32年の東京大学 前期試験 物理
難関の国公立大医学部だが、医師不足解消のために07年の7625人から9061人に定員が増えており、間口は広がっている。
予備校ビジネスは、その後環境が大きく変わり、時代の変化に対応できなかったのが、代ゼミの衰退につながったと新聞記事では解説されています。
環境変化とは、大学入試の現役志向、国立理科系志向、そして個別学習志向の3つです。
大学進学を考えるにあたって|大学入試の基礎知識|Kei-Net
下のグラフは18歳人口とその年の大学志願者数の推移をみたものです。18歳人口は、1990年代の前半には200万人を超えていました。その後、少子化が進み18歳人口は減少を続け、2014年には118万人にまで減少します。ピークであった1992年と比較すると、4割以上の減少となります。
一方の大学志願者数をみると、1992年には92万人から、2014年には66万人とこちらも減少しています。しかし、減少率は3割未満にとどまっており、「18歳人口の減少ほど大学志願者は減っていない」といえます。これは、かつてと比べると高校卒業後に大学進学を志望する人の割合が高まっているためです。
「少子化」「大学全入時代」といった言葉をよく耳にすることから、毎年のように受験生が大きく減っているようなイメージがあるかもしれません。しかし、大学志願者数は2006年に70万人を割って以降は60万人台後半で推移しています。先行するイメージほど大学志願者数は大きく変わっていません。
そこから「逃げだす」ことは誰にでもできることさ
あきらめという名の傘じゃ雨はしのげない何もかもが知らないうちに
形を変えてしまう前に
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ひたすらに解いていたのが、今となっては懐かしい思い出。
118問のうち、まともに太刀打ちできたのがあまりなかったので、打ちのめされました。
それから、「ではセンター試験だったら、どうやねん」と思って、ひたすらにセンター試験の過去入試問題に没頭。
これがまたえらい苦戦をすることになる。
思ったように、高得点がとれない。代ゼミ、駿台、河合、,Z会、すべての模擬試験も徹底的にやり込んだけど、
やはり、解答に窮することが多かった。
そして、結局、去年の夏休みから今年の夏休みにかけてまた物理だらけの時間を過ごすことになってしまった。
そして、2014年の夏休みは、「難問題の系統」の代わりに、「東京大学の物理 25年」という赤本のスピンオフを徹底的に
やり込むことにしました。なんだかんだいって、こちらの大学がどういう問題を出してくるのかということが
大学受験物理のある程度の方向を決めてきたんだろうという気がしたものですから。
真摯な予備校の先生ほど、「試験本番では初出」の問題を相手にしないといけないということをよくネットでも公言されています。
だったら、「典型問題の解法暗記」には最初から限界があるのではないかというのが凡人、元文系受験生は思うです。
大学受験というのは、あくまで「受験レベル」にとどまり、「パターンにも限りがあり」、よって生まれ持った頭の善し悪しに関係なく
結果を出すことが出来るということが「物理」という科目でも成り立つのかという、「基本的な問題意識」があります。
この問題への答えを検証するために、ひたすらに、スタンダードや問題を解きまくり、解法を暗記して、演習に備えました。
私なりに、得た、今のところの結論は、
「やはり、生まれもって、物理に向いている人はいるのだろうけど。それでも、受験物理にはある程度のパターンがあるので、努力であがる余地が
ないではない。」
という、白黒があまりはっきりしない、歯切れのわるいものになりました。
東京大学の問題。約95問を1日2問のペースでチェックしていきましたが、やはり「同じような問題が繰り返し出題される」というような
ことはなかったように思われます。それどころが、やはり積極的にオリジナルな問題を作っていこうという意欲があるように思いました。
これだけ事前準備で、あらゆる典型問題をやり込んでも、この夏休みの間、ひたすら「どうやったら方程式がたてるのか?」
で苦悩することになったのですから、やはり東大物理半端ではありません。
すべての設問において、正しい数値を導けたのはたったの1問。調子がよくて、8割くらいのできが2、3問。残りは大体、半分から6割くらいの
できだったように思います。(1160文字)
力学
このブログのエントリーでは力学についての記載が先頭にきているけど、問題の講評を書き上げた順番としては
この「力学」分野が一番最後になります。単なる好みの問題といえばそうなるけど、
「東大前期試験物理」の中でやはり一番得点があげにくいなと思った分野だから、いきなり講評を書くことに
抵抗があったという理由もないではない。
力の書き出し。
ベクトルを使った分解と合成
