現職弁護士による「新人が路頭に迷っても知った事じゃない」 - Togetterまとめ

思いっきり関わった時代を思い出していた。
竹下景子さんのインタビュー記事で
たしか、税理士だったお父さんが、苦学して
40才くらいで司法試験に合格したという話を
どこかで読んだ。かなり昔。
まあ、それくらい難関。
偶然ですが、フジテレビを退社して、弁護士に
なった女性の「合格体験記」を本屋で
みたものですから。
いや、ほんと。さすが女子アナ。
どうみても、アラフォーにはみえなかった。
写真を見る限り。
自分より5つ年上だということを知って愕然。
おそるべしアンチエイジング
つうわけで、その難関の試験を突破した
新人弁護士の雇用機会が、かなり限定されている
という現状についての書き込み。
元女子アナさんの合格本にも雇用機会の厳しさが
書かれていた。
現状、一体、どうなっているのか。
そういえば、テレビでもそんなことをやっていた。
さらに偶然ですが。
翻訳事務所という存在を知る。
契約書や、法学論文の英訳和訳をする事務所だね。
ちゃんと法律エキスパートもいる。
英米法独特の観念についての説明などが
翻訳者によってコラムになって書かれていた。
学生時代。
教官が
「渉外事務所というところが、やっている作業は
限りなく、英文解釈に近いといえなくもない。」
ともらしていたのを思い出した。
つうことは、翻訳事務所で英米法について書いている人と、
法律事務所で、カウンセリングをやっている人の
違いは、資格の取得の有無だけなのか。
そう考えると、なんとなく怖いような。
とまあ。関わったことのある領域なので
書きたいことはいくらでも出てくるわけですが。
で、このTogetterには、なにが争点になっているか
というと。
「とにもかくにも、新人の雇用機会がない。」
「このままでは、司法試験に合格した新人は
実質的に、弁護士マーケットに参入するチャンスを失う。」
「それは、弁護士マーケット全体でみると、
すでに、売り上げの確保をしている既存の法律事務所
が、新しい競合が育成されるのを、妨害しているように
みえると。」
というロジックを使ってくる人が出てきている。
「売り上げの確保」というものが、そんなに
自明のことなのだろうかというのがまず一点。
それと、平均年収についても具体的な数字があがって
いたけど。
これも、どうなんだろう。統計数字が常にに実感と
乖離するというのはよく聞いたことがある話。
おっと、この先は統計学の話か。
いやまあ。おそらく、世の中で、もっとも正確な
回答を得ることが難しい質問で、正直な答えが
大量にないと、成立しないと調査だから。
なにが、真実かは、永遠の藪の中かと。
そして、どうやら現役の弁護士と思われる人が、
弁護士事務所の「採用の自由」を錦の御旗にしている。
事務所も、収益が挙げていかないと、存続ができない。
売り上げの確保が保障されないで、人件費の増大を
招く「採用増」は、できない。
できないものはできない。
そして、このロジックの行き着く先は、司法試験合格者の
雇用機会については
厳しいままに放っておくしかないと。
まあ、こちらのロジックのほうがまともかな。
どうも、この現状を漏れ聞く限り。
弁護士が提供するサービスの「値下げ」が
進行するのではないかということ。
既存の法律事務所への採用の道を断念することを
余儀なくされる弁護士の人は、
残念ながら、自分の希望する年収より低い数字で
採用されることを了承するだろう。
となると、この先、弁護士を雇用する人は
従来、弁護士にかかっていた人件費より安いコストで
資格取得者の調達が可能になる。
であれば、従来、既存の弁護士事務所が提供していた
サービスで、提示されている時給よりも
「低い時給」で、同じサービスを提供するという
事業を展開しても、売り上げから弁護士の人件費を
差し引いた利益が保障される。
いままで、弁護士を社内においておきたくても、
人件費がかかりすぎて、断念していたところも
弁護士をInHouseとして抱えることが可能になる。
一部の金融機関や、東京のキー局などの特権では
なくなる。弁護士を社内に抱えることが。
ということは、
「法律知識」の普及にかかるコストが社会全体で
安くなるということ。
今までだったら、法律知識がないために
損をしていたかもしれない人たちも、
サービスの提供価格が下落したことにより、
弁護士に仕事を頼むことができるようになる。
であれば、従来、法曹を経由してこないで、
「違う人」によって処理されていた問題が
表にでることになるのかもしれない。
司法試験の合格者の大幅増員は、こうして
「リーガルサービスのコストダウン」という
ことを実現しようとしていると。
そういうことなのかなと。
雇用市場で、少しでも、まともな年収で生活が
したいと思っている「市場参加者」からすると、
「じゃあ、そういうコストダウンのプレッシャーから
逃げることができる場所がないか?」と
思案するというのも選択肢の一つ。
もう一つは、
「リーガルサービスのコストダウンが可能になった
ことで、いままで出来なかったような事業がないか
どうかを模索する。」
後者のほうが、建設的なのではないかと思う。
そして、その可能性は決して低くないのではないかと
思っているのだけど。
過払い金の返還請求とかだってそうだと思うけど。
刑事事件の弁護士の確保も、このコストダウンが
徹底することで、実現するのかもしれない。
一つのアイディアとしては。
人件費を抑えた「公務員」弁護士を、政府や地方自治体が
ある程度、まとまって抱えてみるというのはどうかなと。
すでに、「法テラス」とか。「パブリック法律事務所」
