日本人の英語 (岩波新書)

日本人の英語 (岩波新書)

書店で、寄り道をしているときにいつか読もう、読もうと思って
放置していたのを、まとまった時間が出来たので、
一気に読んでしまいました。
東京工業大学や、明治大学で、日本文学を研究しながら、英語の学術論文の
添削を長くしてきたという、生粋のアメリカ人による「英語論」。
東京に住んでいて、英会話教室を経営している人の本とかも
どこかにあったはずなので、この流れもそんなに新しくないかも
しれないけど、私の中ではドナルド・キーンの継承者って感じかな。
これだけ、英語学習の本が世の中にあふれていると、
さすがに、一線を画する個性というものを、要求するのは、
どんな「大家」が書いたものでも「無茶ぶり」という気がしますが。
有名進学高校の生徒さんの英語指導に入ったとき、
ピーターセン先生が執筆監修に入った英文法の参考書が
学校指定のテキストになっていると聞いて。
英語の指導に関わる以上は、いつか読みたいと思い。
英文法の本は、分厚いし、やっかいだけど。
新書3冊分だったら、なんとかなりそうみたいな。
そんな感じで読んでみました。
日本の大学に研究にきて、まだ間もない頃。
筆者は日本語に適応しようと思って、浴びるように日本語を勉強
したそうな。それが、米国人としての「限界」を越えそうになったとき、
「日本語なんて、大嫌いだ!」みたいなことを、部屋の窓を開けて
叫んでしまったと。
ところが、そういう日本語への怨嗟みたいなものを、「日本語」で
叫んでいた自分にすこし驚いたと。
私も、ここのところの記述が一番びっくりして、この3部作シリーズを
全部読みました。
ピーターセン先生の「蛍雪の功」はこうして、長年読み継がれる
ベストセラーとして、その形をなしています。(704文字)

続・日本人の英語 (岩波新書)

続・日本人の英語 (岩波新書)

「日本人の英語」の第2作。
ピーターセン先生も、前作に対して、どのようなカラーバリエーションを
つけようかと、色々と迷われたのかもしれない。
前作は、文法事項や、英語の表記に関する各章立てのところで
「英文学」の「名文」からインスピレーションになりそうな
ものを抜粋して、飾っていたけど。
今回は、「映画」。
オズの魔法使い」「カサブランカ」のような「名作」がもっている
英語の味わい。
逆に、「タンポポ」「東京物語」のような日本の映画の名作といわれている
ものがもっている台詞にある「日本語の味わい」。
こういう言葉が、日本語と英語の間を自由に往来するのには
そんなに簡単ではないということがユーモラスに書かれている。
I think We are not in Kansas anymore.
これが「オズの魔法使い」の傑作の台詞だそうで。
カンザスにいるという現実的な舞台設定のところではモノクロ。
台風に飛ばされて、なにやら異次元の世界のいくと、そこはフルカラー。

原作を鑑賞しているわけではないので、実際どうなのかといったところ。
でも、たしかに、年齢がいくと、この仕掛けはいいなと思います。
逆に、「タンポポ」に出てくる、ヒロインの台詞「私って偉い?」
というものを、英語にすることが可能なのかという、これまた
ユーモラスな論考がある。

カサブランカ」という作品は、たしかこのブログの他の
エントリーで紹介したような気がするけど。
英語を学習するという観点からの映画鑑賞では「定石」のようです。
たしかに、イングリッド・バーグマンという人。いいな。
現代のハリウッドよりある意味、気品みたいなものがあって。
というのはさておいて。
ここでは、「黒人の英語」というちょっと微妙な話題にまで踏み込んでいる。
ちょっと前までは、人種ごとに、どういう台詞回しを許容するのかという
点で、いろいろと、細かい「自主規制」のようなものがあったみたいな。
すこし、きな臭い言い回しが本書のあちこちに出てくる。
本書の終わりのほうでは、映画にとどまらない、「文学作品」の
翻訳というテーマで、川端康成の小品や、サリンジャーの作品を
とりあげて、「やさしい」という言葉が多用される日本文をどうやって
自然な英語にするのかとか。英語がもっている「きつい意味」をどうやって
日本語にするのかとか。ちょっとアカデミックな感じに話しが進みます。
(980文字)
実践 日本人の英語 (岩波新書)

実践 日本人の英語 (岩波新書)