設定した方向に応じて、釣り合いの式を立てる。運動方程式を立てる。という手順を踏むというただそれだけのことを
するのに、苦戦する。
設定があまりにも特殊であるため、そもそもどこに、どういう種類の力を書いたらいいのかがわかりにくい出題もあった。
やはり、「解法体系」をメカニカルに覚えて、適用するだけでなんとかなってしまうということはほとんどない。
力積保存の法則 エネルギー保存の法則を当てはめるタイプの問題も多いが、そもそも前後のエネルギー状態を
適切に書き出すのに苦労する。力積保存の法則も、「そもそも状態の前後とは、どの場合とどの場合か?」というところで
悪戦苦闘する。
「単振動」の運動を取り扱ったジャンルもやはり、どれだけ典型問題をやり込んでも、本番ではそれだけでは
どうにもならない。
問題の年度をどんどんさかのぼると、旧課程の壁にもぶつかる。
昔は「角運動量保存の法則」というものまで、試験範囲に含まれていた。
ですので、保存則適用タイプの問題に、回転などが加わって、こちらは、現行の学習参考書には対応の方策が書かれていないので
万事休す。解法の暗記からも外すことにしました。
しかしながら、モーメントを計算するタイプの問題はすこしだけありました。
「万有引力」を取り扱う問題も、ぱっと思い浮かぶものでは2問ほど。
そんなにエキセントリックな、解法を用いなくても対応できていたように思います。
もう一つ、東大物理力学分野の特徴として、思ったより問題文が長くはないということ。他の大学の物理の問題文は
もっとゴテゴテとして長い。
でも、東大の力学の問題文は、かなりあっさりしているという印象がある。でも、絵柄をみるだけで
計算方針が思い浮かぶのかというとそんなことはない。そこが難しい所でもある。
ロケットや宇宙ステーションなど、「宇宙物理学」っぽい出題が多いのも特徴かも。他の大学の問題ではあまり
こういうすこしSFがかった分野はなかった。たしか、お茶筒の形をした宇宙船が回転して、遠心力が発生して
中にいる宇宙飛行士が船体の床に押し付けられるみたいな。(赤本の解説者が「2001年宇宙の旅」を引き合いに出していた。)
ジェットコースターの問題とかもあったな。これは他の大学でもあったと思う。
熱学
熱力学のジャンルは、おそらく全分野のなかで、扱う方程式の数が一番多くなる。
二つのピストンを用意するだけで、状態方程式が2つできる。
さらに、ピストンの重さと、ピストン内部の圧力の釣り合いの式が二つ。
さらに、新しい熱を注入させたり、ピストンを動かして、断熱圧縮や断熱膨張の現象を引き起こさせると、それで
ポワソンの式や、変化前に立てた式と同じ数だけの方程式がたってしまう。
そうなると、式と式の間の関連性を考察する必要が出てくる。
ここまでいきながら、問題文にそって縦軸が圧力、横軸が体積のグラフをたてる。
このグラフによって、内外部の熱がした仕事の計算するという設問にも対応する必要がでてくる。
最後に、すべての熱量は、体積の膨張圧縮に要する仕事から、内部エネルギーの変化に使われるという第一法則による
方程式を立てて、欲しい値を計算するというプロセスもとる。
力学で学ぶ単振動、「釣り合いの式」とも相性がいい。電磁気学で出てくる静電気力も重要な役割を
もっている。他分野との融合は、とても激しい。だから、いくら典型問題をやりこんでもやはり、ここでも
本番の戸惑いや焦りを、事前準備によって克服するというのはとてもとても大変なのではないかと思う。
気体の分子運動論も少し出てきました。
設定がややこしいので、ピストンが出てきて、内外部との熱のやり取りがあるので
ピストン内部の体積の膨張や圧縮が結構、おこっていることは、問題文を読んでいても想像がつく。しかし
かなり深い考察力がないと、はたして、PVグラフがどういうものになるのかというところで
戸惑う。
そういえば、「気体の状態方程式」は化学理論のメジャーな出題分野。
密閉した空間の中で、ある一定の温度を境目にして、空間の中に水蒸気が水滴として出てきたり、
再び水蒸気(気体)になって視界から消えるという現象が起きる。そのときの圧力計算は
当然として、これを、物理で学ぶ熱力学の問題として出題させるということもありました。
これは、きつい盲点をついてきたなと思います。
冒頭でも書いたけど、とにかく連立させる式の数がとても多い。だから模範解答を読みこなしていても、
どこの式にどういう変形を加えて、欲しい数値が出てきたのかをたどるのが大変なことがある。
設問に応じて、使っていい文字と、使用してはいけない文字が指定されているので
それを読み込んだ上で、式のリストを眺めて、どの文字を消去するのがいいのかという
「数学的なセンス」が多分に要求されているように感じた。
波動
2014年の波動の問題は、「光の干渉」からの出題。
はじめはスリットの数は二つ。なんとなく、「レンズ」を連想させるような状況。
典型的な「ヤングの干渉実験」の設定を思い出して、光が映し出されるスクリーンにできる線が
