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日本企業の苦しみを25年前から味わっていたアメリカ企業 - My Life After MIT Sloan
興味深いエントリーだった。
実際、日本の製造業は苦しんでいる。
講演でも紹介したように、かつてはブラウン管テレビでは世界の半分のシェアを持っていた日本企業は、
薄型テレビになってから、サムスンやLGにシェアを奪われてるし、
半導体も1980年代にはDRAM世界シェア80%近くを占め、NECがNo.1だったが、ここも韓国にやられている。
韓国だけでなく、元気のいいアメリカ企業も、携帯音楽プレーヤーなど各分野で日本企業を脅かしている。
半導体露光装置は10年前までニコンとキヤノンで世界の75%を占めていたが、現在はオランダの企業がトップ。
滅びてしまったけど、世界に冠たるところまでいった産業の遺産というものは大事にしたいです。
教育の世界は、「博物館」と通じるものがあると思っています。
ルーブル美術館であれ、プラド美術館であれ、大英博物館であれ。
なんでもいいのですが、「つわものどもが夢のあと」という側面があります。
夢のあとは、細工して子供のための「遊園地」「教場」にしちゃえばいいのではないかなと
思ったりするのです。
そういえば、JALは航空教室を主宰していました。
基本的に、リターンと無縁な事業ですから、大きな規模になることはないけど。
学校で学んだことが、実地で、使われるということの具体的な事例として、
「教材」に使えたりしないかな。
というわけで、そういう観点からいつか「電子立国日本」なんかも読んでみたいと思ったり。
RCAは儲かっていた時代に作った大きな研究所があり、次世代のテレビを開発しようと、たくさんの技術を蓄えていた。
それが液晶テレビだったが、これはRCAでは実現しなかった。
後に日本のシャープが、この技術を譲り受けて電子計算機に使い、技術を進展させて、最終的に液晶テレビを実現したのだった。
こういう事例だいすき。
「車輪の再発明」もやるところを、間違えなかったら、ヒットにつながるという教訓に
読み替えることができるのではないかなと思います。
そうか、企業買収という投資手段は、こういう「目的」を達成するためにあるのだなと感心
して読んでいました。
技術をゼロから生み出すことと、技術を事業にすることは、仕事の種類として違うということの
再確認。
こういうことは、色々な業界にあるのではないかと思う。
そういえば、知人の製薬会社には、商品化するところまでいかなかったけど、特許として
「お倉入り」している「技術」がたくさん眠っているという話を聞いたことがある。
新しい技術の波に乗れず、シェアが落ちている企業も、別に技術を持っていないわけではない。
それどころか、このビデオに出てくるように、全ての最先端の技術がこの会社にはあるのだ。
それなのに、その技術を使った商品が出せない。
漸く出してもシェアが取れない。決して経営陣が技術を知らないバカなわけでも、技術者が使えないわけでもないのだ。
経営の舵取りを少し間違えただけで、これだけの技術と、研究者の努力が無駄になってしまう。
そして、大企業の組織を改変し、新しい技術に対応するように全体を変えていくのは、かくも難しいことなのだ。
思いっきり、短くまとめたら「宝のもちぐされ」という典型的な例になるのだと思います。
組織というのは、不思議なもの。どれだけすぐれたメンバーで構成されていても信じられない
失敗をすることがある。
これは、小動物のような零細をやっている人間からすると、ある意味、「福音」ではある。
小動物が、巨大な恐竜様のすきまをぬって食べていく道はいつだってあるのではないかなと。
「技術が優れてるから勝てる」わけではない、ということは、こうしてアメリカの企業たちは、
日本企業やヨーロッパの企業に追いやられながら学んできていているのだ。日本企業が、これらのアメリカ企業のように崩壊の一途をたどるか、IBMやGEがそうであったように再生するかは、今の経営の舵取りにかかっている。
ハイテク一本で、わたっていけるほど、世の中は甘くはないということで参考になります。
ただ、ハイテクを売り物にする技量があることが前提の話だから、やはり理工系教育は
ここでも、基盤なんだよな。
特許で差別化する技術ってのが、一番、大きくなっていませんか。