がやっているようなこととか。
でも、政府や地方自治体にその余裕がないのか。
新しい、アイディアを生み出すためにも
「押さえた価格で、弁護士に相談ができるとすれば
何を、彼らに求めたいのか?」
ということを、潜在的なユーザに聞いてみるというのも
一つの手なのかなと。
どうなんだろう。
貸し金、多重債務。
事業再生。
投資事業の契約のチェック。
知的財産権がどういうものか、町工場の社長も
気軽に聞けるとか。
そう。
いままで、「リーガルサービス」というものと
無縁だった人たちと、
雇用機会が限定されている新人弁護士がどうやって
「出会う」のかということが課題なのかなと。
そういえば。江頭先生だったかな。
会社法というのは、教科書を書いている人は
一部上場企業しか存在しないことを仮定して
いると。
でも、実務は、そうではなくて、名もない中小企業が
多数であることを前提に、法制度の運用が存続してきたと。
当たり前といえば、当たり前の話なのですが。
ここで、一つ、疑問なのが。
他の士業の問題。
社会保険労務士だとか。
宅建だとか。
税理士ですとか。
公認会計士ですとか。
色々な資格があって、それぞれの「業界」があった
わけで。
では、先ほどのようなコストダウンしたリーガルサービスの
展開先というものを、シミュレーションするとき、
では、その展開先に「先住民」がいるのかどうか
という問題もあるわけで。
ここから先は、カンになりますが。
一部の企業や、クライアントに限定されていた
サービスを、いままでクライアントになりそびれていた
人に、コストダウンを錦の御旗にして、拡大したとき、
隠れた、マーケットが出てくるのかということに
なりますが。
うーむ。こればかりはな。
そして。ここで「格差社会」というものの
現実が、重く重くのしかかると。
それにしても、これ。
この課題って。
World Is Flatとも無縁ではないのかなとも思ったり。
いや、弁護士の問題は、国内の問題だけど。
たとえば、電子部品の会社にしても、
テレビ作って、販売してきた会社にしても、
「世界」という市場で
「同じ能力をもった人間を、はるかに押さえた人件費で
雇用することができる会社」があとからあとから
出てくる。
というプレッシャーのなかで、
常に「コストダウン」という課題と取り組んで、
利益を出す必要に迫られる。
売り上げを押し下げる要因は、毎日積み重なっていく。
だったら、支出を抑えるしかない。
コストがかからないで、かつ有力な人材というものが
常に求められる。
こうして考えてみると。
では、既存の法律事務所は、
現在、提供しているサービスの価格を抑えて、
顧客層を拡大する。
サービス価格の下落は、新人弁護士の取得費用の
下落によって相殺される。
そうすることで、おなじ採用戦略をとらない事務所よりも
「価格競争力」を身につけて、マーケットでのシェアを
拡大するという作戦はありなのかなと。
そんな思考実験をする。
結果的に、それで、売り上げが上がって、利益も
確保できるなら、さらに、マーケットに余剰人員として
路頭にまよっている資格取得者を低価格で購入して
いけばいい。
という形で、「好循環なスパイラル」を形成することって
できないものかなと。
もう出ているのかなと。
というか。
ちょっと経済学チックに書いてみたけど。
Togetterの記述を読んでいる限り。
既存の法律事務所にしろ、これから法律事務所を
開業する人にしろ。
これ以外に、差別化をする方法ってないのではないかと。
「渉外事務所の業務内容は、限りなく、英文解釈に近い」
のであれば。
英文解釈が出来る人のマーケットっていったら
そりゃもう、もっとすごいことになっているわけで。
世の中全体でみたら、コストダウンは、いいこと。
でも、コストダウンをしないと、生きていけない
業者からすると、コストダウンを強制する制度変更は
許し難い。
合格者の大幅増員が流れになったとき、もう
このコストダウンへのカジは、思いっきり切られて
しまったのかな。
ということで。
この先の弁護士業界で、何らかの「政治的な動き」
がある場合。
「その立法が、リーガルサービスの社会全体の
コストダウンを阻害するのかどうか。」
という、基準ではかっていったらいいのではないかと。
既存の法律事務所が、採用枠の増大に二の足を踏むというのはどうも、この「コストダウンへの障壁」には
なっていないように思う。
労働市場で、路頭に迷っている人材を活用した
「コストダウンを実現する動き」を正面から妨害する
動きが、出てきたら、それは問題だろうと。
そして、これは、制度の問題ではなくて、
「コストダウンを実現したリーガルサービスの
実行に移す人物がいるかどうか」
ということなのではないかな。
そういう人が、登場していないという責任を
採用の枠を押さえている法律事務所のせいにするというのは
やはり見当違いだと。私は思いますが。
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そう。この会社がやったことも、結局そういうことだったんでしょうと。
「コストダウン」を錦の御旗にして、ここまできたと。
6年経過していたことにびっくり。まだ始まりだけど。
これで、資金調達が可能になったら、またいろいろな可能性を追求していくのだろうな。

もちろん、「コストダウン」以外のもう一つの選択肢もある。
「他の事業者ではできないことをできるようにすること。」
「高い価格で提供しても、需要をもつ人が、それを選ばないといけないように
すること。」
そうすると、Appleの研究なのかなと。