医学部合格者のつぶやきを再録
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私が理3に合格してから聞いて印象に残っている、学習方法に関する話を紹介する。

その話は駿台市ヶ谷校での浪人後に合格した人の話である。

私「駿台市ヶ谷というと理3には出身者がたくさんいるけど、

徹底的に鍛えてくれる先生たちがいるということかな?

そういった先生たちだと給料も高いから、

あそこは採算度外視でやっているわけ?

まあそれでも実績が出れば宣伝効果が大きいからいいか。」

市ヶ谷出身者「先生の中にもすごい人がいるのは確かだけれど、

それ以上に生徒たちがすごかった。

自分は田舎の公立校出身だけれども、

『勉強ってこうやってするんだ!!』という発見が毎日あったね。

これは高校では絶対に知ることができなかった。

市ヶ谷には前年入試で理3に突然の病気などの事故で落ちた人もいるから、

そういった人たちから勉強法について学ぶことは多かった。

市ヶ谷で仲間に教えてもらった勉強法は自分の人生を変えてくれた

と思っている。」

この市ヶ谷出身者は、出身県のトップと言われる公立高校卒である。

この話を聞いて管理人が考えたのは、

進学校がない都道府県では

東大や医学部に合格する学習方法を

教えられている受験生が皆無に近いのではないか?

ということである。

これはどう考えても社会の欠陥である。

しかし周りを見ても幼少期から塾・予備校・鉄緑漬けだった人ばかりで、

学習法を発信できる人は少なそうだ。

ビジネスモデルを聞いてみたつもりが、

話がそれて意図しない新しい気づきを得ることとなった。

「勉強法は人生を変える」

この言葉に衝撃を受けた私は、余暇を使って自分がやってきた学習法や参考書の選び方を「1人の理3合格者の例」として公開することを決心した。


「水素原子モデル」を考案したニールスボーアにちなんで設立されている
研究所で、自分の研究生活を送って「インフレーション理論」という
宇宙論のメイントピックを自ら作り上げたという大学研究者による
啓蒙書。
改めて、アマゾンで検索を書けると、この筆者による宇宙論の本の数は
半端ではない。論文かく暇がよくあったなって思う。
「宇宙は、静止しているのか。縮小しているのか。それとも膨張しているのか。」
ということをテーマにしたトピック。
今まで僕が見聞きした中でももっとも壮大なテーマなのに、
なぜ、「素粒子研究」というとてもミクロな研究の話が頻繁に出てくるのか
よくわからなかったが、この本を読むとかなり納得出来るのではないかと思う。
アインシュタインの考案した理論、宇宙物理学の研究の歴史。
ビッグバンの話。そこにどうして素粒子の研究が絡むのかという話。
思いっきり詰め込んでいるので、正直、後半はちょっとつらいのではないかと思う。


必ず手に入れたいものは誰にも知られたくない
百ある甘そな話なら 一度は触れてみたいさ
勇気だと愛だと騒ぎ立てずに その気になればいい

掴んだ拳を使えずに 言葉をなくしてないかい
傷つけられたら牙をむけ 自分を失くさぬために
今から一緒に これから一緒に 殴りにいこうか

追いかけて 追いかけても
つかめないものばかりさ
愛して 愛しても
近づくほど 見えない


京都大学の物理の問題を、1983年から2013年度まで確認。
というより、合計26問の力学の問題をすべて解いて、解法暗記まで着手。

  • 等加速度運動・衝突
  • 剛体
  • 円運動
  • 単振動
  • 万有引力

「問題のテーマ」というものを、力学に限定して分類すると、上記の5つの領域になると。
「京大の物理」編集を担当している岡田先生による入学試験の問題全般への考察も鋭いと思います。

http://www.riruraru.com/cfv21/phys/index.html

こちらでは、最難関大学の物理の入試問題の内容について検討して行きたいと思います。
当サイトでは、解答そのものよりも解答に至るプロセス・背景について検討を加えて行きます。