明線なのか、暗線なのかを計算させる。見慣れない状況を、長大な問題文で読ませておいて、
実は、典型的な干渉の問題での計算方法を、うまく応用できるかどうかをみるもの。
レンズの問題も出される。「スネルの法則」結局、2本の光線の経路差の問題に帰着されて、
「干渉」の分野と接続される。
以上は、波としての光の現象を扱ったジャンル。
もう一つ、波としての「音」を扱ったジャンル。当然のことながら「ドップラー効果」による
振動数の変化を計算させる問題が多い。こちらは、あまり他分野との融合が意識されている
ことはないと思う。一つだけ、音源を、ブランコに設置させて、「単振動する音源」という
問題が出てきたけど、電磁気学での融合ほど、きつくはなかったように思います。
求められる数学のレベルがすこし高かった。
音源から、観測者のいる地点へ、音が到達するのにかかる時間を計算するということが
あるけど、この音源から観測者の間の距離を計算するのに、「余弦定理」を適用する必要が
あるというジャンルがあった。
東京大学の物理で、どこまで、数学を「物理応用」の準備として、やりこむ必要があるかは
かなり厄介な問題かもしれない。
2014年の力学の問題でも、欲しい関数のなかに、どうしても整理できない二つの変数が
でてきてしまい、最大最小問題を解くのに戸惑う。しかも模範解答でも、関数の変形による
最大最小値の決定という王道が踏まれていなかった。
どこかの年度に「水面波」がもっているエネルギーを計算するというものもありました。
こちらは、計算に必要な「公式」にあたるものは、問題文中に与えられている。
こういうタイプの問題は、典型問題をとことんやりこんで、当日本番で、見知らぬ問題を
みて、ヒックリ返る受験者が出ることを想定していると思われる。逆に、本当の意味での
「柔軟さ」をもっている人は、波動分野の準備がいい加減でも解けてしまうという面が
あるのかも。
「共鳴」の現象を利用した問題も発見。こちらは、音源などから発射される音波と
気柱の端で反射する音波の干渉の現象としてとらえることが重要。
音波の波長を計測するのに、この気柱の共鳴現象が利用できるという問題でした。
温度に応じて音速が変化するという計算式とミックスして、多少、ドップラー効果による
振動数の変化を算出プロセスを変化させている。
電磁気学
電磁気学の分野と評価できる問題は、かなりの割合で力学との融合問題だった。
「漆原物理」で学習する解法のステップも、一つだけでは立ち止まることになる。
入学試験の問題と、問題集に掲載されている典型問題との類似性に着目してかなり
自分なりに、解き方を考える必要がある。
コンデンサが取り付けられた電気回路の計算問題。
そもそも、問題文に書かれている具体的なイラストを、解答者のほうで、抽象化して、
計算に入る為の「回路図」を作成するのがとてもやりづらかった。そこさえクリアできると、
「容量の計算」
「欲しい電圧の未知数設定」
「電荷保存の法則」と「キルヒホッフの法則」の適用というステップを踏むことで
おおよその解答手順はたつように思える。しかし、回路図を書くのがシンドイので、このステップを
機械的に適用する前で転ぶ。(適用した後の連立方程式の計算の手間ひまもかなり重い。これで制限時間が設定
されると、かなり悲惨。)
コンデンサに、バネを取り付けたら、バネの弾性力と、コンデンサの間に働く静電気力との釣り合いの
問題になる。バネが装置に登場したら、「単振動」の方程式を取り扱う余地も出てくる。
磁場が発生している空間で、コイルのような導線を落下させると、重力と、ローレンツ力の釣り合いの問題に
なる。等速度運動や、等加速度運動が登場する余地が出てくる。(熱学との重なりでいうと、
気体の状態方程式で計算できる圧力が、コンデンサの極板間で働く静電気力とつり合う問題などもあった。)
代表的な問題の分野に「荷電粒子の運動」というジャンルがあるけれど、東大が昔に出題した問題には
そもそも電場が生じる極板の間のプラスとマイナスを、交流電源と接続して、瞬時に多数回入れ替えが
おこるような設定までしてあった。
かなり直近の問題で、やはり「荷電粒子の運動」のジャンルだったけど、極板を通過する粒子のグループが
極板を出てからある一点にあつまり、電子のビームそのものが、まるでレンズの焦点に集まる光の光線のように
振る舞うという現象を扱うものもあり。
方程式を立てる上でも、「レンズを扱う計算問題に似ている!」という直観がピンと働くことなかったら
かなり苦戦する。
倹薄電器と、コンデンサの組み合わせの問題などもあった。
ローレンツ力が登場するジャンルの問題は、かなりパターンにはまっていたように思う。
磁束密度 動く導線の長さ 導線が磁場を横切る速度などを見つけ出して、起電力の大きさを計算。
そこから、キルヒホッフの法則を適用する。さらに、主に重力をはじめとした力学的な力とローレンツ力との
釣り合いで、運動方程式を取り扱うという流れ。