こちらが「日本人の英語」三部作の最新版。
研究者の人が書いた英語の論文が、適切な英語で書かれているかどうかという
「添削」の作業をして、25年の歳月が流れての「3本目の矢」。
旧作のほうは、英語、特に英文法を話題にして、ちょっとエッセーな感じが
あったけど、この本はむしろ、「教室の授業」の再現に近い。
前の作品に比べて、「私が大学で行っている英語の講義では・・・」
「実際に、こういうケースで学生に書いてもらったものだけど・・・。」
みたいな記述が目立ちます。
章の頭に、英文法の語法の問題で出題されてもおかしくなさそうな
択一の問題が出てきたり、
日本人が英作文をするときに、よくひっかかりそうな表現を
どうやって、適切な英語にしていくのかといった「設問」を
まず書く。
その後に、「本体部分」でこの設問に対する「マーク式」の「解説」を
自身の教員としての経験を交えながら、
おもしろおかしく書いていく。
世界に一つだけの花」だったかな。
「Only One」という英語は、おそらく日本生まれの英語だということ。
「Just Meet」という英語も、おそらく日本生まれの英語だということ。
こういった部分は、読んでいて、愉快な部分が多い。
そういえば、学生時代に「クレオール」という言語のことを聞きかじった。
ヨーロッパ本国のスペイン系の言葉が、南米に入ってきたときに、
現地の言葉にまじって、妙な感じの言語になるとか。
たしか、そんな話しだったと思う。
「本家」というものが英語にはどうしてもある。
さしあたって、イギリスと米国。
となると、その「本家」からの距離というのはどうしても否定できない。
その距離が、不思議な英語を生む。
「短くて、ぶつ切りの英作文は子供っぽい。」
という記述もあった。こちらは、受験指導をしている英語の先生から
すると、すこし心外かもしれない。
文法的な間違いを大学受験の英語の試験の採点者に発見されると
「減点」という災難がまっている。だとしたら、たとえ、子供っぽい英語
であれ、安全パイになる書き方をするほうがいいのではないかなと。
私も、指導に入るときはそういっています。(874文字)
英語屋さん―ソニー創業者・井深大に仕えた四年半 (集英社新書)

英語屋さん―ソニー創業者・井深大に仕えた四年半 (集英社新書)

ソニーに文系就職をした人が、在社時代にどういう業務に関わって
いたのかを書いた「ビジネスもの」。
早稲田大学で、学生をしていたときに「英検1級」を取得した
「杵柄」が認められて、ソニーの創業メンバーだった人の
「英語係」に就任したと。
この会社のように、世界中に商品を販売するとなると、
会社のCEOの人も、交際範囲はグローバルになる。
そうなると、必然的に、日本語だけでは、ビジネス・コミュニケーションは
成立しない。
米国で、スピーチをする必要に迫られたり。
世界中の、取引先の人と、英語で手紙のやりとりが必要になったり。
会社の本業は、工場で、ものを生産して販売するというものだった
わけですが、こと「英語まわり」の仕事というのは、結構あったのだと。
今でもそうなのでしょうが。
英文をチェックするだけのために、ネイティブスピーカが正社員に
なっていたり。
会社関連のビジネスレターを英語にするとなると、「権威」として
名乗り出る女性秘書がいたり。
私も、すごく短いサラリーマンの時代に、「管理部門」というところに
いたことがあるので、なんとなく、筆者のいた職場の雰囲気みたいなのは
伝わってくる。
英語本として、読んだのですが、「会社勤めの実際」というものの
断片を知る上でも、とてもいい本に仕上がっているのではないかなと。
もちろん、「英語を勉強しておくと、いいことあるでしょ!」
ということも、伝わってくるのではないかなと。
本書がユニークなのは、ちょっと本業からずれた「隙間」っぽいところで
孤軍奮闘する筆者の様子。
予算請求もままならないので、色々と知恵を絞ったりするのが共感を
誘う。
「英語論」から少しずれますが。
この本の筆者がついた「井深」というビジネスマン。やはりただ者では
なかったのかも。晩年は「早期教育」「幼児教育」に熱を上げていたのだ
そうだ。こうなってくると、筆者のいる業界に近くなってきます。
「鉄は熱いうちに」というものを、突き詰めていったときに、
おもいも寄らないヒット商品の種があると思ったんでしょうか。(825文字)
偶然ですが、冒頭で紹介した「日本人の英語」シリーズでも
実は「ソニー」を暗示させる商品と、少年ピーターセンとの出会いという
ものが、書かれています。その商品の英語の説明書きがなんとなく
ぎこちなかったと。
快読100万語!ペーパーバックへの道 (ちくま学芸文庫)

快読100万語!ペーパーバックへの道 (ちくま学芸文庫)