まあ、仕事絡んでいるけど、ネット上でかなり詳細な模範解答をアップロードしている人もいますよってことで。
紹介。

京都大学の問題に入る前に、夏休み期間をつぶして「32年の東大物理」をやっている。
そういうわけで、どうしても
「東大の問題と比べて、京都大学の問題ってどうなのさ?」
ということになります。
結論から言うと、「東大よりは、京都大学の問題のほうが、難易度としては、事前準備の綿密さで克服できるものだ。」
というのが、感覚的な印象です。(それをどうやって実証するのかという話ですが、そこまではいかない。)
たしかに、噂に聞く通り、問題文の量は多い。東大より重いんじゃないかな。
でも、そういう「ボリューム」と問題のしんどさにはあまり、関係がないのかもしれないと。
一見、物珍しいテーマを取り扱っているように見えるけど、実は、標準的なテキストに掲載されている典型的な
立式でなんとかなるみたいな。もちろん例外もあるけど。
それより厄介なのは、物理の科目の特性でもあるけど、空欄が10個ほどあったとして、最初の2個目とか3個目で
間違った解答を出してしまうと、その後の空欄にうめる数値がすべて誤答となってしまい、得点ができなくなるという
点では、かなりシビアな設問の作りになっている。
京大のほうが、東大よりスタンダードな印象をもったこととも関連している。
最初の設問で、どうも気持ちの悪い設定や、普段実践したことのないような解法で、解くみたいな状況がある。
そこで、あせってしまって、誤答すると、あとの問題でどれだけ、スタンダードな設問だったとしても
引きずってしまう。ここのところ、本当に引きずるのかどうかは検証する余地あり。
中途でわからない設問があっても、後半も問題が優しかったりしたことは、ある。確かに。
テーマ分類にそった印象についても、書いておこう。
2013年の「万有引力」の問題が一番、強烈だったかな。
2日かかって、何度もやり直したので、かなり定着したとは思うけど。
地球から一定の高さの所から、まず地表。地表から、地球の中心へと、球体を運動させる。
そして地球の中心部にて、別の球体をセットして、それを、玉突き的に地球の裏側に発射させる。
「宇宙空間」「地表」「地球内部」再び「地表」
保存則を駆使して、何度も運動する物体の速度を計算しないと、完答できない。A4で4枚の紙が
計算式で埋まった。これマジです。

熱力学
しばらく、京都大学理系前期試験における物理の問題の解きすすめの作業を止めていた。
断熱過程の理解を試す、熱気球の問題の理解に散々にわたって、苦心している内に風邪をこじらせてしまい、
そのまま、作業がとまってしまった。
そして、授業が忙しくなってきて、かなりブランクをあけてしまうことになった。
年明けになって作業再開。
YouTubeによる、高校物理の「独学的」再履修をする環境が劇的に改善されたように思う。
おそらく高校の物理教師とおもわれる人が運営しているYouTubeのチャンネルで高校レベル熱力学の復習を
することになったが、とても参考になった。
「熱の基本」「気体の状態方程式」「気体分子運動論」「熱力学第一法則」「熱効率」の項目別に
入学試験で出題される問題で問われる数値を計算するために必要な公式や方程式の意味合いをわかりやすく
解説してあった。かなり心理的に楽な気持ちで京都大学の熱力学の問題に取り組むことが出来た。
「気体の分子運動論」の論証。つまり温度の変化がそのまま、密閉された空間を飛び回る気体分子の運動の激しさの
度合いを示すといった典型的な問題もでる。
ピストンを押したり、引いたり、そしてそのピストンにバネが装着されているみたいなタイプもしっかり出る。
等温 定積 定圧 断熱 の4つのパターンにおいてどのように気体の状態方程式を立てたら、欲しい数値が
出るのかの一連の流れが理解されていると、やりやすい。
京大、東大のレベルになると、問題文に記述されているピストンへの操作が果たして、この4つのパターンのどれに
分類されるのか、よくわからなくなることなども多い。
そういったところでは、現場思考で乗り切る必要がある。
ピストンの問題において、ピストンが短時間に激しく上下することで、単振動の運動が成立するケースというものも
出てくる。
こういった場合は、ポワソンの式の導入や、だいたい、問題文で与えられている近似式を駆使して、
「力学」的に運動方程式を立てて、単振動の性質を計算するのが流れ。
ピストンの代わりに、水銀の固まりが入っていたり、ピストンの代わりに、玉が詰め込まれていて、
密室の中が加熱されることで、詰め込まれた玉が斜面を駆け抜けて、斜方向運動をするというパターンもある。
熱エネルギーが、斜面を玉が駆け上るための位置エネルギーや、密室体積の膨張に使うエネルギーに切り替わるといった
「保存則」の視点が要求されたりする。ほかにも、輪軸滑車を、ピストンに付属したつっかえ棒で、回転を
防止するという装置も出てくる。

