてはふれない。存在/一意性を保証する関数空間の構成など、厳密な解析的議論については、「解析学*」の講義を参照すること。

 講義で取り上げる項目は以下のものである。

1. 解析力学と変分原理(*注1*)

最小作用の原理、Euler-Lagrange 方程式、古典変分法、Hamilton の正準方程式

2. Laplace 方程式、波動方程式、熱伝導方程式とその解

変数分離法、Green 関数と主要解、初期値/境界値問題

3. 時間が許せば、以下の項目のいくつかを紹介する

* 連続体の数理:Euler 方程式、Maxwell 方程式、Boltsmann 方程式
* 力学系の初歩
* 統計力学、平衡/非平衡現象の数理



*注1*:「現象数理」のII、あるいはIIIで講義されることがある量子力学への基礎でもある。

「計算数学II

内容:計算情報環境の構築に関するより進んだ演習

必修科目・必修選択科目でないので、具体的内容は、担当者にまかせる。「計算情報委員会」に報告・検討。

「数学輪講

内容:教官推薦のテキストから選択して行う自主ゼミ.単位認定は推薦した教官による、期末の口頭試験などをもって行う.
このページの先頭に戻る; このカリキュラム委員会で、大学院との共通講義の中に新設されたいわゆる500番台の講義については、新しい試みなので、シラバスでなく例を示してある。
第7学期(主として4年生)

必修科目「数学講究XA」

内容:指導教官のもとで小人数のセミナーを行う。

これは、シラバスは当然ありえない。3年次では受講できない。

必修科目「数学講究XB」

内容:現代数学概説。一定の時間に、何人かの教官が各自の専門分野に近いところを紹介する。

この科目の意図は、大学院での専門を決めるための案内と、4年で卒業する人たちにも現代数学概観を与えるという二点がねらい。

3年次では受講できない。

選択必修「解析学VII」(531)

毎年前期に開講、いわゆる関数解析

ノルム空間、Banach空間、Hilbert空間、(完全)正規直交基底、有界線形作用素、Seminorm、 Hahn-Banach の定理、共役空間、Weak and strong convergence、 Uniform boundedness、 Resonance Theorem、 Open Mapping Theorem、 Closed operators、 Closed Graph Theorem、 Riesz の表現定理、Resolvent と Spectrum、 Compact operator、 Riesz-Schauder の定理

選択必修「確率統計学I」(341)

確率論の基礎

1. 確率統計の歴史
2. Kolomogorov の公理系:Kolomogorov の拡張定理、(Kolomogorov の連続変形定理)
3. 確率の基礎概念:確率変数、特性関数と確率分布、情報としてのσ−集合族、独立性、平均と分散
4. 確率変数の収束概念:概収束、確率収束、法則収束、Levy の定理
5. 独立確率変数の和:大数の法則中心極限定理、Poisson の少数の法則、大偏差原理
6. ランダムウォークとBrown 運動

最後の項はオプション?

聴講者への要望:「集合と位相」、「測度論のルベーグ積分」が既習であることを望む。「関数解析」と「Fourier 変換」も既習であればなお良い。

選択必修「確率統計学II」(541)

数理統計学の基礎

1. 確率論の準備
2. 確率分布の例
3. 指数型分布族
4. 不偏推定量、最尤推定
5. 検定、一様最強力検定
6. 不偏性
7. 不変性
8. 大標本理論

聴講者への希望:「集合と位相」、「測度論のルベーグ積分」、「確率統計I」が既習であることを望む。「関数解析」も既習であればなお良い。

「確率統計XB」との関係が良く分からないが。

選択必修「確率統計学III」(542)

マルチンゲール理論
カリキュラムに見えないが?年度により開講せず?

* Radon-Nikodym の定理
* 離散パラメータのマルチンゲールの理論
o filtration と stoopping time
o マルチンゲールとサブ(スーパー)マルチンゲールの定義
o Doob の不等式、Doob の任意抽出定理
o 一様可積分
o サブマルチンゲールの収束定理
o Doob の分解定理
o Burkholder の不等式
o 応用
* 連続パラメータのマルチンゲールの理論の初歩
o filtration: 右連続性
o stopping time
o マルチンゲールとサブ(スーパー)マルチンゲールの定義
o Cad-lag version の存在
o Doob の不等式、Doob の任意抽出定理
o 一様可積分

聴講者への要望:「集合と位相」、「測度論とルベーグ積分」、「関数解析」、「確率統計I」が既習であることを希望する。

選択必修「計算数理II」(551)

偏微分方程式の数値解析:500番台の講義なので以下はシラバスでなく、一例である

自然科学、工学あるいは社会科学における諸現象を記述する偏微分方程式を計算機で解くための基本的な数値的手法の原理、概要、数理について、次の3つの項目を中心に基礎を解説する。

以下は、差分法を中心とする講義計画の一例である。

1. 差分法

拡散方程式を例にとり、基本的な差分スキームの紹介をする。次にスキームの収束性と安定性について概説する。Lax の同等定理まで含めたい。

2. 有限要素法

Poisson 方程式の境界値問題を例にとり、有限要素法の基礎原理と計算法を概説。時間が許せば、収束性と誤差解析を含める。

3. スペクトル法

球面やトーラスなどの多様体上の偏微分方程式の数値解析や、高精度計算に多用されるスペクトル法につき初歩を解説。

選択必修「現象数理II」(561)

内容は年によって異なることがある。また下記の「現象数理III」と入れ替わることもある。例えば「非線型現象と数理解析」や「数理物理学」などが典型的な主題となる。以下ある年の講義計画を参考に記す。

自然界の様々な分野に現れる非線形現象に対して、どのような数学的アプローチがあるのかを講義の目的とする。そのために、いくつかの現象を題材にして、その数理的記述(モデリング)および解析的方法(アナリシス)を講義する。この科目はしばしば複数の教官がそれぞれの分担部分を担当して行うオムニバス方式で行われる。

ある年度の例をあげると、

(1)化学反応に現れる非線形現象(約4回)
非平衡反応系、生体系に現れる微分方程式モデルの導出および解析

(2)相転移とパターン形成(約4回)
数理物理に現れる相転移現象の解析

(3)流体における非線形現象(約7回)
ミクロ/マクロレベルでの流れの安定、不安定、乱流など



を題材にして、その入門から講義する。 このページの先頭に戻る
第8学期(主として4年生)

必修科目「数学特別講究」

内容:指導教官のもとで、個別指導を受ける。多くの場合は小人数での輪講の形式をとる。

選択必修「現象数理III」(562)

内容:年によって異なる。「量子論と数理物理学」や「非線型現象」などが主題である。年によって「現象数理II]と入れ替わることがある。

主題:量子力学と数学

ミクロな物理現象を数理的に記述する言語として量子力学がある。本講義は数学科及び大学院数理科学専攻の学生のための量子力学入門コースであり、以下の項目について解説を行う予定である(講義は必ずしも以下の順には行わない)。

1.行列力学とSchro"dinger 方程式

* 重ね合わせの原理、不確定性関係、相補性、対応原理
* Heisenberg 描像と、Schro"dinger 描像
* 解析力学正準量子化
* Schro"dinger の波動方程式
* 調和振動子
* 作用素のスペクトル
* 束縛、散乱
* WKB法

2.対称性と表現

* 回転群と各運動量、スピンの合成
* リー群とその表現
* 離散的対称性
* 力学的対称性

3.多体系と量子統計

* 同種粒子
* スピンと統計
* 密度行列

場の量子論

* 相対論的波動方程式
* Dirac 方程式

時間に余裕があれば、経路積分にも触れたい。