英語多読」のジャンルの本は最近、かなり色々なところで見かける
ようになりました。
「英語教育」の一つの波に確実になっているようです。
英語多読教育史」なるものを、後になって書こうと思ったときに、
ひょっとしたら、「草分け」になる人かと、考えられる筆者による
「多読指導」の本。
このジャンルの本は、初心者向けの字数の少ない洋書の紹介とセットで
書かれるので、それに伴っているせいかどうか、わかりませんが、
「軽くて、すぐに読める本」になっていることが多いです。
しかし、この本は「ちくま学芸文庫」に入っているということもあり、
結構、字も小さくて、内容も、盛りだくさん。わりと読んでいて
疲れるかもしれません。
もしも、英語の多読というものを、自分の指導メソッドの中に入れようと
思い立ったらどうやってアクションを起こしたらいいのかとか。
そんな実践的なところにまで踏み込んでいます。
多読するためのテキストを買うとしたらいくらなのかとか。
「英文法を教わる」ということに、拒絶反応を示す学生もいるだろうと。
「正確に和訳しろ」といわれて、悶絶する学生もいるだろうと。
「単語を覚えろ」といわれて、英語が嫌いになる学生もいるだろうと。
だったら、自分がとっつきやすいレベルで、自分が好きなように、
「読め」と。
英語に親しむための一つの方法ではあるかなと思いますが。
「試験の採点」というものを実務的に経験すると、
あまりの自由放任の指導スタイルにすこし圧倒されます。
筆者は、この多読指導を経ると、「プロ向けの英文法書」だって
学生が自発的に読むようになるのだと。
そういう「経験論」を語っています。
まあ、外国に一生、縁がないと思って、生きている人に
「英語漬け」の環境をバーチャルに提供しようと思ったら、これしか
ないだろうなと。そんなことを思って、こちらの動向も追っています。
「日本人の英語」のぎこちない部分をどうやって改善していくのかという
ことへの、示唆になっていると。私はそう思います。(821文字)

おまけ
東京大学医学部合格したとかいう人の英語勉強法

単語帳はシス単。勉強中はずっとCDを聞いてた。聞々ハヤえもん http://soft.edolfzoku.com/hayaemon/使えば速くできるから、それでリスニングの素地にもなる。
単語は早めに覚えたほうがいい。後で焦っても入らない。

文法はZ会の英文法語法のトレーニング戦略編。解説も詳しいし良かった。
文法に専念する期間を作ってとりあえず一周かな。知らなかったことや暗記事項は下線を引いておくとあとで見やすい。センターはこれでおk
英文法はこれだけやって、4-A対策は過去問とかを一気にやれば力付く。

解釈は基礎英文解釈の技術100/英文解釈の技術100、英文読解の透視図を順番で。
二冊は100の英文が見開き完結だから、読めたのはどんどん消して数学みたいに何周もするといい。
わからない単語はノートに書く。時間かけてもしょうがないから、単語と文中での意味だけ記せばいいと思う。
透視図も同様。東大の英文今んとこそんな難しくないから、解釈はこんなもんでも十分だろう。
訳は紙に書くこと。文意がわかっても、それを日本語にする時に迷う可能性がある。それもノートに書く。
長文の問題集は結局やらなかった。読めるなと思ったから理科に力入れてた。

リスニングは↑見たいにある程度鍛えてて、センターは既に9割くらいだった。
東大リスニング15カ年で問題傾向と対策を確認(選択肢を読む時間、選択肢に施すメモ)
聞いてメモを取るのはいいけど、そっちに気を取られては本末転倒。まずは聞いて、理解することに専念。
そうすると結構するする解ける。問題の順通りに話が進んでいくから、一つ解けたら次に目を向ける。
聞けなかったら保留。気を取り直して次へ。まず聞くことが大事。
単語が聞けないのは次そこを注意して聞くとして、話についていけない人は…大まかな流れだけでも掴もう。問題文も参考に、頭の中で話を想像する。
想定しておくだけでもだいぶ違う。
あとキムタツは嫌いでした。リスニングはネットで無料教材というか、そういうのも自分のレベルに合わせて補完するのもいいかも。

英作文はただの例文暗記よりも、同じ訳語に対するニュアンスの違いとか使い分けを解説してる本は楽しいんじゃないだろうか。
面白い→interesting,funny,amusingとかね
他にも書き方もろもろ解説してるので、大矢の英作文の実況中継、河合の英作文のストラテジー、減点されない英作文がお勧め。
竹岡の英作文が面白いほど〜は、自由英作で使えるよく使うフレーズが抑えられるからこれもいい。
Z会の自由英作文のトレーニングの別冊子もフレーズを増やすには良かった。
2,3冊やれば大体困らないくらいには書けるんじゃないかな。
勉強法は結局例文暗記だけど、フレーズとかも頭に入れて、出せるようにしておく。
ストラテジーは例文暗記も念頭に入れてて良かった。
暗記は殴り書きね。忘却曲線とかいうのも意識しつつ、間をあけてゴリゴリと。
英文150くらいなら結構うまくいくんだけど、それ以上だと雪だるまになって回すの厳しいかも。

とりあえずこんなもんで