波動学
1983年から2013年の京都大学の問題
熱力学の分野からの出題が20問くらいだったのに対して、波動分野は10問くらいの感覚。
熱力学と波動の2分野からどれか1題が出題されるというパターン。あとの2題は力学と電磁気学
こころなしか、熱力学や力学の分野よりはやりやすい問題が多かったように思う。
教科書や、スタンダードと化した問題集にでるパターンはもちろんふまえる必要がある。けれども、それだけでは
ないんだぞというメッセージは数十年にわたって継続している。例えば、
「原理」というのは、「実験によって実証されることはないけれど、そのような「仮説」を設定することで現実の事象
いろいろと合理的に説明できるもの」という話がどこかで登場した。
そう、「ホイヘンスの原理」。
波面の境界線の1点、1点からさらに波面が重なる円環をなして、広がっていくというあの仮説。
「高校物理の波動」分野の授業を、動画視聴したけど、やはりこの「原理」でやれ反射だ、やれ屈折だ、やれ回折だという
いろいろな波によって引き起こされる現象が説明される。
「このホイヘンスの原理を用いて、見慣れない導出問題に対応できますか?」というジャンルが2題ほど出題されました。
それと、ドップラーの法則。
これも、スタンダードな説明で登場する具体的な設定は、
走っている電車みたいな、音を発する物体が、立ち止まっていたり、走っている「観測者」に近づいたり、遠ざかったりするということが
お約束なのですが。
あくまでも、「ドップラーの法則」が適用されるのは、「音」ではなくて、「波そのもの」なんだということがいいたいらしく。
だったら、「光」だって波動なのだからということで。
振動数の増減をしてみせるのが、出題例の中では、「電磁波」だったりする。
年度は覚えていないけど、音波はあくまでも、空気のような媒質の濃度の濃淡が伝わるということを、「見えない反射壁」とみなして
その「壁」に向かって、光の波をぶつけるという設定もあった。
壁や、光の発信源が動けば、そこでドップラーの現象が出てくると。そして、反射する光の波長の変化を、「原子物理」の単元で
説明させる。
京都大学の問題は、あらゆることがわかっている状態で、整然と解いていくという希望は最初から捨てたほうがいい。
なんとなく、問題を解いているような気持ちにはなるけど、後で振り返ったとき、問題文が想定している現象のイメージが
よく掴めていなかったのではないかというのはざらにあると思う。
にも関わらず、本当に、波動分野の学習をしていたら体にしみ込んでいるはずの公式が、「なんとなく」浮かぶと
ルートが見えるような気分になる。そして、「結果的」に答えがあって、得点が出来たらlucky
なんだという、気持ちの悪さを引き受ける必要があるような気がした。

1983年から2013年
電磁気学
出題ジャンル
直流回路
オームの法則や、キルヒホッフの法則を割とストレートに応用するような回路図を使った出題が多い。
ただし、オームの法則はそのまま使えるということはあまりない。
ダイオード」という電子部品が回路に組み込まれているので、横軸電圧、縦軸電流のグラフを
取ったときに「非線形」となる。
半導体」を学習する単元で、ダイオードの特性を理解して、どうやって方程式を
立てていくのかが問われる。かなり厄介。ある意味、一番難しいのではないかと思う。
赤本の解説を読んでも、戸惑うことが多い。
コンデンサ
京大電磁気の二つの主要ジャンルの一つ。
コンデンサの極板間引力という力が登場するので、それに絡めて、力学との融合問題が
出る。極板が静止していれば、力の釣り合いの問題に置き換わるし、
極板の距離が、時に応じて、変化すると単振動の方程式を解いていく問題になる。
コンデンサーごとに、どれだけの電圧がかかっているかを計算出来ると、他の数値が
計算できるという王道もそのまま出る。
電流と磁界
直線電流と、円電流が登場して、磁界の大きさを計算する問題などが素直にでる。
ただ、それだけだと、問題の難易度があまりよろしいことにならない。
どちらかというと、「電磁誘導」のジャンルに近い出題がされる。
そして、この分野では、計算を進めていくときに、問題文の中で指定されている
近似計算が応用できるかどうも問われる。指定された近似計算の応用が見えなかった
場合、それまでの誘導で計算した解答が正しくなかった可能性が高い。
電磁誘導
京大電磁気のジャンルで最も、出題が多いのはこの分野。
電気が通る2本のレールが設置されているところへ、「導体棒」を転がしていくという
どの学習参考書にも掲載されている問題。
出題されている問題で、登場する装置がどのようなものなのかということの説明が
多大なスペースを割いて書かれている。問題文も概して長い。
ほとんど、微分方程式を解くための誘導になっているスタイルも見受けられた。
おそらく、その中で重要になってくるのは、一見するとゴチャゴチャしている
装置の中で、どのような回路図が組まれているのかを見抜くことだと思われる。
後は、キルヒホッフの適用、ローレンツ力の計算、力学方程式の応用(力のモーメントの応用も含む。)
をお約束の手順に従って計算すればいいのではないかと思われる。
やはり、「単振動」の運動を登場させる出題も目立った。少ないながら、交流のリアクタンスやインピーダンス
計算させる問題もあった。
荷電粒子の運動
電子や陽子を、電場の力によって加速させていくという出題パターン。
その中でも典型的なのが、磁場と電場が発生している実験装置に陽子や電子を打ち込んで、
その粒子をどんどん加速させていく「加速器」の動作原理を問う問題。
2015年度の慶応医学部でもこのジャンルからの出題があった。
分類としては電磁気のジャンルになるが、問題を解いているときに求められる基本姿勢は
明らかに「力学」のそれだと思われる。
なぜなら、テーマになっているのは「粒子の運動」だから。
坂道を転がったり、バネの弾性力で弾かれたりという形で力を受けるのでない力学のパターン。
粒子にものが触れないのに、力が加わっている状態といってもいいのかなと考える。
その粒子の運動のパターンを、グラフで書かせるという設問も目立った。

原子物理の単元
新課程になってから、「出題範囲」として復活するといわれている学習分野。
「微視的世界の物理学」なんていわれることもあるし。
「現代物理学」といわれている場合もある。
東京大学の今までの入学試験の内容と見比べをすると、京都大学はこの「原子物理」の
分野でかなりの回数の出題を行ってきたことがわかる。
たしか、東大のこの分野の問題は本当に少なかったことを思うと、この過去問題は
貴重かもしれない。
ボーアという物理学者が考案した「水素原子モデル」からの出題は
今のところ、ない。かなり苦労して計算問題の標準パターンをやったのですが。ということは
そろそろ出るのかもしれません。
光の粒子性質
2008 2003 2001 2000 1993 1988 1985
「波動」の単元で、光は「波」として理解するということを前提にいろいろな計算問題に
登場した。屈折の問題やレンズの問題、全反射の現象など。
光の現象についてさらに、実験のスケールを小さくとることで、どのように理解を
進めていくかが問題のテーマになる。
今までの単元で登場するものは、ボールだったり、見ることができるバネだったり、
回路だったりするが、ここでは、「原子」を「ボール」のように見立てて、
止まっている「原子」に、別の「原子」を発射して、衝突を起こさせるといったミクロな
実験が出題される。
「波動」としての光に「粒子」としての性質があるということをテーマに
多量の光の粒を、鏡にぶつけることで、鏡それ自体に運動させるという問題もある。
気体の分子運動論で、飛び交う分子が壁にあたることで生み出す圧力の計算があるが
あの手法を、光の粒子が登場する設問で応用させる。
よく登場するのがガンマ線と「コンプトン効果」。
ボールとボールの衝突なので、「力学」で学習した「運動量保存則」や
「エネルギー保存則」を適用した連立方程式で、欲しい値を産出するという流れは
同じ。
また、「力学」で習う「運動」の計算手法とほとんど同じことを、原子1個を
鉛直方向に放り投げるという現象において、実行させる設問などもある。
基本的に、登場する文字は多い。連立方程式の流れがわかったとしても、計算の作業内容で
辟易することが多い。

粒子の波動性
1995
中性子」という「粒子」を結晶格子に向かって入射する問題。
ところが、この実験をすると、「波の干渉」という現象が観察されるというもの。
「粒子」を運動させている問題なのに、気がついたら、複数の光線の経路差を
計算する問題にすり替わっているような、ちょっと不気味な問題。

核反応
1996 1993 1987 1984 1983
ただ、打ち込む原子のエネルギー計算に、その「ボール」の「波動」としての性質から
「振動数」が登場したり、衝突の前後で、登場する原子の質量に「差異」が出来るので、
その「差異」が、「質量欠損によるエネルギー」というものを生み出していることを考慮に
いれて、計算する。
「年代測定法」という原子核レベルでの変化に注目した現象も登場する。
半減期」の計算。
指数関数なので、扱いにはある程度の習熟が必要。
==
たとえば、「コンプトン効果」という現象をテーマにした問題は
市販されている問題集では、どんな本でも掲載されていると思う。
だったら、あっさりすべての問題で正解がとれるのかというとそうはならない。
エネルギーの保存則を適用するときの式の立て方は案外パターンになっている。
でも、運動量保存則になると、いろいろとバラエティーが出てくる。
弾性衝突するかどうか。
そもそも入射される粒子と、静止していて、飛ばされる粒子がどういう向きで
動くのかということなど。
ここで、問題集によるパターン暗記をやりすぎると、頭がある一定の式の
立て方で固定しているので、ちょっとした柔軟さが発揮できないで
その先に進めない。
ドップラー効果や、単振動の運動なども登場する。
ここは、あまりひねるが効いているようには見えなかった。

直近の入学試験について
2014年 前期試験
第1問 力学
思いっきり、転んだ問題。
問題設定は、スクリーンショットでコピペしてきた通り。
そもそも、ここで、台車にのっている物体と、台車に注目して
運動量保存の法則と、エネルギー保存の法則を適用して式を立てることが
できなかったのがいたすぎ。しばらく力学の問題から遠ざかっていたのも問題
なのかもしれない。
運動量保存の法則をうまいこと適用できるかどうか。
さらに、苦手な単振動まで組み込まれてきた。
単振動の扱いは以前よりはよくなったと思う。しかしながら、
今回、「壁」が横向きになっていたというのも私にはつらかった。
ボールを、縦に置かれているバネ付きの台に落として、
「さて、このボールがバネから離れて、浮遊開始するのにかかる時間は?」
とかいう計算があったような気がする。そのパターンだったのかな。
単振動しているボールの速さや、ある状態になるのにかかる時間の計算などなど。
それと、2物体の重心の挙動を自在に計算できるかどうか。これ自体は難問レベルの物理の
定型パターンにそっていると思った。


第2問 電磁気
交流電源を用いた回路。
そして、回路に組み込まれている部品は、コンデンサと銅線の抵抗が合わさっているという
ちょっと見慣れない形。
アップロードした画像にもあるように、通常の電気抵抗がある銅線と、コンデンサを並列に
することで、「等価」になるのだという。そもそもこの二つの電子部品を並列にして
置き換え可能というところを読み落としたようにも思う。
やはり、セミ本番の気分で演習するから、緊張感も半端ではありません。
交流電源の回路において、電源で観察できる正弦波と、コンデンサの板の間の電圧の変化を
示す正弦波は「ずれる」ということまでは、標準的な問題集にてかなりの数の演習を
積んでいた。
今度こそはそこそこ対応できるのかと思いきや、並列に通常の電気抵抗とコンデンサを組み合わせて
交流電源からの電流を二つの電流に分けてしまい、そこに三角関数の和と差の積を利用すると、
この「正弦波のずれ」のラジアンを調整することが出来るということに思い至ったかどうかで
命運が分かれました。これにはかなり飛ばされました。
後半の問題はそうでもない。キルヒホッフの法則や、コンデンサにまつわる公式を素直に
適用できたら、あっさりと答えにたどり着いたと思います。
キルヒホッフの使い方でこけてしまいました。



第3問 熱力学
おそらく、2014年の京大物理受験者のみなさんにとってはこの第3問が一番
得点getが簡単だったのではないかと。少なくとも、私は思いました。
ピストンの中を動き回る気体状態の分子が、ピストンの壁にガンガンと衝突
するという様子を「気体の分子運動論」のお決まりのstoryに乗っ取って
必要な値を計算していく。
「定型パターン」では、圧力などを求めて、最終的に気体が持っていると
運動エネルギーと、温度の変化というものが、同質なのだという例の式を
導くのですが。
この問題では、ほとんどそれに近い形のようで、目指すのは
「断熱圧縮」「断熱膨張」を起こすピストンの内部空間における
温度変化と、体積変化の関係を式にして導出しましょうというもの。
ポアソンの式」でしたか。
問題の中盤では、熱サイクル運動の王道パターン。
ポアソンの式を適用することで、熱効率が、体積変化に注目するだけで
計算できることを証明させる問題でした。
終盤の設問では、断熱変化と、等温変化におけるピストンの仕事の大きさを
比較するということが問われました。(1400)

2015年度 京都大学前期試験 物理科目について

第1問 力学
フラフープを縦において、そのループにそってボールを転がす。
かつ、そのフープ自身もグルグル回っている。
左右に行ったり来たりしながら、そのループがグルグル回るので、
ボールにかかる重力と、遠心力が、ループの角速度によって
ボールの運動にいろいろなバラエティーが出るというもの。
一度、フープが止まっている状態から、あらためて、フープを回転させて、
運動の様子を考察させる。
というように書くと、なんだかしんどいようですが、
振り子の単振動の周期を求めるときに必要な「近似のパターン」さえ、
頭に入っていたらかなりあっさりと式は立つように思えました。
天頂から動いているボールに陰を当てて、地上のボールの陰が
どういう軌跡を描くのかという設問もあった。
「媒介変数」が登場している。
2014年の京都大学の力学も、バネに取り付けられたボールの単振動が
テーマだったが、2015年も昨年に続いて、単振動が取り上げられた。
やはり、力学のメインはこれになるのだろうか。


第2問 電磁気学
問題用紙が6ページにもなっていたので、おっかなびっくりで解いてみたが
その内の1ページは2ページに掲載されているイラストの再掲だった。
受験する人が、問題を解いている時に、図をみるために行ったり来たりする
手間ひまを省こうという配慮が働いていたのかもしれない。
設問のレベルは、かなり基本的なレンツ・ファラデーの法則の
応用的な問題。
最初の設問で、ループになっている銅線に電流が流れた時の
磁場が、ある1点でどのくらいの強さかを計算させる場所が
あった。ここで、問題文に掲載されていた「三角形」というキーワードを
読み落としていたことに気がついたが後のまつり。
キルヒホッフの法則の適用
レンツファラデーの法則の適用
これだけで、かなりの設問に解答が用意できるのではないかと思った。
見た目の実験装置の複雑さは、受験生をびっくりさせるだけだったのかも
しれない。
グルグル回転するループ状態の導線に、ローレンツの法則で発生する
力が、回転方向と逆向きに働き、回転する速さが落ちるときの
運動エネルギーの現象と、ローレンツ力を発揮している電気回路での
消費電気エネルギーが等しいことを方程式でかけたらおしまい。
今回は、かなりオーソドックスな設問だったと考える。

第3問 原子物理(熱力学と波動との融合)
今年度の入学試験から「原子物理」の問題を出すことが「解禁」されたようで。
京都大学は早速、「ボーアの原子モデル」に絡んだ問題を出してきました。
問題の数は一番、多かったように思います。
ドブロイの公式は覚えていなかったら、いきなり減点。
プランク定数を、運動量で割り算すると、波長が出るというアレです。
15個の空欄だったかな。
あまり、調子はよくなかったけど、出題をつらつら分析するに、
そんなにエキセントリックなことをつかれることもない、とてもおとなしい
問題だったのではないかと思う。
設問は大きく、3つに分かれていて、「水素原子モデル」にそって、
原子が高いエネルギー状態から低いエネルギー状態に移行するときに
原子から発光する光の波長を求めるという問題。
コンプトン効果で、変なパターンで保存則を計算するよりはるかに素直。
しかし、数値計算を最後にもってこないで、問題の中途で解答させて、
しかも、その数値をふまえないと、解答ができない別の質問を後にしかけるという
イライラすることをやってくれた。
5回くらい、波長を求める計算をしないと、結局答えがでない。
そして中盤は、これまたオーソドックスな「ヤングの実験」のパターン。
経路差が出せたら、あとはいけるかも!みたいな。
干渉のパターンを選択させる問題もありました。
そして第3問は、なんとなく「気体分子運動論」を連想させるような設問。
ここで、ドップラー効果による波長の長さの変化を計算させるということも
出てきました。原子物理の分野で、ドップラー効果の計算をさせるのは
京都大学の過去の問題を分析しているとよく出てくる。
今年は、ドップラー効果のかかり方が、原子の進行方向に対して、
どのようにかかるのかが、よく設問を読まないとわかりにくかった。